教育

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臨床研修案内

精神科専門医(後期研修医)研修プログラム

 

 2020年のわが国における精神疾患を有する患者数は600万人を超え、2005年の300万人から倍以上に急増しています。この患者数は、5大疾病の中でも20年以上連続して1位を維持しています。しかも精神疾患の半数は10代半ば(14歳)までに発症し、4分の3が20代半ばまでに発症するため、中高年期以降に大部分が発症する他の5大疾病に比べて障害調整生命年が大きく、障害による健康生活への影響が長期にわたって大きいことが特徴です。また精神医学は、小児期から老年期まで、そして統合失調症、うつ病、双極性障害、不安症から認知症を含む器質性精神障害や発達障害や摂食障害や依存症まで、非常に広大な領域をカバーしています。さらにゲーム障害のように新しい精神障害も加わり患者数の急増につながっています。この広大な領域を含む精神医学について社会的な重要性の認識が高まる一方で、未知の領域が大きく現在も進化途上の学問です。併発診断の多い精神疾患の診療をする上では、多様な精神疾患を診断・治療する能力を兼ね備えていなければ一人一人の患者さんについて併発診断も含めた正確な診断ができず治療が不十分になってしまいます。

 浜松医科大学精神科専門研修プログラムは、人口約360万人の静岡県で唯一の大学医学部であるという特性を生かして、基幹病院である浜松医科大学附属病院と精神医学の広大な領域を網羅する24の多様な連携施設で構成しています。浜松医科大学附属病院は、大学病院の指導・教育体制と地域医療の中核病院としての機能を兼ね備えています。豊富なカンファレンスや講演・講義やワークショップなどの教育プログラムが充実し、教育・指導経験豊富な8名の指導医が揃い、電気けいれん療法やクロザリル治療などの難治性症例の治療体制が整い、コンサルテーション・リエゾン精神医学や認知行動療法を中心とした幅広い精神療法や摂食障害治療、そして児童青年期精神医学の臨床が充実し、脳画像解析や治療法開発の領域では世界トップクラスの実績をあげている精神医学研究に携わることもできます。静岡県と愛知県にまたがる24の連携施設では、合計83名の指導医が在籍し、精神科救急や心理社会的治療法や児童精神科臨床や依存症や認知症の治療、そして精神科リハビリテーションに代表される、多様な地域精神医療が経験できる市中の医療機関で幅広い研修を受けることができます。したがって、幅広い臨床あるいは研究も含めてさまざまな選択肢を有し、多様な疾患についての診療能力を身に付け、精神医学の豊かで底知れない将来性・可能性を傍受することができるプログラムになっています。

プログラム統括責任者 浜松医科大学医学部附属病院精神科神経科 教授 山末 英典

詳細はこちら をご覧ください。

問い合わせ先

浜松医科大学医学部附属病院 精神科神経科 医局長 和久田智靖

E-mail:wakuda●hama-med.ac.jp (●を@に変換して送信してください)

TEL:053-435-2295/ FAX:053-435-3621

初期研修医プログラム


 浜松医大精神科は卒後臨床研修を受け入れています。原則的に浜松医科大学臨床研修プログラムに準じた募集および研修内容となります。当病院の臨床研修プログラムの最も大きな特徴は、大学と市中病院のたすきがけを基本としているところで、先進的で高度な医療を経験できるとともに、地域医療なども含んだ総合的な一般医療も幅広く研修することが可能です。また、大学では、統合失調症や気分障害や器質症状性精神障害の急性期治療から、摂食障害の入院治療プログラムや入院森田療法や発達障害などの児童青年期精神医学まで、国内随一の幅広い臨床経験を積むことが可能です。研修内容などについてご質問などがあれば、浜松医科大学卒後教育センターにご連絡下さい。

問い合わせ先

浜松医科大学 卒後教育センター 初期研修支援係

E-mail:syoki@hama-med.ac.jp

TEL:053-435-2865/ FAX:053-435-2866

臨床心理士の研修について

 当科では毎年、臨床心理研修生を受け入れています。研修(約2年)の目的は、多様な精神疾患をもつ方々に接することを通して、精神疾患について理解を深め、適切な援助を構築する力を身に着けることにあります。下記に当科の研修のコンセプトを示します。

 

研修のコンセプト

 精神医学講座臨床心理室では、心理臨床を実践していくにあたって、いかなる領域においても、下記のような3つの技能が求められると考えています。

            

上述のような技能を身に着けていくことは、一朝一夕になしうるものではありません。様々な経験の積み重ねと学びの中で徐々に養われていく力であると考えています。

当科の臨床心理研修生制度は、多様な経験を積む中で、こうした3つの技能を実践的に涵養できるよう、医療領域での実践を基礎に、教育、行政、福祉などの様々な関連諸機関と連携をし、研修生に実践の場を提供しています。また研修先には、心理研修生の先輩方がいる場も多く、幅広い経験層の方々から成るネットワークがあるため、日常的に臨床上の困難について相談が可能です。「研修生」という名称を用いていますが、実際には当科を含む、多様な現場での職員となって実務を行いますので、相応の責任が伴いますが、現場での実践をサポートする体制が整っています。

研修1年目の到達目標

① 予診を通じて診断に必要な情報を正確に聴取出来る。
② ロールシャッハ・テスト、SCT、WAIS-Ⅳ、WISC-Ⅳ、PARS、MMPI、P-Fスタディ、Y-G性格検査など各種心理検査の実施、解釈が出来る。


研修2年目の到達目標

① 精神医学・臨床心理学についての基礎知識を獲得し、治療のための見立てが立てられる。
② うつ病、強迫性障害、パニック障害等の治療(認知行動療法、森田療法など)が出来る。
③ 後輩心理士の予診、心理検査の指導が出来る。


浜松医科大学医学部附属病院精神科での研修

8:15  病棟ナースカンファレンスに参加

8:30  病棟全体カンファレンスに参加

9:00  病棟診療グループのカンファレンスに参加

9:30  初診の患者の予診(現病歴、生活歴、家族歴等の聴取)

     予診について先輩心理士によるSV

10:30  外来・病棟の心理検査(ロールシャッハ・テスト、WAIS-Ⅳ、WISC-Ⅳなど)

12:00  昼食

13:00  外来・病棟の心理検査、カウンセリング

     心理検査(Y-G、P-Fスタディ、MMPI、SCT等)の解釈

18:00  心理検査についてグループSV

     心理療法についての個人SV(適宜職員の心理士が実施)


浜松医大の研修で定期的に実施している講座

  • 職員、研修生合同での事例検討会(毎月1回)
  • 認知行動療法実践研修会(毎月1回)

浜松医大の研修で不定期で実施している講座

  • ロールシャッハ・テストの実施とスコアリング
  • ロールシャッハ・テスト事例検討会
  • WAIS-Ⅳ、WISC-Ⅳ等の陪席
  • 症状評価尺度(うつ病、統合失調症、強迫性障害、発達障害など)の実施方法
  • バウムテストについて
  • 不安障害への森田療法
  • 物質関連障害の治療
  • 人格障害の治療
  • 解離と自傷行為への対応
  • トラウマ治療の実際
  • 強迫性障害の治療
  • 集団精神療法の実際
  • スクールカウンセラーの仕事

研修スケジュールの一例

浜松医大での研修(教授回診・精神医学講座勉強会)

関連病院勤務

浜松医大での研修

浜松医大での研修

関連病院勤務

関連病院勤務

休日(※研究、学会の手伝い等が入ることがあります)

※外勤先および浜松医科大学にて日給で給与が支払われ、1年目は週4程度、2年目は週5程度の給与になります。1年目の1ヶ月の収入は16万ほどです。

※外勤先での心理検査の解釈、所見の書き方についても浜松医大の心理士の先輩が指導をします。
※その他、外勤先で困っていることなど適宜、相談できる体制が整っています。


研修生の進路

研修期間は目安として2年間としておりますが、そのまま、当科や関連病院や関連諸機関等に在籍をする方々も多くいます。一方で、研修生は全国各地から集まっているため、2年の研修を修了後に、地元に戻るなどの選択をされる方もいますが、研修終了後も情報交換を行ったり、当科で主催する研修会に参加されるなど、多くの方が2年間で培われた関係を維持されています。いずれにしても、長期的な観点に立ち、多様な経験の中から、自身の臨床観を徐々に構築し、自分なりの臨床のスタイルや生活スタイルを築き上げていくことを重要視し、将来的なキャリアアップを支援していきたいと考えています。


常勤

浜松医科大学医学部附属病院/浜松医科大学子どものこころの発達研究センター/朝山病院/葉月クリニック/藤枝駿府病院/沼津ふれあいホスピタル/沼津中央病院/聖明病院/共立湖西病院/遠江病院/磐田市民病院/小笠病院/浜松市発達医療福祉センター/天竜病院/子どものこころの診療所/やきつべの径診療所/こひつじ診療所/グリューンメンタルクリニック/川口会病院/焼津病院/磐田市発達支援センターはあと/静岡県立こころの医療センター/静岡県立こども病院/浜松市発達相談支援センター ルピロ/静岡県職員/静岡市職員/浜松市職員/他県公務員心理職、他県大学病院職員 など

非常勤

浜松医科大学保健管理センター/静岡県立こころの医療センター/城北公園クリニック/朝山病院/メンタルクリニック・ダダ/ダダ第二クリニック/浜松医療センター/天竜病院/浜松労災病院/子どものこころの診療所/神経科浜松病院/三方原病院/葉月クリニック/たまゆらメモリークリニック/小池神経科/遠江病院/磐田原病院/菊川市立総合病院/川口会病院/富士市立総合病院/三島森田病院/紘仁病院/磐田市民病院/磐田市保健所/西部児童相談所/浜北保健センター/浜松市スクールカウンセラー/静岡市スクールカウンセラー/静岡県スクールカウンセラー/静岡大学附属中学スクールカウンセラー/聖隷クリストファー高校スクールカウンセラー/浜松市立看護専門学校 非常勤講師/常葉大学 非常勤講師/静岡医療科学専門学校 非常勤講師 など

募集要項

研修期間 約2年間 


募集人員 8名程度


研修開始 2024年4月より


応募資格

・公認心理師受験資格保持者(現任者を含む)であること。
・体力に自信があり、浜松市もしくはその近郊での非常勤勤務が可能であること。
・車での移動が可能であること。


出願手続き

応募方法

下記メールアドレスに必要事項を記入の上、送信後、以下の書類を郵送して下さい。

hama_psy_psycho@yahoo.co.jp

〈必要事項〉

件名:臨床心理研修生応募申込

内容:①氏名(ふりがな)②所属先③連絡先(メールアドレスおよび携帯番号)

必要書類

1. 履歴書
2. 「浜松医科大学の研修に期待すること」と題して自筆400字以内の小論文

書類郵送先

〒431‐3192 静岡県浜松市東区半田山1丁目20番1号
浜松医科大学精神医学講座
井上淳 宛

  ※必要書類は2023年11月30日(木)必着にてご郵送ください。  

選考方法/日時 応募につき書類審査後、12月ごろに面接試験を実施する予定です。(covid-19感染流行の状況により、当院で実施するか、オンラインで実施するかについて、ご連絡いたします。)


合格者決定  面接後、書面またはメールにてお知らせします。