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国際学術誌「PLOS Pathogens」に研究成果が公表されました

2023年09月15日

C型肝炎患者における肝臓への鉄沈着の分子機構を解明


 C型肝炎ウイルス(HCV)感染によって引き起こされる病態の一つに肝組織の鉄蓄積が知られていますが、HCV感染がなぜ鉄蓄積につながるのかは十分解明されていませんでした。本学微生物学・免疫学講座(鈴木哲朗教授)らの研究グループは、C型肝炎患者における肝臓への鉄沈着に関わる以下の2つの分子機構を明らかにしました。
1) HCVタンパク質が小胞体ストレスを誘導することが起点となって転写因子CREBHが活性化されることにより鉄代謝調節ホルモン、ヘプシジン(hepcidin)の遺伝子発現が上昇する。hepcidinは鉄イオン排出タンパク質、フェロポーチン(FPN1)との結合によりFPN1を分解へ誘導するため、hepcidin発現の上昇はFPN1レベルを低下させ細胞からの鉄排出が抑制される。
2) HCVの前駆体タンパク質の切断に働くセリンプロテアーゼNS3-4Aが、FPN1の中央部分を切断し、FPN1機能を低下、失活させることにより鉄イオン排出が抑制される。
 肝臓への鉄の異常蓄積は肝不全や肝がんの発症リスクの一つであることから、この研究成果は肝臓病に対する新たな治療法の開発につながることが期待されます。

 本研究成果は、国際学術誌「PLOS Pathogens」に日本時間8月16日に発表されました。



論文情報

論文タイトル:

Role of hepcidin upregulation and proteolytic cleavage of ferroportin 1 in hepatitis C virus-induced iron accumulation
DOI: 10.1371/journal.ppat.1011591

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