University Hospital Introduction
当科では、令和7年12月から手術支援ロボット「da Vinci Xi」(ダビンチ Xi)を用いた経口的ロボット支援手術を開始しました。
耳鼻咽喉科・頭頸部領域には、口やのどの奥など、狭く複雑な部位が多くあります。特に咽頭・喉頭は、飲み込む、話す、声を出すといった日常生活に大切な機能が集中している部位です。そのため、がんを確実に切除することに加えて、できる限り嚥下機能や発声機能を温存することが重要です。経口的ロボット支援手術では、術者が鮮明な3D画像を見ながらロボットアームを操作し、口から咽頭や喉頭の腫瘍を切除します。ロボットが自動で手術を行うわけではなく、専門の訓練を受けた医師が手術支援ロボットを操作します。
手術支援ロボット(手術室の様子)
当科で行う経口的ロボット支援手術は、主に中咽頭がん、下咽頭がん、一部の喉頭がんが対象となります。
主に早期がんが対象となり、原則として腫瘍の大きさが4cm以下で、周囲組織への明らかな浸潤がない病変が適応となります。経口的ロボット支援手術が適しているかどうかは、がんの部位、大きさ、深さ、周囲組織への広がり、口の開きやすさ、頸部リンパ節転移の状態、全身状態などによって異なります。内視鏡検査や画像検査などを行い、患者さんごとに治療方針を検討したうえで適応を判断します。
経口的ロボット支援手術は、口からアプローチして咽頭や喉頭の腫瘍を切除する手術です。手術では、全身麻酔を行ったうえで、特殊な開口器を用いて口腔内を広げます。その状態で、カメラ用アーム1本と手術操作用アーム2本を口から挿入します。術者(執刀医)はコンソールに座り、鮮明な3D画像を見ながら、ロボットアームに取り付けた電気メスや鉗子を操作して手術を行います。患者さんのそばでは、助手(医師)が吸引や組織の牽引などを行い、術者と連携してより安全に手術を進められるようサポートします。
コンソールでの術者操作の様子
この手術では、狭く深い部位でも鮮明な視野を得ながら、より繊細で安定した操作ができるよう手術支援ロボットが術者を支援します。手術支援ロボットの3Dカメラにより、術野を立体的に拡大して観察することができます。また、手ブレを抑える機能や、関節を持つ手術器具により、従来の経口的手術では操作が難しかった部位でも、より精密な操作が可能になることが期待されています。これにより、腫瘍の根治的な切除を目指すとともに、嚥下機能や発声機能をできる限り温存することを目標としています。

経口的ロボット支援手術(術部の様子)
腫瘍が深く浸潤している場合、周囲の重要な血管や神経に近い場合、病変が広範囲に及ぶ場合、口が十分に開かない場合などは、経口的ロボット支援手術が適さないことがあります。その場合には、経口的内視鏡手術、頸部外切開による手術、放射線治療、薬物療法などを含めて、より適した治療方針を検討します。
また、手術後には飲み込みにくさやのどの痛みが生じます。術後は経鼻胃管などを挿入して経過観察します。術後の食事開始時期や入院期間は、切除範囲や患者さんの状態によって異なります。
経口的ロボット支援手術は、狭い咽頭・喉頭領域で行う高度な手術です。当科では、術者、助手、麻酔科医、手術室看護師などが連携し、チームとしてより安全な手術の実施に努めています。
手術前には、内視鏡検査や画像検査をもとに、病変の範囲、切除方法、術中・術後のリスクを検討します。必要に応じて、放射線治療や薬物療法など他の治療方法も含めて検討し、患者さんにとってより適した治療を提案することを心がけています。
この治療には、適応患者さんにとってこれらの利点のほかに留意すべき点もあります。経口的ロボット支援手術の適応は、病変の部位や進行度、全身状態などによって異なります。治療をご希望される方、または経口的ロボット支援手術の適応について相談されたい方は、まずはかかりつけ医または近隣の耳鼻咽喉科にご相談ください。そのうえで、必要に応じて当科へご紹介いただき、詳しい検査と治療方針の検討を行います。
咽頭・喉頭がんが疑われる症例、内視鏡検査で限局した病変を認める症例、または治療方針の検討が必要な症例がございましたら、当科で精査・治療適応を検討いたします。
経口的ロボット支援手術の適応は、腫瘍の大きさ、周囲組織への浸潤、病変の位置、開口制限の有無、頸部リンパ節転移の状態、全身状態などを総合的に判断します。治療方針に迷われる症例がございましたら、当科へご紹介ください。(本院は外来受診予約制を導入しております。)