浜松医科大学医学部附属病院

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免疫リウマチ内科

2023年8月1日更新

 

1.はじめに

 リウマチ膠原病疾患は患者数からすると、高血圧症や糖尿病のように多くの患者がいるわけではありませんが、難病が多く、慢性疾患が主体であり、医師、患者ともに生涯付き合っていかなければならない疾患群です。静岡県においては、リウマチ膠原病を専門とする医師が非常に少なく、県内唯一の医科大学としてリウマチ膠原病専門医を育成することが当科の重要な役目です。
 この分野の疾患の特徴として、特定の臓器の障害にとどまらず全身性疾患であることがあげられます。一方、基礎免疫学は日進月歩で進みつつあり、その成果が急速に臨床分野に応用されています。抗サイトカイン製剤や細胞内シグナル伝達物質を阻害する薬剤などは、その代表的な例です。患者さんの身体の中で、どのような免疫学的異常が生じていて、それがどのようなメカニズムで疾患を引き起こしているかを丹念に解析していく能力を身につける必要があります。またリウマチ膠原病は社会的弱者である女性、特に妊娠、出産が可能な若い女性に多く、「疾患を診る」というよりも「患者を診る」という人間的対応が要求されます。
 総合診療内科的な能力とリウマチ膠原病の専門的知識を養いつつ、人間味あふれる医師を育てるためのプログラムです。チャレンジ精神旺盛の若手医師を待っています。

1-3-3免疫リウマチ内科 小川先生.jpgプログラムリーダー 
浜松医科大学医学部免疫リウマチ内科 科長兼病院准教授 小川 法良

 

2.目的

 本プログラムは、初期臨床研修を終えてリウマチ専門医を目指す医師を対象としている。卒後6年目に新内科専門医を取得し、新内科専門医プログラムでsubspeciality研修を選択した場合、最短で卒後7年目にリウマチ専門医試験を受験できる。

(1) 研修は、(A)ネットワーク責任病院としての浜松医科大学医学部附属病院と(B)リウマチ膠原病科に
    おいて基本的なリウマチ膠原病学の習得を目指すリウマチ膠原病専門基幹病院において行う。

(2) リウマチ膠原病の知識のみならず、一般内科医としての必要かつ十分な知識と技術を身につける。

 

3.目標

 日本リウマチ学会の「リウマチ専門医研修カリキュラム」に準拠した研修を行う。

(1) リウマチ専門医としての基礎知識および臨床的知識を習得する。

(2) リウマチ専門医としての診療技術(診察、検査、診断、治療)を習得する。

(3) リウマチ専門医としての手術、処置技術を習得する。

(4) リウマチ専門医としての医療倫理、医療安全、医療システム(診療関係書類、保険医療、介護保険)
   を習得する。

(5) リウマチ専門医としての生涯教育を学ぶ。

(6) 整形外科カンファレンスに参加し、関節手術の見学を行う。

 

4.特徴

(1) リウマチ専門医は、特定の臓器の障害だけでなく、広く全身の異常を的確に把握する能力が
    求められる。このため、まず病歴聴取、身体所見の確実な取得ができるように指導する。

(2) Problem oriented systemに従い、アセスメントおよびプランの策定ができる能力を養成する。

(3) 一般臨床検査ならびに免疫学的検査の意義、解釈方法などを習得する。

(4) 全身的な異常の把握のためには、画像検査が欠かせない。エコー、CT、MRI、PET検査を含む
    RI検査の意義と読影法を習得する。

(5) 貴重な症例を経験した際には、学会発表を経て、論文報告の指導を行う。

(6) 本プログラムに参加している指導医は多くが医学博士号および総合内科専門医、リウマチ専門医
    資格を有しており、一部の指導医は海外留学経験を持ち、国際的な学会発表や英語論文の指導が
    可能である。

(7) 本プログラム修了後には、一般病院勤務、大学病院での診療および研究活動(大学院含む)、
    国内および海外留学などさまざまなキャリア形成が可能となっている。

 

5.研修カリキュラム

(1) 最新の日本リウマチ学会専門医研修カリキュラムをもとに作成されている。計3年間の研修を終えた
    時点で、日本リウマチ学会リウマチ専門医の受験資格の要件を1つ満たすこととなる。

(2) 提供される教育機会

   ・リウマチ専門医による症例発表会と臨床研究の検討会

   ・各医療機関における症例検討会(CPC含む)および論文抄読

   ・静岡県免疫疾患研究会への参加および発表

   ・静岡リウマチネットワーク学術講演会への参加

   ・膠原病エキスパートセミナーへの参加

   ・免疫リウマチ内科、整形外科合同カンファレンスへの参加

   ・英語による症例プレゼンテーションレッスンへの参加

   ・日本内科学会(総会、地方会)への参加と教育セミナーへの出席(単位認定)

   ・日本リウマチ学会(総会、地方会)への参加と発表(単位認定)

6.研修例

 1-3-3免疫リウマチ内科 表.jpg

7.研修指定病院

 (A) 浜松医科大学医学部附属病院免疫リウマチ内科

 (B) リウマチ膠原病専門機関病院:市立御前崎総合病院、藤枝市立総合病院、沼津市立病院、
   聖隷浜松病院、聖隷三方原病院、浜松医療センター、静岡県立総合病院、静岡赤十字病院

8.研修期間と研修内容

(1) プログラム全体の研修期間は5〜6年間

(2) 研修内容と到達目標

・第1段階

  ①基礎知識
    基礎免疫学、自己免疫、免疫不全、病理、疫学、遺伝学、関節の構造と機能、炎症など

  ②リウマチ性疾患の主要症候
    全身症状、関節症状、関節外症状

  ③検査
    免疫血清検査、病理組織学的検査、免疫遺伝学的検査、各種画像検査、生理学的検査など

  ④治療
    抗リウマチ薬、関節穿刺法、血液浄化療法、リハビリテーション、外科治療

  ⑤リウマチ性疾患
    全身性結合織病(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎/多発性筋炎、
   血管炎症候群)、膠原病類縁疾患(シェーグレン症候群、ベーチェット病など)、脊椎関節炎、
   変形性関節症、感染に伴う関節炎、代謝性関節炎、新生物、骨軟骨疾患、関節外疾患など

・第2段階

   リウマチ性疾患の病態を理解し、専門医の指導の下に一般的な診断・治療ができる。自己抗体の測定
   法、意義の習得。ステロイド剤、免疫抑制剤の使い方の習得。

・第3段階

   リウマチ性疾患の病態を理解し、専門医の指導の下に高度な診断・治療ができる。ステロイドパルス療
   法、生物学的製剤の使い方、血液浄化療法(血漿交換療法、白血球除去療法)の習得。

・目標症例数

   ①関節リウマチ       30例   ②全身性エリテマトーデス  10例

③強皮症            5例   ④多発性筋炎/皮膚筋炎     5例

⑤血管炎症候群         3例   ⑥ベーチェット病        5例

⑦シェーグレン症候群    10例   ⑧混合性結合組織病       5例

⑨血清反応陰性脊椎関節症    2例   ⑩線維筋痛症          5例