浜松医科大学医学部附属病院

本院について

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適切な意思決定支援に関する指針

令和7年1月27日制定

1. 基本方針

 浜松医科大学医学部附属病院で人生の最終段階を迎える患者さんが、その人らしい最期を迎えられるよう、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、多職種から構成される医療・ケアチームで、患者さんとその家族等に対し適切な説明と話し合いを行い、患者さん本人の意思を尊重した、安心・安全な医療・ケアを提供することに努める。

2. 人生の最終段階における医療・ケアのあり方

1) 医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて医療・ケアを受ける患者さん が、多職種から構成される医療・ケアチームと十分な話し合いを行い、患者さん本人による意思決定を基本としたうえで人生の最終段階における医療・ケアを進める。
2) 患者さんの意思は変化しうるものであることを踏まえ、医療・ケアチームは患者さん自らの意思をその都度示し伝えられるように支援し、患者さんとの話し合いを繰り返し行う。
3) 患者さんが自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、医療・ケアチームは家族等の信頼できる者も含めて、患者さんとの話し合いを繰り返し行う。この話し合いに先立ち、特定の家族等を自らの意思を推定する者として定めておくことを推奨する。
4) 医療・ケアチームは人生の最終段階における医療・ケアについて、医療・ケア行為の開始・不開始、医療・ケア内容の変更、医療・ケア行為の中止等を医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断する。
5) 医療・ケアチームは、疼痛やその他の不快な症状を十分に緩和し、患者さんとその家族等の精神的・社会的な援助も含めた総合的な医療・ケアを行う。
6) 生命を短縮させる意図をもつ積極的安楽死は対象としない。

3. 人生の最終段階における具体的な医療・ケアの方針決定支援


1) 患者さん本人の意思が確認できる場合
① 患者さんの状態に応じた専門的な医学的検討を経て、医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明を行う。
そのうえで、患者さんとその家族等と医療・ケアチームとの合意形成に向けた十分な話し合いを踏まえ、患者さん本人による意思決定を基本とし、医療・ケアチームとしての方針を決定する。
② 時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて患者さんの意思が変化しうるものであることから、医療・ケアチームによる適切な情報提供と説明により、患者さんがその都度自らの意思を伝えることができるように支援する。
③ 患者さんが自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、医療・ケアチームは家族等の信頼できる者も含めて、患者さんとの話し合いを繰り返し行う。この話し合いに先立ち、特定の家族等を自らの意思を推定する者として定めておくことを推奨する。
④ このプロセスによって話し合った内容は診療録にわかりやすく記載する。

2) 本人の意思が確認できない場合
① 家族等が患者さんの意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、患者さんにとって最善の医療・ケアの方針を医療・ケアチームとともに慎重に検討し決定する。
② 家族等が患者さんの意思を推定できない場合には、患者さんにとって何が最善であるかについて、家族等と医療・ケアチームにより十分に話し合い、決定する。
また、時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて、この話し合いを繰り返し行う。
③ 家族がいない場合、または家族等が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、患者さんにとって最善と思われる医療・ケアの方針を医療・ケアチームが慎重に検討し、決定する。
④ このプロセスによって話し合った内容は診療録にわかりやすく記載する。

3) 複数の専門家からなる話し合いの場の設置
① 医療・ケアチームの中で心身の状態等により医療・ケアの決定が困難な場合
② 患者さんと医療・ケアチームとの話し合いの中で、妥当で適切な医療・ケアの内容について合意が得られない場合
③ 家族等の中で意見がまとまらない場合や医療・ケアチームとの話し合いの中で、妥当で適切な医療・ケアの内容について合意が得られない場合
等についは、医療・ケアチームの申し入れにより、必要と判断される場合は浜松医科大学医学部附属病院臨床倫理委員会でその方針を審議する。

4. 認知症等で自らが意思決定することが困難な患者さんの意思決定支援

 認知症等で、自らが意思決定することが困難な場合は、厚生労働省が作成した「認知症の人の日常生活・社会生活におけるガイドライン」を参考に、できる限り、患者さんの意思を尊重した意思決定を、家族及び関係者、医療・ケアチームが関与して支援する。

5. 身寄りのない患者さんの意思決定支援

 身寄りがない患者における医療・ケアの方針についての決定プロセスは、本人の判断能力の程度や入院費用等の資力の有無、信頼できる関係者の有無などにより状況が異なるため、介護・福祉サービスや行政の関わり等を利用して、患者さん本人の意思を尊重しつつ「身寄りがない人の入院及び医療に係る、意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」を参考に、その決定を支援する。

6.子どもの医療をめぐる意思決定支援

 子どもの権利利益が守られ、子どもの最善の利益に基づく意思決定を目指し、医療・ケアチームは、「重篤な疾患をもつ子どもの医療をめぐる話し合いのガイドライン」を参考に、子ども及び保護者(代諾者)との真摯な話し合いを通じて、その決定を支援する。


【参考資料】
・ 人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 厚生労働省 2018年3月改定
・ 認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定ガイドライン 厚生労働省 2018年6月
・ 身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン 2018年 研究代表者 山縣然太郎
・ 重篤な疾患を持つ子どもの医療をめぐる話し合いのガイドライン 日本小児科学会 2024年7月