教育

Education

卒後初期研修プログラム

臨床薬理初期研修プログラム

I. プログラムの名称

浜松医科大学臨床薬理研修プログラム スーパーローテート方式コース

II. プログラムの目的と特徴

臨床薬理研修では、医学・医療の社会的ニーズを認識しつつ、患者の有する問題点を明確に捉え、薬物の特徴を理解しエビデンスに基づいた適正な薬物治療を実践する。
さらに、新たな治療法を開拓し、エビデンスを作るために必要な臨床試験の基盤となる知識、技術、態度を、治験の実践を通じて習得する。
臨床薬理専攻を目的とする研修医のみでなく、薬物治療あるいは臨床試験に関わる研修医を広く対象とする。

1) 一般研修目標

  1. 幅広い基本的な臨床能力(態度、技能、知識)を修得し、個々の患者に応じた適正な薬物治療を実行するための基盤を構築する。
  2. エビデンスに基づく最良の「薬物治療」を理解するとともに、心のケアを含めた全人的医療ができるようにする。
  3. エビデンスを作るために必要な臨床試験を理解し、実施するための倫理的、科学的基盤を構築する。

2)具体的研修目標

  1. 患者-医師関係 患者を全人的に理解し、患者・家族と良好な人間関係を確立するために、
    ・1-1. 患者、家族のニーズを身体・心理・社会的側面から把握できる。
    ・1-2. 医師、患者・家族がともに納得できる医療を行うためのインフォームドコンセントが実施できる。
    ・1-3.守秘義務を果たし、プライバシーへの配慮ができる。
  2. チーム医療 医療チームの構成員としての役割を理解し、医療・福祉・保健の幅広い職種からなる他のメンバーと協調するために ・2-1. 指導医や専門医に適切なタイミングでコンサルテーションができる。 ・2-2. 上級および同僚医師、他の医療従事者と適切なコミュニケーションがとれる。 ・2-3. 同僚及び後輩へ教育的配慮ができる。 ・2-4. 患者の転入、転出にあたり情報を交換できる。 ・2-5. 関係機関や諸団体の担当者とコミュニケーションがとれる。
  3. 問題対応能力 患者の問題を把握し、問題対応型の思考を行い、生涯にわたる自己学習の習慣を身につけるために、
    ・3-1. 臨床上の疑問点を解決するための情報を収集して評価し、当該患者への適応を判断できる (EBM =Evidence Based Medicineの実践ができる)。
    ・3-2. 自己評価および第三者による評価をふまえた問題対応能力の改善ができる。
    ・3-3. 研究や学会活動に関心を持つ。
    ・3-4. 自己管理能力を身につけ、生涯にわたり基本的臨床能力の向上に努める。
  4. 安全管理 患者ならびに医療従事者にとって安全な医療を遂行し、安全管理の方策を身につけ、危機管理に参画するために、
    ・4-1. 医療現場での安全確認を理解し、実施できる。
    ・4-2. 医療事故防止及び事故後の対処について、マニュアルなどに沿って行動できる。
  5. 治験の理解と実施 ・5-1. 臨床研究の倫理的側面が理解できる。
    ・5-2. 臨床研究の方法論が理解できる。
    ・5-3. 臨床研究の実施計画を立案できる。
    ・5-4. 臨床研究に必要な統計技法を活用できる。
    ・5-5. インフォームドコンセントに基いた同意説明・取得ができる。
    ・5-6. 症例記録用紙(CRF)の記載ができる。
    ・5-7. 治験の流れが理解できる。
    ・5-8. 治験の関連法規が理解できる。

III. プログラム指導者と研修期間

  1. プログラム指導者: 浜松医科大学臨床薬理学教授 渡邉裕司
    浜松医科大学探索的臨床研究部長 梅村和夫
  2. 研修期間: スーパーローテート方式の初期研修期間中の3ヶ月間

IV. 研修内容および到達目標

  1. 患者・家族との信頼関係を構築し、診断・治療に必要な情報が得られるような医療面接を実施する。
  2. 病態の正確な把握ができるよう、全身にわたる身体診察を系統的に実施する。
  3. 基本的手技の適応を決定し、実施する。
  4. 薬物治療法の適応を決定し、適切に実施する。
  5. チーム医療や法規との関連で重要な医療記録を適切に作成し、管理する。
  6. チーム医療の実践と自己の臨床能力向上に不可欠な、症例呈示と意見交換を行う。
  7. 医療の持つ社会的側面の重要性を理解し、社会に貢献するために、医の倫理・生命倫理について説明できる。
  8. 臨床試験の体制を理解し、臨床試験担当医師の役割について説明できる。
  9. 臨床試験被験者に対し、臨床試験の目的と意義を説明するとともに、おこりうる有害反応の可能性についても説明し、被験者の意志を確認する。

V. 教育課程

  (上記は一例であり、要望に応じて対応する)

VI. 研修方法

  1. 適正な薬物治療を理解し、実践するための2ヶ月間の外来、病棟研修と、
  2. 臨床研究を理解し、実践するための1ヶ月間の治験研修から構成される。

    治験研修では健常人を対象とした治験(第1相試験)と患者を対象とした治験(第2~4相試験)に分けて研修する。

    2)-1第1相試験の研修
    ・研修期間:原則として3週間(研修時期は治験の実施時期により変動する)。
    ・研修場所:探索的臨床研究(TR)施設
    ・研修内容:TR施設で実際に行なわれている治験の治験分担医師となり、ボランティアの選定から事後処理まで治験の実施に一貫して関わることにより、倫理性、科学性、信頼性の高い臨床研究を自ら実践する。
    合わせて臨床研究の方法論、統計技法、実施計画の立案を学ぶ。

    2)-2 第2~4相試験の研修
    ・研修期間:毎週1日(曜日は指導医となる治験責任医師の外来日に合わせる-指導医は各診療科治験担当医師に交渉する予定である)。
    ・研修場所:各診療科外来、治験外来(構想中である)
    ・研修内容:指導医となる治験責任医師の受持つ治験の治験協力者となり、インフォームドコンセントに基づいた同意説明を行なう。
    また症例記録用紙(CRF)の記載を治験責任医師の指導の下に修得する。

    2)-3 治験事務局、治験審査委員会における研修
    ・研修期間:1週間(治験審査委員会開催日を含める)
    ・研修場所:治験管理センター
    ・研修内容:治験の流れを理解し、治験に必要な書類・様式の作成を修得する。
    治験実施に必要な関連各部門との連携を修得する。
    治験審査委員会にオブザーバーとして出席することにより、治験の倫理性と関連法規の重要性を修得する。

    2)-4 治験ネットワーク研修
    ・研修期間:1日間
    ・研修場所:教育関連病院(聖隷浜松病院臨床研究管理センター)
    当大学と治験ネットワークを形成している教育関連病院に出向し、治験ネットワークのシステムと治験実施の実際を見学する。

研修責任者
臨床薬理学講座教授 渡邉裕司

VII. 内容問合せ先

浜松医科大学医学部臨床薬理学講座教授 渡邉裕司
浜松医科大学医学部附属病院臨床研究センター長 梅村和夫
〒431-3192 浜松市東区半田山一丁目20-1
TEL: 053-435-2385 / FAX: 053-435-2386

治験管理センター臨床研修プログラム(初期研修選択科目)

(GIO)一般目標

  • 倫理性、科学性、信頼性に優れた質の高い臨床研究を実践するために初期臨床研修医にとって必要な基礎的な知識、技術、態度を、治験の実践を通じて習得する。

(SBO)行動目標

  • 臨床研究の倫理的側面が理解できる。
  • 臨床研究の方法論が理解できる。
  • 臨床研究の実施計画を立案できる。
  • 臨床研究に必要な統計技法を活用できる。
  • インフォームドコンセントに基いた同意説明・取得ができる。
  • 症例記録用紙(CRF)の記載ができる。
  • 治験の流れが理解できる。
  • 治験の関連法規が理解できる。
  • 治験に必要な書類・様式を作成できる。
  • 治験に関連する各部門と円滑な連携ができる。

研修方法

健常人を対象とした治験(第1相試験)と患者を対象とした治験(第2~4相試験)に分けて研修する。

  1. 第1相試験の研修 ・研修期間:原則として3週間(研修時期は治験の実施時期により変動する)。
    ・研修場所:探索的臨床研究(TR)施設
    ・研修内容:TR施設で実際に行なわれている治験の治験分担医師となり、ボランティアの選定から事後処理まで治験の実施に一貫して関わることにより、倫理性、科学性、信頼性の高い臨床研究を自ら実践する。
    合わせて臨床研究の方法論、統計技法、実施計画の立案を学ぶ。
  2. 第2~4相試験の研修 ・研修期間:毎週1日(曜日は指導医となる治験責任医師の外来日に合わせる-指導医は各診療科治験担当医師に交渉する予定である)。
    ・研修場所:各診療科外来、治験外来(構想中である)
    ・研修内容:指導医となる治験責任医師の受持つ治験の治験協力者となり、インフォームドコンセントに基いた同意説明を行なう。また症例記録用紙(CRF)の記載を治験責任医師の指導の下に修得する。
  3. 治験事務局、治験審査委員会における研修 ・研修期間:1週間(治験審査委員会開催日を含める)
    ・研修場所:治験管理センター
    ・研修内容:治験の流れを理解し、治験に必要な書類・様式の作成を修得する。治験実施に必要な関連各部門との連携を修得する。また、治験審査委員会にオブザーバーとして出席することにより、治験の倫理性と関連法規の重要性を修得する。
  4. 治験ネットワーク研修 ・研修期間:1日間
    ・研修場所:教育関連病院(聖隷浜松病院臨床研究管理センター)
    当大学と治験ネットワークを形成している教育関連病院に出向し、治験ネットワークのシステムと治験実施の実際を見学する。

研修責任者

臨床薬理学講座教授 渡邉裕司

内容問合せ先

浜松医科大学医学部臨床薬理学講座教授 渡邉裕司
浜松医科大学医学部附属病院臨床研究センター長 梅村和夫
〒431-3192 浜松市東区半田山一丁目20-1
TEL: 053-435-2385 / FAX: 053-435-2386