国立大学法人 浜松医科大学

教育

Education

研究活動

研究内容

1. オキシトシン治験

  自閉スペクトラム症(ASD)は、100人に1人の頻度で認められる代表的な発達障害です。ASDでは、社会的コミュニケーションの障害などの中核症状の治療法が未確立で、巨大な Unmet medical needs として、当事者や家族さらには社会全体にも大きな負担となっています。さらに、客観的診断技術の欠如や、発症メカニズムが未解明であるなどの課題も残されています。

 当講座主任は、ASDの中核症状に対する初の治療薬を開発するため、既存のオキシトシン経鼻剤の自主臨床試験を複数行ない、中核症状やその脳画像バイオマーカーに対する有効性と安全性を示す結果を繰り返し報告し、世界屈指の研究成果を挙げてきました (JAMA Psychiatry 2014; BRAIN 2014; Mol Psychiatry 2015; BRAIN 2015)。しかしその一方で、これらの自主臨床試験から今後の臨床応用に向けたいくつかの課題を抽出しています。そこで、これまでに抽出した課題を解決して臨床応用を実現させ、世界初のASD中核症状治療薬を開発するために、講座主任を責任代表者として当講座が中心となり、北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学に協力を得て実施する多施設の研究開発計画を進めています。

2. 画像研究

 当講座ではMRIやPETを用いた画像研究が盛んに行われています。MRI研究では、物質誘発性の精神病症状のMRS研究 (Neuropsychopharmacology 2002; 2004)、自閉スペクトラム症当事者のfMRIやMRS研究 (Neuroreport 2003; Int J Neuropsychopharmacol 2010)、統合失調症患者のMRI研究 (Ann Gen Psychiatry 2008)を報告しています。さらにPET研究では世界屈指の成果を挙げています。覚せい剤誘発性の精神病症状におけるドパミントランスポーターやセロトニントランスポーターの低下 (Am J Psychiatry 2001, 2003, Arch Gen Psychiatry 2006)、自閉スペクトラム症当事者でのドパミントランスポーターの上昇とセロトニントランスポーターの低下、アセチルコリンエステラーゼの低下、活性化ミクログリアの上昇 (Arch Gen Psychiatry 2010, 2011, JAMA Psychiatry 2013)、アルツハイマー病患者での活性化ミクログリアの上昇 (Eur J Nucl Med Imaging 2011, J Cereb Blood Flow Metab 2016)を報告しています。また、平成28年6月から講座主任に着任した山末英典教授はPTSD(PNAS 2003; Ann Neurology 2007; Biol Psychiatry 2008)、統合失調症(NeuroImage 2004; Schizophrenia Bulletin 2013)、自閉スペクトラム症(Biol Psychiatry 2010; JAMA Psychiatry 2014; BRAIN 2014; Mol Psychiatry 2015; BRAIN 2015)などの研究で、MRI, fMRI, MRSを用いて世界屈指の研究成果を挙げてきた実績を持ちます。そのため、今後はPETやMRIを用いた画像研究にこれまで以上に力を入れて、世界の医学の発展に貢献出来る研究計画を進めていく方針です。

3. 心理療法分野

 当科では主に森田療法を中心とした研究に取り組んでいます。最近では、うつ病に対する集団行動活性化療法の効果検討とプログラム開発に関する研究を行っています。うつ病に対する精神療法として欧米でエビデンスが示されている行動活性化療法を集団精神療法の形式で行い、その効果を検証し、広く普及するためのプログラムを完成させることを目的としています。浜松医科大学医学部附属病院精神科神経科外来、葉月クリニック、静岡市こころの健康センターにて、臨床研究を進めています。