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国際学術誌「Bio Techniques」に研究成果が公表されました

2023年04月05日

接合菌類(ムコール菌)の新たなグロコット染色変法の発見

 本学光尖端医学教育研究センター先進機器共用推進部、腫瘍病理学講座、静岡済生会総合病院病理診断科の研究グループは、グロコット染色法におけるクロム酸処理を比較的酸化力の弱い過ヨウ素酸処理に変えて行うことで、ムコール菌の染色性を増強させることを可能にしました。加えて、前処理として免疫組織化学染色で多用される熱処理を行うことで結合組織の共染が抑制され菌体の判別が容易になりました。
 真菌感染症は、現在の医学でも治療・診断ともに容易ではない場合があり、真菌類を染める従来のグロコット染色法では、菌壁が薄いムコール菌は酸化力の強いクロム酸での染色性が弱く判別が困難でした。ムコール菌に特異的とされるRhizopus抗体を用いての免疫染色の検出率は70%であり染色性も非常に弱いことからも、この新たな方法は大変有用であると考えます。
 真菌感染症は、種々の理由から免疫状態が減弱した状況下で重篤になることも多く、病理解剖で初めて発見されることも稀ではありません。鋭敏かつ正確な同定で医療のquality controlの一助となることが期待されます。


 この研究成果は、国際学術誌「Bio Techniques」に日本時間3月17日に公表されました。

論文情報

論文タイトル:

Modification of Grocott's staining procedure with heat treatment and oxidation by periodic acid for mucormycosis in tissue : a method to detect Mucor spp
DOI: 10.2144/btn-2022-0063

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