University Hospital Introduction
骨軟部腫瘍外科医にとって最もチャレンジングな手術は骨盤悪性腫瘍手術である。骨盤は立体的で複雑な形状をしている。加えて骨盤腔には総腸骨動脈およびその分枝、大腿神経、仙骨神経叢、膀胱、直腸などの重要臓器が密接している。骨盤の広範切除に際しては局所解剖を理解して正確な展開を行う必要性がある。骨盤悪性腫瘍は通常巨大な腫瘤を形成している。悪性腫瘍に対しての十分な切除縁を得るためには、腫瘍の存在部位を正確に把握して骨切りする必要性がある。当院には手術室にO-arm navigationが設置されている。三次元的な解剖の把握が難しい骨盤腫瘍においてのナビゲーションの有効性は高い。骨軟部腫瘍手術においても積極的なO-arm navigationの活用を行っている。
右骨盤腫瘍 腫瘍が仙骨、仙腸関節の前面 手術体位を確保、アンテナ設置後
に進展、骨切り部腸骨内側の術中直視が不可能 O-arm 撮影
ナビゲーションモニタにて骨切り部位、 腸骨内板は直視不可能であったが
方向を確認 外板から正確に骨切り、上前腸骨棘
腸関節の温存可能となった
術中にはイメージインテンシファイアーを使用することが一般的であるが、得られる画像は2次元であり、3次元的な把握をすることは難しい。難易度の高い手術や病変部位の把握が難しい例でOアームを使用している。
代表例を提示する。寛骨臼回転骨切り術では、Oアームを使用することで術中骨切り開始位置と骨切り中のノミ先端位置を確認しながら安全で正確な手術が可能となる(図1)。
図1 術中に骨切り位置の確認が可能
離断性骨軟骨炎において、軟骨の連続性が保たれている例では関節鏡視下に正確な位置の特定は困難である。Oアームにより、病変の3次元的位置の把握ができ、正確なドリリングを行うことで早期に的確な手術が可能である(図2)。
図2 Oアームでは病変の正確な位置の把握が可能
その他に、複雑な骨盤骨折における骨折観血的手術など難易度の高い手術において正確な手術を行うことが可能であり、Oアームは関節外科領域においても有用性が非常に高い。