Adoption Information
2年の研修終了後の選択肢(臨床検査専門医)
臨床検査医として医療・医学に関わってみませんか
1)浜松医科大学臨床検査研修プログラムの目的と使命
浜松医科大学臨床検査研修プログラムの目的と使命は以下の5点にまとめられます。
1)専攻医が臨床検査に関する知識、技能を習得すること。
2)専攻医が臨床検査を通して診療に貢献すること。
3)専攻医が臨床検査の研究法を習得すること。
4)専攻医が医師として適切な態度と高い倫理性を備えることにより、患者・メディカルスタッフに
信頼され、プロフェッショナルとしての誇りを持つこと。
5)臨床検査専門医の育成を通して国民の健康・福祉に貢献すること。
臨床検査はEvidence Based Medicineにおける客観的な指標として、診療に欠かせないものです。臨床検査の
全般において、その品質の向上と維持に努め、適切かつ信頼性の高いサービスを通して良質で安全な患者診療に
貢献する専門医が臨床検査専門医です。そのような専門医を育成すべく、浜松医科大学臨床検査研修プログラムにおいては、指導医がみなさんの教育・指導にあたりますが、みなさんも主体的に学ぶ姿勢をもつことが大切です。本研修プログラムでの研修後に皆さんは、臨床検査の基礎医学的背景、方法論、臨床的意義を十分に理解し、それを元に医師をはじめ他のメディカルスタッフと協力して適正な医療の実践に貢献することになります。
具体的な例として、γ-GTという検査項目を取り上げて臨床検査専門医を特徴づけてみます。この項目が胆汁
うっ滞やアルコール飲酒で高値となることは医学生でも知っています。しかし、なぜ高値になるのかを説明する
ためには、この物質がどのように合成され(アルコールやある種の薬剤で誘導される)、どのように代謝される
(本来は肝細胞ミクロゾームと毛細胆管上皮細胞膜に存在し、胆汁中に排泄されるが、閉塞機序で血流に入ったり、酵素誘導によって産生増加)のかを知る必要があります。また、値付けの根拠や測定法の概要、その標準化の知識を持つことは、信頼できるデータを提供するため、または思わぬ検査エラーにも対処するために必要なことです。このように、臨床検査専門医は臨床検査医学、臨床医学全般に関わる総合的な科学者と位置づけられます。この学際的な側面は、診療だけでなく研究にも参画できる能力を発揮することになります。
本研修プログラムでは、臨床検査医学総論、一般臨床検査学・臨床化学、臨床血液学、臨床微生物学、臨床免疫学・輸血学、遺伝子関連検査学、臨床生理学の基本7科目の研修を行います。基幹施設である浜松医科大学附属病院で多くの研修を行いますが、連携施設(聖隷浜松病院、静岡赤十字病院)での研修を行うことにより、深みのある研修となるように工夫しています。
研修の修了が認定されたら専門医認定試験の受験資格が与えられます。この試験に合格すると、臨床検査専門医となります。臨床検査専門医には、さらに経験を積み大規模中規模施設の臨床検査部門を管理・運営すること、指導医となって現在は数少ない臨床検査専門医を育成すること、教育研究機関において臨床検査医学の教育・研究を担うことが期待されます。
2) カリキュラム制研修について ~他基本領域専門医取得者のセカンドキャリアとして~
初期臨床研修後の専攻医、それ以外でも希望する専攻医には、本プログラムに即した研修をしてもらいます(プログラム制)。
一方、臨床検査専門医を目指す者として、初期臨床研修後すぐに専攻医となるのはもちろんのこと、他領域で経験を積んだ後に当該専門領域のキャリアを踏まえて、より検査診断に特化した力量と資質の習得を目指すことも重要です。臨床検査をストレート研修した者と、様々な経験の後に研修した者、両者が横断性のある臨床検査専門医の集団を形成していくことが、臨床検査医学の発展およびそれに基づく良質かつ安全な患者診療の提供に貢献します。臨床経験豊富な他基本領域専門医取得者には、初期臨床研修修了後の専攻医と同じプログラム制の研修はそぐわないと考えられ、この場合は、カリキュラム制の研修を行うことを可能とします。また、初期臨床研修修了後に義務年限を有する場合や、特別な事情でプログラム制の研修が困難な場合にもカリキュラム制研修を選択できます。カリキュラム制とは、研修の形態の詳細は問わず、到達目標を達成すれば認定試験受験資格を与えるものです。
(1)初期臨床研修中に選択必修あるいは自由選択により臨床検査を研修することはできますが、これを
専門研修の一部に充てることはできません。
(2)専門研修の3年間は、それぞれ医師に求められる基本的診療能力・態度(コアコンピテンシー)と
日本臨床検査医学会が定める「臨床検査専門研修カリキュラム」にもとづいて臨床検査専門医に求め
られる知識・技能の修得目標を設定し、基本科目修了の終わりに達成度を評価します。具体的な評価
方法は後の項目で示します。
(3)臨床検査の基本科目とそのおおまかな研修期間は以下の通りです。原則として基本検査科目ごとに
独立し集中して研修し、ローテーションすることになります。その順序は原則自由です。効率よく、
同時並行で研修することもあります。
①臨床検査医学総論:2~4ヶ月
②一般臨床検査学・臨床化学:4~6ヶ月
③臨床血液学:4~7ヶ月
④臨床微生物学:4~7ヶ月
⑤臨床免疫学・輸血学:2~4ヶ月
⑥遺伝子関連検査学:1~2ヶ月
⑦臨床生理学:2~6ヶ月
診療の現場は浜松医科大学医学部附属病院検査部で、兼業は週に8時間まで可能です。
岩泉 守哉(検査部長、准教授)
岩泉 守哉(検査部長、准教授)
mail/ iwaizumi●hama-med.ac.jp (●を@に変換して送信してください)