ニュース

News

ホーム > ニュース一覧 > 血液学専門誌「Haematologica」に研究成果が公表されました

血液学専門誌「Haematologica」に研究成果が公表されました

2025年08月06日

小児・AYA世代の難治性B細胞性急性白血病に対し
ブリナツモマブを使用した新たな移植後再発予防治療
の可能性を示唆

 国立成育医療研究センター 小児がんセンターの坂口大俊、京都大学大学院医学研究科の梅田雄嗣・加藤格、本学医学部附属病院の坂口公祥らが中心となり、特定非営利活動法人日本小児がん研究グループ(JCCG)が難治性B細胞性急性白血病(B-ALL)*1 に対する臨床試験を実施しました。難治性または再発性のB細胞性急性リンパ性白血病(B-ALL)に対して同種造血細胞移植を受けた小児・AYA(思春期・若年成人)患者さんに、免疫療法薬ブリナツモマブ(blinatumomab)を用いた第I相臨床試験*2 を実施し、この維持療法が安全に実施可能であることを示す研究結果を発表しました。

 本研究成果にて、移植後早期にブリナツモマブ維持療法を導入することで再発予防の新戦略が構築可能であることを示唆しました。血液毒性や移植片対宿主病(GVHD) 悪化のリスクを抑えた安全な治療導入が実現可能となり、次の試験ではさらに多数例での有効性の解析が予定されています。次の試験で有効性が確認されれば、小児・AYA世代のCD19陽性B-ALLにおける新しい標準治療に発展し、治療成績の向上や再発リスクの低減に貢献することが期待されます。

 本研究成果は、2025年7月10日、血液学専門誌『Haematologica』に掲載されました。


*1 B細胞性急性白血病(B-ALL)とは、白血病の一種で、リンパ球の一種であるB細胞ががん化し、骨髄内で異常に増殖する病気のこと。
*2 第I相臨床試験とは、ごく少量から少しずつ投与量や投与回数を増やしながら体内での作用などを調べ、薬の安全性について評価すること。

論文情報

論文タイトル:

Post-transplant maintenance with blinatumomab for children, adolescents, and young adults with relapsed and refractory B-cell acute lymphoblastic leukemia: results of phase I in SCT-ALL-BLIN21
DOI: 10.3324/haematol.2024.286719

>> 詳細はこちらPDF