大学紹介

University Introduction

所長 挨拶

光医学総合研究所の飛躍への礎

yasuomi ouchi
所長
尾内 康臣(医学博士)
(研究担当副学長)

 2024年は浜松医科大学開設50周年を迎えると同時に「光医学総合研究所」が開設された年でした。初代所長の北川雅俊先生は研究所の整備と構築にご尽力され、1年間の任期の後そのバトンが2代目の私に渡されました。その重責あるバトンを次世代に繋げるのが私の役目と思っています。
 浜松は2013年「浜松光宣言」を謳い、産学官民の総力をあげて光技術を用いた健康都市の実現を目指しています。光医学総合研究所はその中で、医学的ニーズとシーズを示し、光技術を武器にしてそれらに対応することで社会の福祉に貢献することが大きなミッションです。北川所長時代は研究所の土台を作りました。私はその土台の上に大きく飛躍するジャンプ台を作ることだと思っています。若手研究者が積極的に共同研究を遂行できる環境を作り、主体的に研究できることへの支援、産学官民からの光技術者の医療環境への積極参画によって医療ニーズに対応する次世代技術や装置開発を支援、Hamamatsuとして世界に知られている企業に倣い光医学総合研究所の名が世界に刻まれるように海外研究機関との共同研究を積極的に推進する支援、研究所がone teamとして機能し大型研究費を獲得できる支援など、次の世代の研究者がより多角的より国際的に研究遂行できる礎を築きたいと思っています。多くの若手研究者からなる若返った光医学総合研究所の未来がより輝けるものにするため、若手の皆様の進取の気性と俯瞰力を期待しています。また、先達の皆様のご支援ご鞭撻を何卒よろしくお願い申し上げます。

光医学総合研究所の成り立ちと構成および使命

 1974年に開学した本学は、1989年浜松ホトニクスの寄附講座であるメディカルホトニクス講座を開設し、以来1991年光量子医学研究センター、2011年にメディカルフォトニクス研究センター、2016年に光尖端医学教育研究センターを設置し、特に光医学技術を用いた研究を遂行し、本学の特徴的な研究として発展していきました。2024年の光医学総合研究所設置は、光尖端医学教育研究センターを発展的に改組し、国際マスイメージングセンターを統合して本学の光量子医学研究のジャンプアップを図るものです。分子、細胞から個体までの尖端的イメージング技術の確立とそれらを用いた未知の生命現象の解明、精神神経疾患をはじめとするアンメットメディカルニーズの病態の解明と低侵襲な診断法、効果的な治療法の開発を目指しています。
 本研究所は5つの部門からなります。1)尖端研究支援部門は、本学が誇るイメージングコンプレックスを中心とした先進機器の管理とそれを用いた学内研究を支援する先進機器共用推進部、動物実験や遺伝子改変動物の作成を支援する医用動物資源支援部、およびキャンサーバイオバンク室から構成され、本学および本研究所の研究を下支えするとともに学外機関による共同利用を推進します。2)光量子技術開発部門は、光音響イメージングやfNIRSなどの低侵襲な光量子技術を開発します。3)尖端生体イメージング研究部門では、PETやfMRI、独自技術のナノスーツ技術を用いた多様なイメージング研究を展開し、疾患の病態解明に貢献します。4)革新的医療技術開発部門では、医学部基礎臨床部門の先端的に活動する講座との協働のもと、神経発達症、脳神経疾患、希少遺伝性疾患、がん、感染症などのアンメットメディカルニーズを対象に、光量子関連技術や先進ゲノム技術などを用いて病態解明、低侵襲な診断法、効果的な治療法の開発を目指します。5)光トランスレーショナルリサーチ推進部門では、上記の部門の研究成果の効率的な社会実装に向けて基礎から臨床、臨床から基礎の双方向性のトランスレーショナルリサーチの推進を担います。
 また光医学総合研究所は、2023年文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」で採択されて造られた「ホスピタルラボ」と2024年「地域中核・特⾊ある研究⼤学強化促進事業」で藤田医科大学の連携大学として参画し採択された「精神・神経病態拠点」の浜松医科大学内施設である「光分子解析施設」を建て、マスイメージングや3D顕微鏡イメージングを用いた神経解剖学的な先端アプローチにより、未知の神経機能分子の同定及び機能解明を目指します。
 このように光医学総合研究所を中心として本学の先端医学研究を推し進め、アンメットメディカルニーズの病因病態の解明、新規診断法・治療法や医療機器開発と実用化を実現できると期待しています。