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本学医学部元教員の研究倫理上の不適切な行為について

2022年12月20日

 本年8月に福井大学より平成27(2015)年に本学医学部元教員が査読者を務めた論文に対する事実関係の依頼があり、本学では同月に外部委員を含む予備調査委員会を設置し調査を行いました。



【調査結果】
 調査対象者は、責任著者(福井大学教員)に査読コメント案を求め、提供されたコメント案をジャーナルに送付した。申立ての論文以外に責任著者の論文査読は行っておらず、調査対象者と責任著者の間に利害関係も存在しなかった。また、査読過程における同様の行為は他にはないことを確認した。
 調査対象者は、責任著者に査読コメントを求めることは倫理上問題があるとの認識はなく、COPE(Committee On Publication Ethics、出版倫理委員会)の査読者に対する倫理指針(Guidelines:Ethical guidelines for peer reviewers 2013 年3 月v.1)の存在についても知らなかった。



【調査結果を踏まえた結論と判断理由】
 上述のCOPE が定める査読者に対する倫理指針では、査読中、査読者はジャーナルの許可なく著者と連絡を取らないこと、他人が報告書を作成しないこと等が求められている。
 一方、査読時の平成27(2015)年は、日本学術会議が「科学研究における健全性の向上について(回答)」についてまとめた直後であり、特定研究不正以外の不正行為の範囲に査読時の対応について記載はなかったこと、COPEの査読者に対する倫理指針では、他人のなりすましは重大な不正行為とされているが、それ以外の違反については不正の言及がなく、研究者間に不正行為としての認識は必ずしも浸透してなかったとの結論に至った。
 よって、予備調査委員会では、科学者の行動規範及び社会通念に照らして、研究者倫理からの逸脱は存在するが、その程度が甚だしいとまでは言い切れないと判断した。

 以上の調査結果を踏まえ、本学では本年9月に福井大学に回答しました。



 本学としては不適切な行為が行われたことは大変遺憾であり、このようなことが生じないよう公正な研究活動の推進に一層取り組んでまいります。



令和4年12月20日
浜松医科大学