浜松医科大学医学部附属病院

診療科案内

Speciality Guidance

血液内科

診療責任者 診療科長 兼 講師 小野 孝明

 当科は、血液疾患全般にわたり診療していますが、特に急性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫といった造血器腫瘍の治療を中心に行っています。診療に当たるスタッフは11名で、うち日本血液学会専門医は6名、血液指導医は3名、日本造血・免疫細胞療法学会認定医は3名、がん薬物療法専門医・指導医は1名です。白血病に関しては、Japan Adult Leukemia Study Group (JALSG:日本成人白血病治療共同研究グループ)に参加し、厚生労働省の白血病治療研究班と連携して急性白血病の化学療法を中心とした多施設共同研究(臨床試験)を積極的に行っています。当院は、急性前骨髄球性白血病(APL)に関しては新規分化誘導薬剤の開発(タミバロテン)と再発APL患者さんに対する亜砒酸(トリセノックス)の治験を行い、日本での同薬剤の保険承認と導入に努めてきました。また現在は、慢性骨髄性白血病慢性期の患者さんを外来で多く受け入れており、一定期間、深い奏効を維持している患者さんに対してBCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害剤を中断する臨床試験も積極的に行っています。

 さらに2021年4月には、遺伝子改変技術を利用したがん免疫療法である「CAR-T細胞(キムリア)療法」の提供可能施設として当院が認定されました。本治療は、患者さんの⾎液から採取したTリンパ球に遺伝⼦改変操作を⾏い、CARと呼ばれる特殊なたんぱく質を保有するCAR-T細胞を作成して、増殖させた後、患者さんに戻す、いわゆる遺伝子細胞治療です。このCAR-T細胞は、患者さんの体内で、⽩⾎病やリンパ腫細胞の表⾯にあるCD19という蛋⽩を認識し、腫瘍細胞を死滅させます。キムリアの適応は再発・難治性のCD19陽性B細胞性急性リンパ芽球性白血病(25歳以下)と再発・難治性のCD19陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫です。キムリアの治療にあっては複数の医師で適応を慎重に協議しておりますので、ご紹介いただく際には、かかりつけ医から当病院への診療情報提供書等が必要になります。詳細は当院の地域連携室へお問い合わせください。

 当科は附属病院8階東病棟で診療を行っており、常時20-25名の患者さんが入院されています。本病棟には14床のクリーン・ルームがあり、日本骨髄バンク、日本臍帯血バンク、非血縁者間末梢血幹細胞採取・移植の認定施設になっています。急性白血病、重症再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫等の疾患を対象に血縁者間及び非血縁者間同種造血幹細胞移植(骨髄バンクからの非血縁者間移植、臍帯血移植、末梢血幹細胞移植)や自家末梢血幹細胞移植を年間20件程度行っています。小児科医師、歯科口腔外科医師、リハビリテーションスタッフ、臨床心理士、栄養士、薬剤師、看護師も含めた多職種で、移植患者さんの経過をカンファレンスで定期的に開催してリハビリテーションを早期に導入するなど、疾患治療だけではなく、患者さんのQOL(生活の質)の向上を目指して日々努力しています。さらに、同種移植後の社会生活への復帰をスムーズに進めることができるように同種移植後の患者さんに対する長期フォローアップ外来を開設しています。当院は日本造血・免疫細胞療法学会認定の造血細胞移植コーデイネーターが在籍しており、学会の施設認定基準カテゴリーIに認定されています。さらに2021年4月より、厚生労働省の造血幹細胞移植推進事業が掲げる『造血幹細胞移植地域推進拠点病院』に当院が選定され、造血細胞移植センターとともに協力して事業を進めています。(同種移植の詳細は造血細胞移植センターのホームページもご覧ください。)