浜松医科大学医学部附属病院

診療科案内

Speciality Guidance

脊椎外来

外来診療日:毎週月曜日(午前・午後)

脊椎外来では脊椎脊髄疾患全般にわたる診療を行っています。具体的には、次のような疾患の診断、治療を行っています。

脊椎外来で診療している疾患

椎間板ヘルニア
脊柱管狭窄症
脊髄症
脊柱靱帯骨化症
脊柱変形(側弯症、後弯症)
脊椎脊髄腫瘍、腰椎分離症
脊椎脊髄損傷
化膿性脊椎炎

特に積極的に取り組んでいるのは、難治性脊椎脊髄疾患の手術治療です。本邦で行われている脊椎手術のほぼ全てを網羅し、独自の工夫を行っています。特に、成人脊柱変形の矯正固定術(骨切り術)、後縦靱帯・黄色靱帯骨化症に対する除圧固定術、脊髄髄内腫瘍摘出術、脊椎腫瘍に対する椎骨全摘術などの治療に精力を注いでいます。

手術で重篤な合併症である神経損傷を回避し、安全に行うための工夫として、手術中に32チャンネルの誘発筋電位や体性感覚誘発電位などの脊髄機能モニタリングを使用しています。

成人脊柱変形に対する矯正手術

成人の脊柱変形に対しては、症状および画像の評価をもとに、適切な方法を選択して矯正固定術を施行します。本邦では欧米に比較して高齢者の脊柱変形で症状のある患者が多く、新たな手術術式を導入したり、骨粗鬆症のある高齢脊柱変形患者にも薬物治療を併用したりしながら手術を施行しています。


術前X線写真正面・側面像
手すりをもって何とか立っている状態


術後X線写真正面・側面像
体幹の前傾が改善し、手すりなしでも歩行可能になる

XLIF(側方アプローチ椎体間固定術)について

近年の低侵襲手術の中に側方進入腰椎椎体間固定(LLIF)があります。LLIFとは小切開で腰椎の側方から進入し、椎体間に大きなケージを挿入する方法です。当院では平成26年4月から導入しており、主に脊柱変形の矯正固定術と変形を伴う腰部脊柱管狭窄症に用いております。低侵襲でしかも良好な除圧矯正が得られるために、大変有用な方法です。しかし、この術式には腸管損傷や尿管損傷などの重篤な合併症の発生が報告されています。

当院では本手術を従来の小切開ではなく、ある程度大きな切開を加えておこなっています。大きく腸腰筋上や後腹膜腔を十分に展開することで、椎体椎間板を直視できる良好な視野を確保することができ、重篤な合併症が生じることを防ぐことができます。このようにしてより安全な手術を目指しています。また本術式では切開した創部の術後の痛みはほとんど生じません。つまり皮膚切開を大きくしても術後の痛み大きくなるわけではありません。それぞれの術式については、担当医師より詳しい説明を行いますので、かかりつけ医を通してご相談ください。

従来法の皮膚切開 3~4センチ

脊椎脊髄腫瘍に対する腫瘍摘出術

脊椎腫瘍などの症例には、腫瘍の性質を精査した上でより良い治療を行います。 単一椎骨の脊椎腫瘍に対しては、椎骨全摘術を施行し、疼痛や麻痺の除去に努め、根治を目指します。

脊髄腫瘍の症例には、脊髄機能モニタリングでの監視下で顕微鏡を用いて腫瘍摘出術を施行します。

特発性側弯症に対する選択的後方矯正固定術

思春期側弯症では椎弓根スクリューと高密度ポリエチレンテープを使用して、固定範囲はできるだけ短く、フラット・バック(平背)とならないような3次元的矯正を得る工夫をしています。正確にスクリューを挿入するためにO-armという術中CTとナビゲーションシステムを用いています。


術前X線写真正面・側面像


術後X線写真正面・側面像
胸椎・腰椎のカーブとも良好に矯正されている


術中o-アームによるCTナビゲーションシステム


スクリューの挿入方向をリアルタイムに確認できます