浜松医科大学医学部附属病院

施設案内

Facility Guide

ドナーさんの情報

〇もくじ〇

1.ドナーの探し方

2.健常人ドナーの適格性判定について

3.ドナー対象者

4.造血幹細胞移植ドナーになる条件

5.血縁者間ドナー(ご家族)

6.非血縁者間ドナー(骨髄バンク)

7.採取の方法

8.参考となるホームページ/参考文献


1.ドナーの探し方

同種造血幹細胞移植を行う場合、ドナーが必須になります。

ドナーになれる方は、HLA(エイチ・エル・エー)が患者HLAと一致することが条件となります。(HLAは全一致しなければならない場合と、そうでない場合があります)HLAとは、白血球の型で、数字で表記されます。例:HLA-A 24:02 , 33:03  HLA-B 52:01 , 44:03・・・(輸血で大事なA型、B型、O型、AB型は赤血球の型です。)当院では基本的にHLA-A,B,DRB1,C座の4項目の測定をします。

HLAの検査は、基本的に採血(2ml程度、採血スピッツ1本)で検査し、結果は、約2週間でわかります。

ドナーは血縁者間と非血縁者間があります。血縁者間は血のつながりがある場合の人をさし、非血縁者間はそれ以外の人をさします。

2.健常人ドナーの適格性判定について

ドナー適格性判定には、HLA検査の実施が必須となります。また、HLA結果においてドナー適応があっても、当院では以下のような健常人ドナーの適格性基準に従い、全身状態や社会背景を含めたドナー適格性を判定しています。

血縁者間は、日本造血・免疫細胞療法学会発行の血縁造血幹細胞(骨髄・末梢血)ドナー傷害保険加入適格基準に従い適格性を判定しています。また、公益財団法人 日本骨髄バンクが発行しているドナー適格性判定基準も参考にし、健常人ドナーとして安全に実施できるよう努めています。

非血縁者間は、公益財団法人 日本骨髄バンクが発行しているドナー適格性判定基準に従い、判定しています。ドナー適格の有無は日本骨髄バンクとともに実施します。

3.ドナー対象者

◇血縁者ドナー:患者さんのご家族(特にごきょうだい)から、HLAが適合する方をさがします。基本的に、ドナー候補者の方へは、ドナー担当主治医または造血細胞移植コーディネーターが介入します。

◇非血縁者ドナー:

  • 骨髄バンク:血縁者間でドナーが見つからないときは、公益財団法人 日本骨髄バンクへ登録を行い、ドナーを探します。骨髄バンクでドナーを探し始めてから移植するまで、平均4.5か月かかると言われています。
  • さい帯血バンク:血縁、骨髄バンクでドナーが見つからないときは、さい帯血バンクを利用してドナーを探します。さい帯血は、全国各地にあるさい帯血バンクにて、すでに採取され凍結保存されており、保存されている中から選択します。さい帯血バンクでドナーを探し始めてから移植するまで、1か月程度かかると言われています。

4.造血幹細胞移植ドナーになる条件

ドナーになる条件として、①患者のHLAと適合していること、②ドナー適格性基準上、問題のない健康で元気な1歳~60歳まで、③患者と親族6親等までの方(姻族関係は対象外としています)、④採取方法・流れ・リスクに同意されている方(ご家族の同意も必要)、⑤その他、身体的・社会的・精神的に問題のない方があります。 健常人ドナーは、血縁者間からの採取と、非血縁者間からの採取では手続きが異なります。

血縁者間ドナーは移植施設(病院)で、非血縁者間ドナーは骨髄バンクで調整を行っていきます。詳細は、各項目を参照してください。

5.血縁者間ドナー(ご家族)

HLA検査をする前に:ドナー候補者になった場合、あらかじめドナーの健康状態をこまかくに評価しなければなりません。また、ドナーになることを希望されるかどうか、ドナー候補者(家族も含む)に意思の確認をしてからHLA検査にすすみます。ドナーになることは、強制されることがあってはいけません。ドナーの自由意思と安全性を確保し、不利益を最小限にする必要があり、ドナーになる方の自発的な提供意思が尊重されます。

ドナー候補者になってから、身体確認、意思確認、HLA検査、採取準備~採取~採取後に至るまで、HCTC(造血細胞移植コーディネーター)が関わりながら、説明・相談を行いサポートしていきます。

 【ドナーになるまでの流れ(イメージ)】

  

6.非血縁者間ドナー(家族以外から=骨髄バンク)

非血縁者間のドナーについて:骨髄バンクの登録が必要になります。

骨髄バンク登録や仕組みに関する詳しい情報は以下のホームページを参照ください。

静岡県内の骨髄バンクに関する情報(静岡県公式ホームページ)

日本骨髄バンク「ドナー登録をお考えの方へ」

7.採取の方法

健常人ドナーから造血幹細胞の採取は、骨髄採取と末梢血幹細胞採取の2つの方法があります。採取のための準備は1か月程度前より行われます。採取方法によってスケジュールは異なりますが、採取前の健診、採取のための準備、採取のための入院、採取後の健診と5~6回程病院に訪れることになります。

また、造血幹細胞を採取するにあたり、医療スタッフはドナーの安全を最優先に対処しますが、それでも100%安全という訳ではありません。ここでは、起こりうる副作用・合併症についても説明します。

a.骨髄採取

方法:骨髄採取は、手術室で行われます。当院では全身麻酔をかけ、のどに管を挿入して人工呼吸を行います。その後体をうつ伏せにして採取を始めます。手術にかかる時間は麻酔の開始から人工呼吸が終わるまで2~3時間程度です。骨髄液は。うつぶせの状態で腸骨(骨盤の骨;ベルトの背中側の位置より少し下くらい)にボールペンの芯ぐらいの太さの針を穿刺し、注射器で吸引します。骨髄採取は複数個所からの穿刺が必要になります。採取する骨髄液の量は、移植を受ける患者さんの体格によって変わりますが、通常は500ml~1,000ml になります。

流れ:術前健診後、自己血貯血を1~2回行います。骨髄採取の入院は基本3泊4日です。術後健診は2~4週後に行います。問題がなければ骨髄採取のための通院は終了となります。

副作用・合併症:全身麻酔による副作用、のどの管を抜いた後の痛み・違和感、針穴からの出血・感染、一過性の発熱や倦怠感、吐き気など

その他副作用や合併症の詳細は、骨髄バンクHP>ドナーのためのハンドブックをご参照ください。

日本骨髄バンク 「ドナー登録されている方へ」

b.末梢血幹細胞採取

方法:G-CSF製剤を連日投与後、末梢血幹細胞採取を行います。G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)は、白血球を増加させるとともに、体を流れる血液の中に含まれる造血幹細胞を増やす効果のあるものです。

流れ:術前健診後、基本的に通院はありません。末梢血幹細胞採取の入院は基本4泊5日ですが、採取日が延長すると入院も延長します。術後健診は2~4週後に行います。問題がなければ末梢血幹細胞採取のための通院は終了となります。

副作用・合併症:G-CSF製剤の影響で骨の痛み、発熱、頭痛、倦怠感、不眠、食欲不振、吐き気などが起こる可能性があります。また、採取当日に、血圧が低下や唇や指先のしびれが生じることがあります。その他副作用や合併症の詳細は、骨髄バンクHP>ドナーのためのハンドブックをご参照ください。

日本骨髄バンク 「ドナー登録されている方へ」(外部リンク)