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米国心臓協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)の学術雑誌「Stroke: Vascular and Interventional Neurology」に研究成果が公表されました

2022年11月24日

ラット脳電気刺激による神経保護のメカニズムの解明
―脳梗塞の予防と治療への新たな展開―

 本学山本清二理事・副学長らの研究チームは、電気刺激によって脳内のコリン作動性神経回路(学習と記憶を調節する回路)が活性化され、神経細胞のエネルギー工場であるミトコンドリアの内膜に存在するATP 感受性 Kチャネル(ATP濃度の変化によってKイオンを通過させて細胞の興奮を調節するチャネル)を開くことにより、それがミトコンドリア脱共役蛋白質UCP4(ミトコンドリアの特殊なたんぱく質)を誘導し、神経細胞が死なないよう保護していることを明らかにしました。ミトコンドリア脱共役蛋白質UCP4は、低酸素・低エネルギー状態でも致死的な活性酸素の産生を押さえ細胞を保護すると考えられます。これらを細胞レベルとラット個体レベルの両方で明らかにしました。
 今後は薬剤や神経の電気刺激により、脳梗塞から脳を守るミトコンドリア脱共役蛋白質を発現させる新たな治療が考えられます。また電気刺激により活性化されるコリン作動性神経回路は、これが機能しないと認知機能障害が起こると報告されており、アルツハイマー病の認知機能障害の治療にも関係する可能性があり、今後の展開が期待されます。


 この研究成果は、米国心臓協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)の学術雑誌Stroke: Vascular and Interventional Neurology, November 2022 Volume 2 Issue 6に掲載予定で、それに先立ち2022年10月28日(日本時間)に電子版に発表されました。

論文情報

論文タイトル:

The Cholinergic Pathway and MitoKATP Induce UCP4 Expression Involved in Neuroprotection of FN Stimulation in Rats
DOI: 10.1161/SVIN.122.000362

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