【研究成果】不妊治療、"妊娠率"に加え "母体リスク軽減"も重視へ
2026年05月13日
不妊治療、"妊娠率"に加え
"母体リスク軽減"も重視へ
本学生殖周産期医学講座の宗修平特任講師らの研究グループは、不妊治療(凍結胚移植*1)において、「ホルモン補充周期*2」よりも「自然周期*3」の方が、流産や妊娠合併症のリスクが低い可能性を示しました。
近年、日本では少子化が進む一方で、不妊治療を受ける方は増加しており、現在では出生児の約9人に1人が体外受精などの生殖補助医療によって誕生しているとされています。その中でも、凍結した受精卵を後日子宮に戻す「凍結胚移植」は広く行われている治療法です。
本研究では、この凍結胚移植における子宮内膜の準備方法として用いられる「ホルモン補充周期」と「自然周期」を比較しました。2015年から2023年までに静岡市の不妊治療施設の俵IVFクリニックで実施された約11,900周期のデータを解析した結果、自然周期の方が流産率は低く、生児獲得率が高い傾向がみられました。また、単胎妊娠においては、ホルモン補充周期で妊娠高血圧症候群*4、癒着胎盤*5、帝王切開、分娩時大量出血といった合併症のリスクが有意に高いことが明らかとなりました。さらに、施設全体として自然周期の割合を増やしていくと、実際にこれらの合併症が減少することも確認されました。
なお、本研究成果は、アメリカ生殖医学会の学会誌「Fertility and Sterility」に日本時間5月2日に公表されました。
*1 凍結胚移植: 体外受精で得られた受精卵(胚)を一度凍結し、後日子宮に戻す治療法
*2 ホルモン補充周期: ホルモン剤を用いて子宮内膜を人工的に整える方法(移植日を調整しやすい)
*3 自然周期: 自然な排卵のタイミングに合わせて胚移植を行う方法
*4 妊娠高血圧症候群: 妊娠中に血圧が上昇する疾患で、母体や胎児に影響を及ぼす
*5 癒着胎盤: 胎盤が子宮に強く付着し、出産時に大量出血の原因となる状態
論文情報
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論文タイトル: |
Natural cycle frozen embryo transfer reduces obstetric complications: |
| DOI: | 10.1016/j.fertnstert.2026.04.024 |
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