University Introduction
超高齢社会を迎え、がんのみならず脳神経系疾患の罹患も増加の一途を辿っており、これらの難治性疾患に対する早期診断法および治療法の開発は急務となっています。一方、診断(Diagnostics)と治療(Therapy)を掛け合わせた造語であるセラノスティクス(Theranostics)は、治療前に疾患部位や治療用薬物の体内分布などの情報を得ることで、疾患診断、治療効果予測、有害事象回避などが可能となり、患者さんにとって適切な医療を提供できるため、その概念が重要視されています。本研究室では、光を利用したセラノスティクスの実用化に向けた新たな創薬、イメージング診断・治療法開発を行っております。
本研究室にて研究を進めていく上で、「Do for HUSM」というキャッチコピーを意識しております。HUSMは浜松医科大学の略称としても使われている頭文字、Hamamatsu University School of Medicineであり、大学の発展は一つの使命でもあると考えておりますが、さらにその先にあるHuman、Science、MedicineおよびMedical staffsへの貢献を見据え、日々研究に向き合っています。
本研究室ではその名の通り、「光」、「ナノ」、「セラノスティクス」をキーワードとし、それぞれの特性を最大限に活かして難治性・希少疾患に対する新たなイメージング診断法、治療法の開発を目指しています。具体的には、抗体やナノ粒子などのナノ製剤を用いたドラッグデリバリーシステム(DDS:疾患部位へと薬物を送達するための製剤技術)の導入、光を利用した薬物集積/患部イメージング、さらには光照射により患部に限定して治療を行う、"光ナノセラノスティクス"を提案し(図)、創薬から治療効果、作用機序解明までの幅広い研究内容で多くのデータを蓄積、医薬品開発を進めることで、安心、安全に受けられる医療の創成、健康長寿社会の実現を目指しています。