Speciality Guidance
慢性腎臓病は日本で1330万人いるとされ、70歳代の3人に1人、80 歳代の2人に1人が慢性腎臓病です。超高齢化社会に伴って今後も増加していくと考えられています。当科では
1) 慢性腎臓病の早期発見
2) 慢性腎臓病の進展予防
3) 慢性腎臓病の合併症対策
4) 合併症としての慢性腎臓病管理
を行なっています。慢性腎臓病患者には糖尿病や心疾患と併存していることが多く、他科と連携しながら対応しています。また、かかりつけ医との病診連携を積極的に取り入れています。かかりつけ医から紹介頂いた場合は、当科で評価した慢性腎臓病の原因と対策をかかりつけ医に還元しながら、併診しています。手術や化学療法を行なう入院中の慢性腎臓病患者に対する管理も当科で対応しています。腎炎、ネフローゼ症候群に対しては可能な限り腎生検を行い、方針を決定したあとにステロイド剤、免疫抑制剤、抗血小板剤の投与、抗凝固療法などを行っています。他院から紹介されてくる難治症例も多いですが、新しい治療法も積極的に導入して、多くの例で効果をあげています。特に、尿蛋白量が多く予後不良が予想される症例の治療に積極的に取り組んでいます。末期腎不全に陥った症例には、従来からの血液透析、血液濾過のほか、PD(腹膜透析)も行っております。 維持透析は、原則関連病院で行っています。合併症の治療や眼科、耳鼻科、外科など他科での手術の場合、入院中の透析管理を行っています。常染色体優性多発性嚢胞腎に対して、のう胞腎外来を設置し、専門的加療を行っています。遺伝カウンセリングとも連携を取っています。電解質(N a、K、C a )代謝異常、高血圧、急性腎障害の病態の解明と治療にも力を注いでおり、学会報告も多く行っています。特に敗血症性ショック対する急性血液浄化療法や、急性腎障害に対する診断と治療では高い実績を重ねています。