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麻酔・蘇生学講座

教授 中島 芳樹

昭和58年、浜松医大麻酔・蘇生学講座において、現在では世界中で使用されるようになった吸入麻酔薬セボフルランの呼吸,循環,代謝に関する基礎的薬理研究が開始された。これらの研究によりその安全性,有効性が証明され、昭和60年に世界に先駆けて臨床第1相試験が本学附属病院で行われた。その後セボフルランの臨床開発は本講座を中心に日本の多くの大学や研究施設で行われ,世界に先駆けて日本でその安全性,有効性が確認され臨床応用されるに至った。その後セボフルランの麻酔薬としての優秀性が世界各国で認められ欧米でも広く使用されるようになった。このセボフルランに関する研究は活発に行われ多くの論文が欧文の一流医学雑誌に掲載された。平成9年,平成10年と2年続けて本講座の論文がAnesthesiology誌のエディトリアルで取り上げられた。
平成10年佐藤重仁教授就任以降,その研究方針の下、研究の重点が臨床研究から基礎医学,動物実験へ移ってきた。また臨床麻酔に関する研究のほか,蘇生、ペインクリニックの分野に関する研究が増加してきている。特に一酸化窒素(NO)に関する実験は盛んに行われている。出血性ショック時の静脈麻酔薬や吸入麻酔薬の薬物動態および薬力学の変化に関する,ブタを用いた栗田忠代士の研究は毎年英文誌に掲載されている。ラット孤立心筋モデルを用いて,局所麻酔薬の心毒性に関する研究,虚血再灌流に対する麻酔薬の心保護効果の研究,低体温の虚血再灌流に対する保護効果の研究が行われ高い成果を上げている。平成25年からは薬理学・脳外科学講座との共同研究も行われている。ME分野の研究として,音声可視化装置を開発し特許を取得した(特許第3625294号、佐藤重仁ら)。同装置を用い麻酔臨床における様々な音を可視化し,発表している。2009年には,治験の新指針が制定されてからは初めてとなる,意識消失を伴う臨床治験第1相試験(ONO-2745:remimazoram)が約50名の健康成人を対象に行われた。第II相、III相試験も順調に終了し,数年以内に新しい静脈麻酔薬として使用される予定である。
臨床研究や症例の学会発表も国内外で精力的に行われており,特に平成24年度,25年度には,日本麻酔科学会東海・北陸地方海において2年連続して最優秀演題を受賞するなどの成果を上げている。
平成27年5月より中島芳樹が教授に就任した。当講座の豊富な研究遺産を継承しつつ、新風を吹き込んでくれる事が期待されている。