浜松医科大学医学部附属病院

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胎児診断外来について

 現在、産科医療においても、医療機器の進歩とともに多くの情報が得られるようになり、赤ちゃんの状態と出生後に予想される状態を把握できるようになりました。本院産科婦人科では、令和6年5月より、胎児に関わる問題について専門的に診療する「胎児診断外来」を開設いたしました。おなかの中にいる赤ちゃんの臓器の問題をメッセージとして丁寧に聞き取り、その声をご家族と共有するとともに、より確かな診断に基づく、周産期の管理・準備・支援を目指してまいります。

1. 胎児診断の目的は何ですか?

 赤ちゃんの診断を伝えられることで、お母さんもご家族も不安や心配を感じるかと思いますが、もしこのような情報が全くない状況で赤ちゃんが出生して、赤ちゃんの具合が思わしくない場合には、限られた時間で検査を実施し、正確な診断をして治療を開始する必要があり、ご家族も限られた時間の中で病状や治療内容を理解していただくことになります。
 一方、胎児診断が行われていると、出生前から赤ちゃんの状態や病気を理解し、十分な説明と準備を行いながら妊娠を考えることができますし、また出産を待つことができます。このように胎児診断をすることは、超音波検査で見えた結果をお伝えするだけではなく、赤ちゃんとご家族にとって現時点で考えられるより良い医療を提供するための準備に欠かせないものの一つになってきていると私たちは考えております。

2. どこまで胎児診断できますか?

 医療機器の進歩とともに多くの情報が得られるようになり、赤ちゃんの状態と出生後に予想される状態を把握できるようになりました。とは言え、超音波検査にもその特性があり限界もあります。一般的には、構造の変化が大きく、出生直後より症状が発症する疾患は診断がしやすく、構造の変化がほとんどなく、出生後すぐに発症しない疾患は診断が難しいとされています。ただし、出生直後より危機的な状況になる疾患でも、超音波検査で変化を捉えるのが難しいとされている疾患もあります。また、最終的には異なる疾患であっても、胎児期には全く同じように見えるようなものも存在します。つまり、疾患の種類により胎児診断の確からしさが異なりますし、構造的には同じ疾患名でも、例えばわずかな大きさの差によって重症度が大きく異なることもあり、治療方針自体が変わることもあります。このように出生後の重症度を正確に完璧に胎児期に予測するのが難しいことがあるのも事実です。
 しかし、先述のように胎児診断の主たる目的は、出生後の準備にあります。したがって診断の完璧さを追求することのみがゴールではなく、例えば台風の予想円のように、ある程度の幅を持って出生後の経過や状態を予測し、どんな場合でもより適切に対応できるよう万全の準備をすることを心がけています。
 なお、超音波検査はあくまでも「見た目」の検査ですが、疾患は必ずしも構造的な変化があるものだけではありませんので、超音波検査で検出できる疾患には限界があるのも事実です。また、生まれてからすぐに気付けるような構造的な変化があるような疾患でも、生まれる前には変化が認められず、正常所見との違いが明確でない場合には、診断が困難あるいは不可能なこともあります。

3. 検査の流れ

 検査は、基本は超音波検査(保険)をまず行います。そのうえで必要に応じて、MRI(自費)、 CT(自費)、 羊水検査(自費)などの検査を個別にご提案していくこともあります。

⑴ 予約
 ご紹介元より本院地域連携室を通して、産科婦人科胎児診断外来に予約を取っていただきます。予約日時は基本的には火曜日もしくは木曜日の午後となります。

⑵ 検査時間
 1回の検査時間は、週数や疾患の種類、観察条件などによりますが、概ね30分~60分程度要します。検査時間の長さと問題の大きさは必ずしも一致しませんので、検査時間の長さそのものに気を取られず、まずは私たちに赤ちゃんを観察させていただければと思います。

⑶ 結果の説明

      • 説明のタイミング 
         説明は、一連の超音波検査が完了した後にしっかり時間をとって行います。必ず精査完了後に行われ、検査をしながら解説するということはいたしません。その際、ご理解を深めていただけるよう、基本的には個別に文書を作成し、それをもとに説明することとしております。そのため説明前に文書を作成する時間をいただくことがあります。
      • 説明に要する時間
         説明に要する時間は、問題となる臓器や病態によっても変わります。概ね30~60分程度となることが多いですが、ご質問への回答など含め60分以上となることも決して稀ではありません。
      • 説明が初診日より後日になる可能性
         可能な限り、初診した即日に赤ちゃんのことをお伝えしたいと考えておりますが、観察条件によっては、1回の観察のみでは診断・解説が難しいこともあります。また、経過を見ないと判定できないような場合もあります。できるだけ間隔を空けずに再検査させていただいたうえで説明させていただきたいと思います。
      • 説明をお聞きいただきたい方
         赤ちゃんの問題におきましては、国際的な推奨にも準じて、基本的にご夫婦お二人に説明させていただくこととしております。ただ、初診日にお二人そろっての来院が難しい場合には、お一人での受診でも全く構いません。その場合には初診された日に、ご夫婦そろって来院可能な日を改めて調整して別に説明日を設けることも可能です。なお諸事情によりご夫婦がどうしても同席不可能な場合にはこの限りではありません。適宜対応いたします。

⑷ 精査入院
 遠方にお住まいだったり、数多くの反復した観察を要する場合や、より長時間の観察を要する場合などには、担当医師から短期間の精査入院(通常1~3泊程度)を提案させていただくことがあります。その場合の説明も精査が完了してからとなりますので、退院日にお迎えに来ていただいた際に、ご夫婦揃った状況で行われる見込みです(ご都合次第では、説明を退院後の別日に設けることも可能です)。

4. 費用

 初診日は基本的に保険診療ですが、同一週など保険適応とならない間隔で反復して行われる超音波検査につきましては自費診療となります。説明が完了した後の再診につきましては、基本的には通常の妊婦健診の一環として胎児超音波を実施する方針としています。

5. お問い合わせ

浜松医科大学医学部附属病院 産科婦人科
電話番号 053-435-2662 (産科婦人科外来)
受付時間 月曜日, 火曜日, 水曜日, 木曜日 15時00分~16時30分
担当医師 新谷(しんや)光央(みつひさ)

※疾患に対する解説などのお問い合わせには対応しておりません。
※本院は外来受診予約制です。まず、かかりつけ医にご相談のうえ、お問い合わせください。