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欧州呼吸器学会誌「European Respiratory Journal」に研究成果が公表されました

2023年05月26日

HALスコア:3つの項目で間質性肺炎の急性増悪を予測

 本学医学部附属病院腫瘍センター柄山正人講師、放射線診断学講座五島聡教授、内科学第二講座須田隆文教授らの研究グループは、特発性間質性肺炎患者の臨床因子を解析し、急性増悪のリスクを予測する世界初のスコアを開発しました。
 特発性間質性肺炎はゆっくりと肺が硬くなる(=線維化する)難病で、通常は慢性的な経過をたどりますが、突如として急速に悪化する「急性増悪」という致死的な経過を発症することが知られています。ウイルス感染や手術侵襲などが発症に影響するとされますが、明らかな原因が不明なことも多く、急性増悪の発症を予測することは困難で、臨床的な問題となっています。
 今回、889名の特発性間質性肺炎患者の電子カルテデータを解析し、急性増悪の発症に関連する複数の因子をピックアップし、その中から「胸部CTでの蜂巣肺の所見(H)」、「年齢>75歳 (A)」、「血液検査でのLDH高値(L)」の3つの因子を組み合わせてスコア化することで、急性増悪のリスクを予測することができることを見出しました(HALスコア)。
 HALスコアはシンプルな臨床因子のみで構成されるため、日常臨床で幅広く活用されることが期待されます。HALスコアによって急性増悪リスクを評価することで、リスクに応じた治療選択や、急性増悪を起こしうる医療行為の適否を判断するなど、特発性間質性肺炎のマネージメントに活用することが期待できます。


 この研究成果は、欧州呼吸器学会誌「European Respiratory Journal」(インパクトファクター: 33.801 )に5月5日に公表されました。

論文情報

論文タイトル:

A predictive model for acute exacerbation of idiopathic interstitial pneumonias
DOI: 10.1183/13993003.01634-2022

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