教育

Education

呼吸窮迫症候群 (RDS:Respiratory distress syndrome)

概念

肺を膨らませておくために必要な肺サーファクタントという物質が量的にも機能的にも不足しているために起こる呼吸器疾患です。

原因

肺胞の2型上皮細胞から分泌される肺サーファクタントの不足のため、出生後呼吸を開始して肺胞に空気が入っても、肺胞内面を覆う液層と空気の境界における表面張力が低下せず、肺胞が虚脱してしまいます。肺サーファクタント欠乏の主たる要因は児の未熟性であり、妊娠期間が短いほど発症率は高くなります。しかし、妊娠期間以外にも胎児の肺成熟に影響する多数の因子の影響を受けます。

症状

出生直後から呼吸障害があり、症状は徐々に進行して24~48時間後に最も重症になります。特に重大な合併症がなければ、生後3~4日目になると肺サーファクタントの産生が始まり症状は改善されますが、在胎週数がより早い児では重症になることが多く、気胸など合併症も起こしやすいです。

治療

出生直後から呼吸状態の不良な児に対しては、速やかに呼吸管理を行います。酸素投与しても状態が安定しない場合は速やかに人工呼吸器管理に移行します。また、積極的に人工肺サーファクタント補充療法を行い、肺を十分に拡張させて呼吸状態を最適化します。

予防

妊娠33~34週以前に早産となりそうな場合には、分娩前に母体にステロイド剤を投与して胎児の肺サーファクタント産生を促すことが行われています。