Education
当教室では、周産期、腫瘍、不妊内分泌の分野に関して研究、臨床、教育に邁進しています。
母児に対する総合的な周産期管理を目指しています。胎児管理については、継続した胎児発育評価、biophysical profile score、さらに超音波パルスドプラ法を用いた胎児循環動態の観察などにより、詳細かつリアルタイムな胎児情報に基づいた管理を行なっています。特に、検診の峡間の胎児監視を目的に胎動表を用い、異常の早期発見に努めています。
一方、妊娠管理においては、早産予防の見地から、顆粒状エラスターゼを指標とした早期診断、ウリナスタチン腟座薬(当科で開発)による予防治療を実施しており、胎胞形成症例の妊娠継続も可能となっています。
また、妊娠高血圧症候群に対する抗凝固療法(ATⅢ)や硬膜外麻酔療法、子癇やHELLP症候群に対するMRA診断(本病態における血管攣縮の関与は当科が最初に報告しました)ならびに抗血管攣縮剤の併用(試験的)、また妊産婦死亡の主要原因である羊水塞栓症の血清診断法を開発し、国内外からの抗体測定依頼に対応しています。その他、膠原病や腎移植後などのハイリスク妊婦に対する高度先進医療管理(抗リン脂質抗体症候群に対する血液浄化法やヘパリン療法など)、胎児療法(胎児水腫など)、サイトメガロウイルスなどの周産期感染症スクリーニング、さらに乳児ビタミンK欠乏性頭蓋内出血症に対するビタミンK経母乳投与法などを実施しています。
手術、化学療法、放射線治療などの集学的治療などによる癌治療成績の向上をはかっています。なお、現時点においては、5年生存率などの成績は日産婦統計報告と特に差はありません。
平成元年より体外受精(IVF-ET)を、また平成4年(1992年)から顕微受精を施行しています。現在は、医学的適応の妊孕生温存療法として配偶子の凍結保存も行なっています。不妊治療にあたっては、多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群などの諸問題に対して、当科ではその発生防止に向けたスケジュールを組んで対応しています。
その他、高齢化社会における諸問題への対応、すなわち更年期障害ホルモン補充療法や尿失禁治療(手術療法)、骨粗鬆症治療、漢方治療などに対応しています。