Education
近年の医療技術の進歩は目覚ましいものがあります。過去には内視鏡等を用いた高難度の手術手技の事故報告が相次いだことが社会問題となりました。これまで新しい手術手技の習得には人以外の動物や模型を利用したシミュレーション以外に方法がなく、技術は日常の患者さんの手術の中で身に着けていくしかありませんでした。
平成24年「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」が日本外科学会と日本解剖学会の合同で整備され、現役医師による献体を使用した基本的な手術手技向上を目的とする研修、高難度の手術手技の習得を目的とする研修、新たな医療機器の研究開発が可能になりました。
令和元年度より浜松医科大学でも、7診療科1団体による手術手技向上研修(CST)および研究開発(R&D)が本格的に実施され始めました。本事業は国が医療安全や医療技術の向上を図ることを目的に厚生労働省と文部科学省により推進されている事業であり、本学もその支援を受けています。
CSTは本学の医師のためのみならず、希望する地域の医師も経験できます。まさに現役医師の卒後教育の場が開かれたと言えます。その経験を医師一人一人が日常の現場に持ち帰ることで明日の患者さんへの治療に大きく貢献します。またR&Dは術式の研究と医療機器の開発を通して近い未来の医療技術の発展に大きな変革をもたらす第一歩となることでしょう。
これらが実現可能となったのは医学発展のために自らの身体を無償で提供するという、篤志行為の献体の精神があったからです。私たちはその精神に敬意を表し、献体を希望されたご本人のご意思とご家族のご理解に深く感謝いたします。
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