浜松医科大学医学部附属病院

診療科案内

Speciality Guidance

小児整形外科外来

外来診療日:毎週月曜日の午後

患者さんへのご案内

私たちは、小児の骨関節疾患を専門に取り扱っております。小児は心身ともに常に成長しつづけております。私たちは、病を患うお子さんに愛情をもって治療にあたっております。また療育の相談も適宜行っております。得意とする疾患は先天性股関節脱臼、先天性内反足、ペルテス病、大腿骨頭すべり症、筋性斜頚、脳性麻痺・二分脊椎による運動機能障害、上肢・下肢の変形、骨系統疾患です。以下に代表的な疾患について説明します。

先天性股関節脱臼

先天性股関節脱臼

 多くは、検診にて股関節の開きが悪いこと(開排制限)を指摘され、整形外科の専門の先生にみてもらうように勧められて来院します。私たちは、視診・触診とともに、超音波により股関節の状態を把握します。超音波では放射線被爆の危険がなく、安心して検査が受けられます。必要があれば、単純X線写真を撮影し、診断の補助とします。
 治療法は年齢、脱臼の状態にもよりますが、ほとんどの患児はリーメンビューゲルという装具の装着にて整復されます。脱臼が高度であったり、難治例に対しては、持続牽引による整復、麻酔下の徒手整復、観血的整復術と段階を踏んで治療をおこなっていきます。
 整復後も、骨頭と臼蓋の適合性が悪いようであれば、時期をみて(小学校入学前までに)補正手術を行います。補正手術には、Salter骨盤骨切り術、大腿骨内反骨切り術があります。この疾患は、小児期に適切な治療を行わないと、成人してからも変形性股関節症に悩まされることになります。私たちは、個々の症例に対し、最後まで責任をもって治療にあたります。また保存的に治療して整復が得られなかった場合に観血的整復術を、整復されても将来変形をきたすことが予測される場合に補正手術を行います。

CT画像4枚

先天性内反足

先天性内反足とは生まれつき足の部分が内側に曲がっている病気です。これは、主として足の関節部分を構成する踵骨、距骨、舟状骨という骨の位置関係が悪くなっているためにおこります。先天性内反足のまま成長すると、足底が正しく接地することが出来ず、足の外側をついて歩く事になります。このような状態では靴も履きにくく、歩行が著しく制限されます。治療は早い時期に距骨、踵骨、舟状骨の位置関係を正すことが大切で、我々はポンセチ法(Ponseti法)という方法で、変形した足にやさしい矯正の仕方で矯正を行っていきます。変形の程度が強く、ギプスによる矯正だけでは難しい場合は、手術により矯正することもあります。

ペルテス病

ペルテス病とは、小児大腿骨頭への血行がなんらかの理由で途絶える疾患です。この疾患は、血行が途絶えている領域が大きいほど変形が強くなることがわかっており、骨頭の変形が軽微な内に治療を開始するのが理想的です。治療のポイントは骨頭を健常な臼蓋に包み込んで訓練によって関節可動性を維持し変形矯正・予防をおこなうことです。治療法には装具療法と手術療法があります。どちらを選択するかは、専門的な判断が必要となります。いずれにしても、初期治療期間は1年から2年、その後、骨頭の変形の程度を成人になるまで経過観察していきます。

変形矯正・骨延長

小児整形外科では、病気やけがで手足が変形したり、足の長さに違いが生じた患者さんに骨延長術による治療を行っております。創外固定という機械を体外に設置し、骨に対してゆっくり延長を行うことにより変形を矯正します。骨延長術は骨がない部分や、短い骨に対して新たに骨を作る治療法で、移植医療と異なり他の部分から骨をとったり他人の骨を使ったりしない利点があります。しかしながら延長期間が長いこと、創外固定を固定するピンやワイヤー刺入部での合併症が多いことなどの欠点もあります。適応となる疾患は、足の長さが異なる病気の片側肥大症、多発性内軟骨種など、低身長をきたす軟骨無形成症、成長ホルモン分泌不全症などがあります。これら以外にも、成長期のけがや腫瘍で骨が短縮変形した患者さんにも幅広く骨延長を行っております。骨延長術は小児に限らず、成人でも骨折や骨髄炎、腫瘍などで骨が広範囲になくなっていたり、強い変形が残っている患者さんにも行っております。

骨延長