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近年の人工知能(AI:Artificial Intelligence)の進歩は著しく、ディープラーニングなどの技術を用いた画像認識が、医療において新たな役割を果たすことが期待されています。消化器内視鏡領域においても、世界中からAI診断支援に関する研究報告がなされており、かつてない大きなムーブメントを起こしています。地域連携先端医療学講座では、消化器内視鏡AI診断支援の各種臨床研究およびカプセル内視鏡AI診断支援ソフトウエアの開発を行っています。
消化管疾患に対する低侵襲内視鏡治療は、内視鏡機器の進歩に伴う診断精度の向上とともに大きく進展しています。最近の代表的な早期癌治療手技には、コールドポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術(EMR)や粘膜下層剥離術(ESD)があり、高い治癒率と臓器温存が可能となっています。さらに、食道アカラシアに対する経口的内視鏡下筋層切開術(POEM)や、内視鏡的縫合システムによる穿孔閉鎖なども臨床応用が進んでいます。近年海外では、ロボット内視鏡による手術が開発され、さらには遠隔操作内視鏡治療といった革新技術の開発も加速してします。安全性と低侵襲性のさらなる向上が期待されています。地域連携先端医療学講座では、これら先進的内視鏡技術を活用した各種治療戦略の確立と、医療資源の地域間格差を是正するためのシステム整備などの課題に取り組んでいます。
カプセル内視鏡は、非侵襲的に消化管全体を観察できる検査法として進化を続けています。近年では、人工知能(AI)による画像解析技術が急速に発展し、自動的に病変を検出・分類する読影支援システムが海外では実用化されつつあります。特に小腸カプセルでは、読影時間の短縮と病変の見逃し防止に寄与しており、FDAや欧州で承認されたAI支援システムも登場しています。また、磁気誘導型の操作技術により、胃カプセルの制御精度が向上し、全消化管カプセルの開発も進行中です。今後は、検診目的での応用や、クラウドを活用した遠隔読影、さらにバイタルセンシング機能の追加による多目的化が期待されます。カプセル内視鏡は、技術革新とAIの融合によって、診断の質と効率を大きく変える可能性を秘めています。地域連携先端医療学講座では、カプセル内視鏡のAI診断支援ソフトウェア開発を含めた各種臨床研究を行っています。
研究番号 | 法・指針 | 研究課題名 | 法区分 | 介入 | 侵襲 |
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17-308 | 倫理指針 | 10mm 以下の十二指腸非乳頭部上皮性腫瘍に対する Cold Snare Polypectomy の有効性および安全性に関する非ランダム化検証的試験 【多施設共同研究】 | あり | 軽微 | |
19-016 | 倫理指針 | クローン病におけるカプセル内視鏡検査の有用性・安全性に関する多施設共同前向き研究 | なし | なし | |
19-108 | 倫理指針 | 小児におけるカプセル内視鏡検査の安全性と有用性の検討 | なし | なし | |
20-354 | 倫理指針 | 小腸カプセル内視鏡前のPillCamTM patency capsuleによる通過性確認の有用性:日常臨床に即した判定基準の妥当性の検討 | なし | なし | |
21-163 | 倫理指針 | 大腸カプセル内視鏡PillCamTM COLON 2を用いた小腸大腸一括観察の有用性の検討 | なし | なし | |
18-165 | 倫理指針 | 食道癌に対するtalaporfin sodiumを用いた光線力学的療法の有効性と安全性の検討 | なし | なし | |
18-276 | 倫理指針 | 消化器内視鏡に関連する疾患、治療手技データベース構築 (日本消化器内視鏡学会) |
なし | なし | |
20-096 | 倫理指針 | 食道腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の安全性と有用性の検討 | なし | なし | |
20-140 | 倫理指針 | 80歳以上の食道表在癌・早期胃癌患者に対する治療選択システムの確立(E-STAGE trial)【多施設共同研究】 | なし | なし | |
20-352 | 倫理指針 | 胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の有用性および予後関連因子の検討 | なし | なし | |
20-343 | 倫理指針 | 直腸NET (neuroendocrine tumor) の臨床的特徴と治療法選択に関する観察研究 | なし | なし | |
21-099 | 倫理指針 | AI(人工知能)を用いたカプセル内視鏡検査における診断補助システムの開発と有用性の検討 | なし | なし | |
22-094 | 倫理指針 | 大腸ポリープに対するCADEYE™を用いた診断能についての多機関共同前向き観察研究 | なし | なし | |
23-046 | 倫理指針 | 胃MALTリンパ腫の臨床的特徴の後方視的観察研究: H.pylori陽性例とH.pylori陰性例の比較 |
なし | なし | |
24-014 | 倫理指針 | 当院における表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍の治療成績の検討 | なし | なし | |
24-013 | 倫理指針 | 大腸内視鏡検査におけるEIRL Colon Polypを用いたAI(人工知能)診断支援の有用性の検討 | なし | なし | |
24-012 | 倫理指針 | 内視鏡システムEVIS X1を用いた大腸内視鏡検査における大腸腺腫発見率(ADR)と関連因子の検討 | なし | なし | |
24-071 | 倫理指針 | 上部消化管内視鏡検査におけるgastroAI™ model-Gを用いたAI(人工知能)診断支援の有用性の検討 | なし | なし | |
24-297 | 倫理指針 | 食道癌内視鏡治療後の異時性多発癌の発生にかかわる因子の探索 | なし | なし | |
25-031 | 倫理指針 | 上部消化管内視鏡画像診断支援AIの診断精度改良のための前向き観察研究 | なし | なし | |
25-030 | 倫理指針 | 大腸内視鏡画像診断支援AIの診断精度改良のための前向き観察研究 | なし | なし | |
91-87 | 倫理指針 | 上部消化管内視鏡検査における人工知能(AI)を用いた画像診断支援ソフトウェアの開発に関する前向き観察研究【多施設共同研究】 | なし | なし | |
91-150 | 倫理指針 | 10-20mmの大腸鋸歯状病変に対するコールドスネアポリペクトミーの有用性を検証する非盲検化ランダム化比較試験【多施設共同研究】 | あり | あり | |
91-245 | 倫理指針 | 未分化型早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術後の内視鏡的根治度C 2病変における転移・再発危険因子および長期予後に関する検討【多施設共同研究】 | なし | なし | |
91-311 | 倫理指針 | 20mm 以上の大腸鋸歯状病変における細胞異型併存病変及び粘膜下層浸潤癌の有病率とその内視鏡予測に関する多施設共同前向き観察研究【多施設共同研究】 | なし | 軽微 | |
OC110-2021 | 臨床 研究法 |
小型直腸神経内分泌腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層結紮下切除術に用いる結紮器の有用性に関する非盲検化ランダム化比較試験【多施設共同研究】 | 特定 臨床研究 |
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OC132-2023 | 臨床 研究法 |
悪性腫瘍の消化管出血に対する新規人工合成ペプチドによる止血に関する多施設共同探索的試験【多施設共同研究】 | 特定 臨床研究 |
https://kenkyu-web2.hama-med.ac.jp/public/Default2.aspx?u=10044&ex=all