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国際英文誌「Pneumonia」に研究成果が公表されました

2025年02月25日

オミクロン株流行期における
COVID-19とインフルエンザの死亡リスクの比較
~本邦のビックデータを用いた大規模疫学調査~

 本学内科学第二講座の宮下晃一診療助教、穗積宏尚助教、須田隆文教授(当時、現:理事・副学長)らの研究チームは、匿名医療保険等関連情報データベース(National Data Base, NDB)を用いた大規模調査により、オミクロン株流行期の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者とインフルエンザ患者の死亡リスクの違いをはじめて明らかにしました。
 2019年にはじめて報告されたCOVID-19は、瞬く間に全世界に広がりWHOによりパンデミック宣言がなされました。2023年5月にパンデミック宣言は終了となりましたが、COVID-19の流行は続いており、COVID-19は依然として公衆衛生上重要な呼吸器疾患となっています。さらに、インフルエンザ患者数が再び増加したことにより、COVID-19とインフルエンザの同時流行が現在大きな問題となっており、両疾患の臨床像や予後の調査は不可欠です。
 今回、パンデミック初期からオミクロン株流行期にかけて診断されたCOVID-19患者とインフルエンザ患者について、大規模な匿名化医療データを解析しました。その結果、オミクロン株流行期には、それ以前の流行期と比べてCOVID-19患者の死亡率は低下していたものの、患者数の急増に伴い、特に高齢者を中心に死亡者数が大幅に増加していたことが明らかになりました。一方で、40歳未満では、COVID-19の死亡率や死亡者数はいずれも一貫して低水準であり、むしろインフルエンザの方がCOVID-19よりも死亡リスクが高かったことがわかりました。
 さらに、オミクロン株流行期においては、高齢者におけるCOVID-19の死亡者数が、インフルエンザによる死亡者数を大きく上回っていたことも確認されました。
 本研究の結果は、COVID-19とインフルエンザに対する疫学的理解を深めるとともに、今後の感染対策や医療施策に役立てられることが期待されます。

 本研究結果は、国際英文誌「Pneumonia」に2025年2月5日に公表されました。


論文情報

論文タイトル:

Outcomes of COVID-19 in the Omicron-predominant wave: large-scale real-world data analysis with a comparison to influenza
DOI: 10.1186/s41479-025-00158-y

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