英国Natureグループの旗艦誌「Nature Human Behaviour」に研究成果が公表されました
2024年08月27日
ビデオゲームとウェルビーイングの因果関係が明らかに
~日本の自然実験が示すゲーム習慣のポジティブな効果~
日本大学経済科学研究所 江上弘幸助教、本学子どものこころの発達研究センター モハマド・シャフィウル・ラハマン特任講師(兼 大阪大学大学院連合小児発達学研究科 講師)、政策研究大学院大学博士課程後期 山本剛資さん、江上千紘さん、高崎経済大学地域政策学部 若林隆久准教授の研究チームは、ビデオゲームが日常における主観的ウェルビーイング (メンタルヘルス及び人生満足度)を向上させることを明らかにしました。
従来の研究が相関関係の分析にとどまる中、本研究は、自然実験を活用することで、因果関係に踏み込んだ分析を行いました。コロナ禍の半導体不足を背景に発生したゲーム機の抽選販売を自然実験として活用し、2020-2022 年にオンラインサーベイで収集された日本在住の10歳から69歳までの97,602件の回答データを分析しました。
分析の結果、Nintendo SwitchやPlayStation5(PS5)といったゲーム機で遊ぶことが、メンタルヘルスを改善し、人生満足度を向上させたことがわかりました。さらに、ゲームの効果には個人差があり、その背景は複雑かつ多様であることが、機械学習の結果から示唆されました。例えば、PS5が、「成人」「男性」のメンタルヘルスに大きな恩恵をもたらした一方、Nintendo Switchは、むしろ「未成年」に大きな恩恵をもたらしたことがわかりました。
今後は、ゲームの影響の背後にあるメカニズムの解明が進み、個々の状況に合わせてウェルビーイング向上の効果を高める、ゲームレコメンデーションサービスの開発が期待されます。
本研究成果は、英国Natureグループの旗艦誌「Nature Human Behaviour」に日本時間8月20日に公表されました。
論文情報
論文タイトル: |
Causal effect of video gaming on mental well-being in Japan 2020-2022 |
DOI: | 10.1038/s41562-024-01948-y |
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