「Respiratory Investigation」に研究成果が公表されました
2024年12月26日
HALスコアが間質性肺炎の線維化の進行を予測
特発性間質性肺炎(IIP)は、進行性の肺線維化を来す原因不明の難治性疾患で、治療反応性や進行速度の異なる様々なフェノタイプで構成されており、進行速度は患者ごとに大きく異なります。進行性の線維化をきたす場合には抗線維化薬による治療の適応となるため、ハイリスク症例の見極めが重要です。
胸部CTでの蜂巣肺の所見 (H)、年齢>75歳 (A)、血液検査でのLDH高値 (L)という3つのシンプルな要素で構成されるHALスコアは、本学腫瘍センター 柄山正人講師、放射線診断学 五島聡教授、第二内科 須田隆文教授(研究当時、現:理事・副学長)らの研究グループが開発した特発性間質性肺炎の急性増悪(=急激に悪化する重篤な病態)の予測モデルです。HALスコアは急性増悪だけではなく、予後の予測にも有用であることが報告されていますが、進行性線維化を予測できるかどうかは不明です。
今回、本学医学部附属病院腫瘍センター 柄山正人講師、内科学第二講座 中安弘征医師(大学院生)、須田隆文教授(研究当時、現:理事・副学長)らの研究グループは、静岡県のIIP患者の144名の前向き観察研究のデータを追加解析し、IIPの中でも特発性肺繊維症(IPF)以外のIIP(non-IPF)において、HALスコアが進行性の線維化と関連することを示しました。本研究によって、HALスコアに基づいて進行性線維化のハイリスク症例を見極めてフォローアップを行うことで、抗線維化薬による適切な治療介入のタイミングを逃さずにマネージメントを行うことが期待されます。
本研究成果は「Respiratory Investigation」に12月17日に公表されました。
論文情報
論文タイトル: |
Association between the HAL score and the development of progressive pulmonary fibrosis in idiopathic interstitial pneumonia: a prospective observational study |
DOI: | 10.1016/j.resinv.2024.12.011 |
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