University Hospital Introduction
本院は、特定機能病院の承認を受けており、理念にも掲げている「最新の医療」および「高度な医療」を提供し続けることをミッションの一つと考えています。
ここでは、現在、本院が力を入れている4つの治療手技の紹介と、一般市民向けの広報誌「はんだ山の風」にも掲載している「最新医療シリーズ」を提示します。
【治療手技の紹介】
・広がりつつあるロボット支援手術(ダビンチ、hinotori)
・ハイブリッド手術室を利用した「TAVI治療」
・経皮的左心耳閉鎖術
・術中画像撮影装置(O-arm)を利用した整形外科手術
・がんゲノム医療(がん遺伝子パネル検査)
【一般市民向け 附属病院広報誌「はんだ山の風」 掲載シリーズの紹介】
・広報誌「はんだ山の風」掲載シリーズの紹介【最新医療】
平成27年8月、国立大学病院として初めて本院に導入された最新鋭手術支援ロボット「ダビンチXi」は、その後、対応分野の広がりと保険適用外手術の実施、症例の積み重ねののち、中医協の評価、検討を経て決定を受け、保険適用可能な手術が増えつつあります。ここでは、これまで本院にてご紹介してきたダビンチによるロボット支援手術に加え、初の国産手術ロボット「hinotori」についてご紹介します。
(写真: ロボット支援胃切除術の様子)
平成27年8月に、国立大学病院として初めて「ダビンチXi」を導入しました。
「ロボット支援手術」では、高画質の3D画像のもと、人の手首以上の動きが可能な鉗子操作が行え、術者の手の震えを制御するとともに、手の動きを縮小して伝えることで、良好な視野下で繊細かつ精密な手術が可能となります。
また、腹腔鏡下手術を基本とすることから、傷口が小さく術後の回復も早いので、入院期間の短縮ならびに早期社会復帰が目指せます。
本院では、以下に示す領域(手術)を「ロボット支援手術」の対象として実施することを考えています(現在実施しているものと、今後実施を予定しているものがあります)。
【対応分野】
保険適用外手術(自由診療:★印)については、本学倫理委員会の承認を経て実施しています。
縦隔腫瘍 平成29年7月〜 (平成30年4月〜 保険適用)
縦隔腫瘍摘出術(ロボット支援胸腔鏡下縦隔腫瘍切除術)
肺腫瘍 平成29年10月〜 (平成30年4月〜 保険適用)
肺葉切除術(ロボット支援胸腔鏡下縦隔リンパ節郭清を伴う肺葉切除術)
(令和2年4月~ 保険適用)
肺悪性腫瘍手術 区域切除(ロボット支援胸腔鏡下肺区域切除術)
(令和6年6月~ 保険適用)
肺良性腫瘍手術 区域切除・肺葉切除または1肺葉を超えるものに限る
(ロボット支援胸腔鏡下肺区域切除術・肺葉切除術)
重症筋無力症に対する拡大胸腺摘出術 (令和2年4月~ 保険適用)
※ 詳細は「ロボット支援下手術(呼吸器外科)」ページへ
医療関係者の方へ:ロボット支援手術を行うプロクター(手術指導医)、及びメンターサイト(症例見学施設)、お問い合わせ先については、上記、「ロボット支援下手術(呼吸器外科)」ページをご覧ください。
胃がん 平成27年10月〜 (平成30年4月〜 保険適用)
胃全摘術(ロボット支援胃全摘術)
幽門側胃切除術(ロボット支援幽門側胃切除術)
噴門側胃切除術(ロボット支援噴門側胃切除術)
食道がん 平成30年10月~ (令和元年5月〜 保険適用)
食道がん根治切除術(ロボット支援食道がん根治切除術)
直腸疾患 令和2年11月~(令和4年7月~ 保険適用)
直腸切除・切断術(ロボット支援下直腸切除・切断術)
結腸悪性腫瘍 令和5年4月~
★ロボット支援下結腸悪性腫瘍手術
施設基準を満たし次第(10症例)、保険診療によるロボット支援下手術を開始予定です。
膵腫瘍 令和2年12月~ (令和4年9月~ 保険適用)
膵体尾部切除術(ロボット支援下膵体尾部切除術)
肝腫瘍 令和5年8月~
★肝部分切除、肝外側区域切除術(ロボット支援肝部分切除、肝外側区域切除術)
施設基準を満たし次第(10症例)、保険診療によるロボット支援下手術を開始予定です。
※ 詳細は「ロボット支援下手術(肝・胆・膵外科)」ページへ
前立腺がん 平成27年11月〜(平成24年4月~ 保険適用)
前立腺全摘術(ロボット支援腹腔鏡下根治的前立腺全摘除術)
腎腫瘍、腎がん 平成28年4月〜(平成28年4月~ 保険適用)
腎悪性腫瘍手術(ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術)
膀胱がん 平成29年1月〜 (平成30年4月~ 保険適用)
膀胱悪性腫瘍手術(ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術)
腎盂尿管移行部狭窄症 平成31年~ (令和2年4月~ 保険適用)
腎盂形成術(ロボット支援腹腔鏡下腎盂尿管吻合術)
腎腫瘍、腎がん 平成31年~ (令和4年4月~ 保険適用)
腎悪性腫瘍手術(ロボット支援腹腔鏡下根治的腎摘除術)
腎盂尿管腫瘍、腎盂尿管がん 平成31年~ (令和4年4月~ 保険適用)
腎尿管悪性腫瘍手術(ロボット支援腹腔鏡下腎尿管全摘除術)
副腎腫瘍 令和2年~ (令和4年4月~ 保険適用)
副腎摘除術(ロボット支援腹腔鏡下副腎摘除術)
良性子宮疾患
(子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮頸部異形成、子宮内膜増殖症) 令和元年5月~
子宮全摘術(ロボット支援腹腔鏡下子宮全摘術)
早期子宮体がん(類内膜癌、Grade 1または2、術前進行期1A期) 令和3年2月~
子宮悪性腫瘍手術(ロボット支援腹腔鏡下子宮全摘術、骨盤リンパ節郭清術)
骨盤臓器脱(子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤) 令和4年1月~(令和4年4月~保険適用)
仙骨腟固定術(ロボット支援腹腔鏡下仙骨腟固定術)
令和4年2月、本院において初の国産手術支援ロボット「hinotori」を導入しました。これまでの外科手術における大きな潮流はロボット手術の導入でしたが、新規に開発されたロボットシステムが登場しさらに手術環境は変化しています。その特徴は、ポートとアームの固定を要さないドッキングフリーデザインであり、ロボットアームが8軸で構成されている等、既存システムとは異なっています。既存のシステムに加え新たにhinotoriを導入したことにより、今後、患者さんのより良い治療の選択や地域医療の貢献につながることを目指します。
hinotoriを使用したロボット支援手術の発展のために重要とされる教育への貢献も使命の一つと考え、認証取得に必要な手術見学施設の認定を受け、多くの見学者(医療従事者)を受け入れています。また、令和5年4月、本学に設置された先進ロボット手術開発学講座では、hinotoriを使用した遠隔地ロボット支援手術教育システムの確立を掲げ、その実証実験も精力的に推進しています。
hinotoriを使用したロボット支援手術 hinotoriを使用した遠隔地教育システム構築に向けた実証実験
「ハイブリッド手術室」とは、従来の開腹・開胸手術のような直視下手術と放射線透視下でのカテーテル操作による治療を併用して行う専用手術治療室のことです。
本院では、平成28年4月から心臓血管外科で同手術室の利用を始めましたが、平成29年度からは「TAVI治療」を開始しました。TAVIとは、Transcatheter Aortic Valve Implantationの略で、「経カテーテル大動脈弁植え込み術」と訳されます。TAVR(経カテーテル的大動脈弁置換術)と称される場合もあります。この治療は、当該領域でのエキスパートのみが行える極めて難易度が高い治療とされています。実際には、足(太もも)の付け根の血管(大腿動脈)にカテーテルを通して、人工弁を心臓まで誘導したのち、大動脈弁を置換する治療手技が行われます。
本院では、特定機能病院として、本治療を今後積極的に進めていく予定です。
(写真: TAVI治療の実際)
※ 詳細は「TAVI治療について(詳細)(循環器内科)」ページへ
血栓塞栓症リスク/出血リスクの高い心房細動に対して、抗凝固薬の長期的な使用は出血リスクが高く、抗血栓療法として新たに登場したのが「左心耳閉鎖術」です。循環器内科が施行する「経皮的左心耳閉鎖術」と心臓血管外科が施行する「外科的左心耳閉鎖術」とがあります。
ここでご紹介する「経皮的左心耳閉鎖術」は、より低侵襲にカテーテルを介して、左心耳を閉鎖するデバイスを永久的に留置する治療です。血栓の主要な形成部位である左心耳を閉鎖することで、重篤な脳卒中のリスクを軽減し、抗凝固療法を中止することが可能となり、将来的な出血リスクの軽減につながるとされる治療です。
本院は近年増加している心房細動に対して、カテーテルアブレーションによる再発予防や「経皮的左心耳閉鎖術」による新たな抗血栓療法のトータルマネジメントに力を入れております。県内で数少ない「経皮的左心耳閉鎖術」の認定実施施設として地域医療への貢献に努めております。適応患者さんにもこの治療を知っていただき、詳しくはかかりつけの医師にご相談いただきますようお願いいたします。
経皮的左心耳閉鎖術デバイス Watchman™
本院では、整形外科手術領域において、術中移動型CT(O-arm)と「ナビゲーションシステム」を組み合わせた整形外科手術を数多く行っています。
また、脊椎・脊髄疾患の領域では、他施設では治療が困難な側弯症ほかの外科手術を多く実施し、脊柱変形学会(SRS)からも、成人側彎症治療研究を行う世界15施設の一つとして認定されています。
O-armナビゲーションを利用した大腿骨手術
(写真:O-arm) (写真:ナビゲーションによる部位の確認)
※ 詳細は「O-arm手術について詳細(整形外科)」ページへ
がんゲノム医療とは、患者さんごとに異なるがんの性質(遺伝子の変化)を調べ、その情報に基づいた診断や治療を行う医療のことです。
がん遺伝子パネル検査は、最新の解析技術(次世代シークエンサー)を用いて患者さんのがんの一部(組織)や血液から、がんに関連する遺伝子の特徴を一度にたくさん調べることができる保険診療の検査です。この検査によって、患者さんごとに異なるがんの性質(遺伝子の変化)に基づいた治療を探すことが可能になりました。
本院では、保険診療でオーダー可能な下記のがん遺伝子パネル検査を全て取り扱っており、がんの種類や状態に応じて適切な検査を選択することができます。
・FoundationOne CDx
・FoundationOne Liquid CDx
・OncoGuide NCCオンコパネルシステム
・Guardant360 CDx
・GenMineTOP
シリーズ最新医療 記事タイトル | 診療科・部(講座名略) |
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vol.41「脳腫瘍の外科的治療」 (7.2MB) |
脳神経外科 |
vol.40「眼科領域の遺伝子治療」 (4.7MB) |
眼科 |
vol.39「整形外科領域における再生医療 -多血小板血漿(PRP)の可能性-」 (4.2MB) |
整形外科 |
Vol.38「国産手術支援ロボットhinotori の導入」 (4.2MB) |
泌尿器科 |
Vol.37「ロボット支援下膵体尾部切除術について」 (2.8MB) | 第2外科(肝・胆・膵外科) |
Vol.36「キズ(皮膚欠損や皮膚潰瘍)に対する再生医療-多血小板血漿(PRP)療法-」 (2.6MB) | 形成外科 |
Vol.35「ロボット支援下大腸がん手術の現状」 (2.6MB) | 第1外科(一般外科(内視鏡外科)) |
Vol.34 「呼吸器外科分野ロボット支援下手術の現状」(2.7MB) | 第1外科(呼吸器外科) |
Vol.33「頭頸部アルミノックス治療」(2.3MB) | 耳鼻咽喉科 |
Vol.32「本院婦人科のロボット支援手術のご紹介」(2.3MB) | 産科婦人科 |
Vol.31「次世代の細胞治療に向けた取り組み」(2.2MB) | 輸血・細胞治療部 |
Vol.30「本院で可能となった新しいカテーテル治療のご紹介」(2.2MB) | 第3内科(循環器内科) |