【研究成果】長期作用型HIV 治療薬レナカパビルの第二のメカニズムを解明 -治療薬の高い効果を理解する手がかりに-
2026年09月07日
長期作用型HIV 治療薬レナカパビルの第二のメカニズムを解明
-治療薬の高い効果を理解する手がかりに-
レナカパビル(以下、LEN と略します)は、AIDS(後天性免疫不全症候群)の原因となるHIV-1 の増殖を強力に抑制する、長時間作用型の新規治療薬です。ウイルス粒子の骨格を形づくるカプシドタンパク質*1 を標的とします。LEN は、ウイルスが標的細胞内に侵入してから、ウイルス遺伝子が標的細胞のゲノム遺伝子に組み込まれるまでの一連の過程(複製の前期過程)を阻害することで、子孫ウイルスの産生を強く阻害します。しかし、LEN の強力な抗ウイルス作用は、この前期過程の抑制機序だけでは説明できませんでした。そのため、第二の作用機序の存在が想定されていましたが、その実体は不明のままでした。今回、熊本大学大学院生命科学研究部の講師 門出和精 博士と浜松医科大学医学部の教授 岩谷靖雅 博士らの研究グループは、粒子径計測技術や電子顕微鏡観察を駆使した解析により、LEN がウイルス粒子形成過程でカプシド前駆体タンパク質*2 に結合し、巨大化したウイルス様粒子の形成を促進することを初めて明らかにしました。LEN によって巨大化した異常粒子は標的細胞内に侵入するものの、機能不全に陥り、感染力が消失していることを見つけました。これらの研究成果は、新しい作用原理をもつLEN の作用機序の理解を深めるだけでなく、その原理を応用することで、さらに強力な次世代型の抗ウイルス薬を開発する手掛かりになることが期待されます。
*1 カプシド(CA):HIV-1 のウイルス粒子の内部にあるタンパク質の殻(コア)を構成するタンパク質。ウイルスの遺伝情報を保護し、感染・侵入した標的細胞内でウイルスが増殖するために重要な役割を担う。LEN はこのカプシドを標的として作用する。
*2 カプシド前駆体タンパク質 (Gag):HIV-1 の粒子の形を作るために必要なタンパク質のもととなる前駆体タンパク質。ウイルス粒子が形成される際に細胞膜へ集まり、粒子の基本構造を作る。その後、ウイルスのプロテアーゼによって順に切断され、成熟したウイルス粒子が形成される。
論文情報
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論文タイトル: |
Lenacapavir binding to immature Gag induces giant virions and causes protease- |
| DOI: | https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2609634123 |
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