教育

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研究内容

レーザ血栓溶解治療システムの開発

*脳梗塞急性期では血栓溶解薬である遺伝子組換え組織プラスミノーゲンアクチベータ(rt-PA)による血栓溶解療法が世界で広く使用されているが、投与可能範囲が発症から4.5時間以内と短く、さらに出血性梗塞による予後不良が大きな課題となっている。これに対し、血栓への高い吸収を持つパルスレーザを直接照射し、選択的に血栓の分解・除去を行う方法が報告されており、急性期の塞栓症に対する効果的な治療法として期待されている。我々は、パルスレーザ装置(浜松ホトニクス社製)を用いて、ラットやウサギ血栓症モデルにおける血栓溶解効果および安全性を検討した。結果、レーザ照射による血栓溶解への有用性が示された。また、カニューレ挿入などの人為的操作以外の血管壁への傷害が認められなかったことから安全性も示された。臨床応用を目指すべく、脳梗塞急性期の患者を対象とした医師主導治験を開始している。

マクロファージによる修飾LDLの取り込みとプラスミン活性

*家族性高脂血症患者の半数以上は、低密度リポタンパク質(LDL)受容体の発現異常や機能不全から総コレステロール(T-cho)値及びLDLコレステロール(LDL-C)の上昇が認められるⅡa型家族性高脂血症である。高脂血症が原因で発症する粥状動脈硬化は、虚血性心疾患や脳血管疾患など生死にかかわる病態の主な原因にも関わらず症状が乏しく、粥状動脈硬化の進展や経過について明らかになっていることは少ない。そこで当研究室ではⅡa型高脂血症モデルマウスLdlr-/-/Apobec1-/-を用いて、粥状動脈硬化に対する様々な血液凝固線溶系因子の機能を解析している。現在、血栓溶解の中心的役割を担っている血液凝固線溶系因子プラスミノゲン(Plg)及び活性化体プラスミンに注目し、Ⅱa型高脂血症の粥状動脈硬化形成に対する機能の解析を進めている。 

口腔細菌による脳出血増悪のメカニズム解明 

*これまでの研究により口腔細菌である、う蝕原因菌(S.mutans)が頭蓋内出血のリスクファクタの一つである可能性が示された。当該研究では、う蝕原因菌の中に高病原性菌が存在し、脳血管内皮傷害部位に集積し、matrix metalloproteinase(MMP)-9の産生・活性を増強し、血管の細胞外マトリックスを融解し、頭蓋内出血を増悪させる可能性を示した。また、菌表面にコラーゲン結合タンパク(CBP)が発現していることを見出した。本研究では、CBPのMMP-9産生・活性を亢進するメカニズムの解析を行う。

探索的臨床研究施設での臨床薬理学的研究

*国立大学で初めて健常者を対象とした臨床試験ができる施設を立ち上げ、企業主導および医師主導治験を実施し、創薬を進めている。この施設は、附属病院に併設された臨床研究を専門に行う施設で、試験用に12ベッドを保有し、近年は、アカデミア発の新規医薬品における健常者を対象とした臨床第Ⅰ相医師主導治験(First in Human試験)を実施している。