大学紹介

University Introduction

所長 挨拶

光医学総合研究所の設立と施設整備による本学研究の新展開

masatoshi kitagawa
所長
北川 雅敏
(研究担当副学長)

 この度、本学は設立50周年を記念して2024年4月1日に「光医学総合研究所」を開所する運びとなりました。

 本学は1989年のメディカルホトニクス講座開設以来、2011年にメディカルフォトニクス研究センター、2016年に光尖端医学教育研究センターを設置し、光医学に特に力を入れ、本学の特徴的な研究として推進してきました。この度の光医学総合研究所設置は、光尖端医学教育研究センターを発展的に改組し、国際マスイメージングセンターを統合して本学の光量子医学研究のジャンプアップを図るものです。分子、細胞から個体までの尖端的イメージング技術の確立とそれらを用いた未知の生命現象の解明、精神神経疾患をはじめとするアンメットメディカルニーズ(未解決で有効な診断法、治療法が望まれる疾患)の病態の解明と低侵襲な診断法、効果的な治療法の開発を目指します。

 本研究所は5つの部門からなります。尖端研究支援部門は本学が誇るイメージングコンプレックスを中心とした先進機器の管理とそれを用いた学内研究を支援する先進機器共用推進部、動物実験や遺伝子改変動物の作成を支援する医用動物資源支援部、キャンサーバイオバンク室から構成され、本学および本研究所の研究を下支えするとともに学外機関による共同利用の推進を目指しています。光量子技術開発部門は光音響イメージングやfNIRSなどの低侵襲な光量子技術の開発を目指しています。尖端生体イメージング研究部門では、PETやfMRI、独自技術のナノスーツ技術を用いた多様なイメージング研究を展開し、疾患の病態解明に貢献します。さらに革新的医療技術開発部門では医学部基礎臨床部門の協力を経て、神経発達症、脳神経疾患、希少遺伝性疾患、がん、感染症などのアンメットメディカルニーズを対象に、光量子関連技術や先進ゲノム技術などを用いて病態解明、低侵襲な診断法、効果的な治療法の開発を目指します。これらの部門の研究成果の効率的な社会実装には基礎から臨床、臨床から基礎の双方向性のトランスレーショナルリサーチが重要で、それを司令塔として推進するのが光トランスレーショナルリサーチ推進部門です。
 光医学総合研究所の特徴の一つとしてプロジェクト研究を設けました。多くの研究所はその研究対象、研究手法などは一貫していますが、個々の研究室では独自の研究に終始している場合がほとんどです。我々は総力を結集することがゴールへの近道であると考え、全ての研究室が自分たちの得意分野において何らかの形で携わる「尖端医学と光量子技術の統合による神経発達症の病態解明と革新的診断治療法の創出」を研究所プロジェクトとしてすでに始動しております。この本研究所の特徴である光トランスレーショナルリサーチ推進部門を中心とした部門構成は研究所プロジェクトの推進をさらに後押しするものと期待しております。
 本学は文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」において、提案大学として申請した「ホスピタルラボ」の設置が認められました。この施設では、本研究所や医学部、附属病院からの研究成果に基づいた新規診断治療法や医療機器の開発を「次世代光医学研究成果創出拠点」として連携大学とともに行い、産学官連携による社会実装を目指します。加えて、同事業において、藤田医科大学を提案大学とした「精神・神経病態拠点」の連携大学として「神経機能分子解析施設」の設置も認められました。「神経機能分子解析施設」は光医学総合研究所の附属施設として、マスイメージングや3Dイメージングを用いた神経解剖学的な先端アプローチにより、未知の神経機能分子の同定及び機能解明を目指します。これら二つの施設の設置により、「光医学総合研究所」を中心とした本学の先端医学研究が強力に押し進められ、アンメットメディカルニーズの病因病態解明が進み、新規診断法治療法や医療機器の実用化が加速することが期待されます。
 本学は「浜松光宣言」を発した光とものづくりの都市である浜松の地域の力を借りて、尖端的な光医学研究を展開して成果の社会実装を目指すという意思のあらわれとして本光医学総合研究所を設立いたしました。総力を上げて目標達成を目指しますので、皆様のご指導ご鞭撻、ご支援を賜れれば幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。