国際学術誌「npj Mental Health Research」に研究成果が公表されました
2025年08月27日
周産期のストレスが、胎児の亜鉛低下による炎症を介し
ADHDの発症に関与する可能性を解明
―ADHD症状のはじまりが出生前の栄養と炎症
にあることを示す新たな知見 ―
国立精神・神経医療研究センター(NCNP)知的・発達障害研究部の高橋長秀部長、本学子どものこころの発達研究センターの土屋賢治特任教授らの研究グループは、周産期の母親の心理的ストレス*1が胎児における血中の亜鉛*2レベルの低下を引き起こし、その結果として炎症性サイトカインであるIL-6*3が上昇し、小児期のADHD(注意欠如・多動症)*4症状の発現に関与している可能性を明らかにしました。さらに、遺伝的データを用いた解析により、血中の亜鉛濃度とADHDは遺伝的に関連し、双方向に影響する可能性が示されました。
この研究成果は、2025年8月7日に国際学術誌「npj Mental Health Research」に掲載されました。
*1 周産期ストレス:妊娠中から出産後にかけて母親が経験する心理的ストレスのこと。ホルモン変化、生活環境、社会的要因などが影響し、母体と胎児の健康に関わることがあります。
*2 亜鉛:身体や脳の発達、免疫調整に関与する必須の微量元素。妊娠中の亜鉛不足は、胎児の発育や神経系の発達に影響を及ぼす可能性が指摘されています。
*3 IL-6(インターロイキン6):体内の炎症反応を促進する物質(サイトカイン)の一つ。感染、ストレス、免疫刺激などで上昇し、胎児の発達や脳機能に影響を与える可能性があります。
*4 ADHD(注意欠如・多動症):注意の持続が難しい(不注意)、落ち着きがない(多動)、思いつきで行動してしまう(衝動性)などの特性が見られる神経発達症で、小児の約5%にみられます。
論文情報
論文タイトル: |
Maternal stress, cord blood zinc and attention deficit hyperactivity disorder |
DOI: | 10.1038/s44184-025-00149-3 . |
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