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研究指導教員及び研究の概要・専攻の概要

研究指導教員及び研究の概要

専攻の概要

研究科、課程、専攻及び修業年限

  1. 医学系研究科博士課程とします。
  2. 医学専攻とします。
  3. 博士課程の修業年限は、4年を標準とします。

光先端医学研究分野

研究分野の概要

光は細胞や組織と相互作用し、その状態に関して様々な情報をもたらします。従って、光学的研究手法は極めて多岐にわたり、医学の広範な領域において有用な手段となっています。本研究分野では、光を用いた測定手段やイメージングの手法を最大限に活用し、また、光を生体に作用させることによって医学上の重要課題を解決し、基礎医学の発展を図ると共に、臨床に役立つ診断、治療、予防に関する研究を進めようとするものです。

部門別内訳
A.光薬理部門

光技術を用いた治療と診断のためのプローブや装置の開発、特に、エネルギーの高い光であるX線やγ線等を使用した診断法に基づく体内状態の解析を行います。具体的には、放射性同位元素を用いたがんの生物学的特性の画像化とがん診断法の開発、光学系(PETなど)を用いた神経系の活動と分子動態の画像化、光学系を用いた生体内でのゲノム分布とタンパク発現の解析、放射性プローブによる生体内機能の定量的解析、新規MRI造影剤の開発、高エネルギー光を用いた新規イメージング法の開発、光学系を用いた創薬と薬物動態薬効の研究、光学系を用いた脳梗塞の発症と回復の過程の解析、薬物治療の適正化における光情報の活用化等です。
また、光を用いて新規病態モデルを作成し、薬物の効果や安全性を研究しています。

B.光治療環境部門

光の生体に対する効果の研究とその解析結果を治療へ応用する研究を行います。具体的には、紫外線によるDNA損傷と遺伝性光線過敏症患者の遺伝子型-発現系関係の解析、光による皮膚老化、光誘発皮膚免疫反応、紫外線誘発皮膚がんの予防に関する研究、光を用いた口腔疾患の(低侵襲)即時診断法の開発、PDT(光化学療法)の進行がんへの適応拡大のための研究、新PDT法の開発と臨床応用に関する研究、加齢黄斑変性や網膜光障害に関する研究、光受容体としての眼の発達に関する研究、眼疾患に対する遺伝子解析と光を用いた新しい治療法の開発等です。

C.光機能イメージング部門

心臓、血液、リンパ、免疫系の循環動態と循環障害に関して光学的手法を用いた研究を行います。具体的には、血液凝固因子の反応動態と血栓形成及び溶解のイメージング解析、蛍光法による細胞内信号伝達機構の解析、心筋細胞と血管内皮細胞における細胞内信号分子のイメージング解析、蛍光交雑遺伝子解析による白血病・悪性リンパ腫のがん化機構研究、蛍光法による自己免疫疾患での細胞内情報伝達系の解析、血管モデルの作成と血流動態のイメージング解析、光を利用した血液中各種物質の連続測定法の開発等です。

神経細胞と高次神経機構についてイメージング法、遺伝子工学的分子蛍光標識法を主体に、分子生物学的手法や電気生理学的手法を組み合わせた研究を行います。具体的には、神経幹細胞の活動と脳障害の解析、神経向性ウイルスの感染動態の解析、神経細胞のタンパク分子動態と信号伝達機構の解析、神経細胞死の機構の解析と神経保護に関するイメージング解析、高次神経調節機構に関わる細胞活動のイメージングによる解析、能動的 Cl- ホメオスタシス調節による神経回路機能の発達と可塑性の制御の研究、Cl-ホメオスタシス調節機構破綻による脳機能発達障害・脳神経疾患の病態の研究、大脳皮質神経回路形成における抑制性神経伝達の役割の解析、PETによる脳機能イメージング、PETを用いた脳疾患の病態解明等です。

質量分析顕微鏡を用いた研究を行います。MALDI法すなわちマトリクス支援レーザー脱離イオン化法を用いた、癌、血管、脳、脂肪、等全身臓器におけるメタボローム、プロテオームのイメージング等です。

高次機能医学研究分野

研究分野の概要

生体の有機的な活動のためには、神経系、感覚器系等の高次調節機能の統合のとれた働きが必要です。近年、分子生物学的手法及び遺伝子解析の進歩により、従来他領域に比べて遅れがちであった神経・感覚器領域の疾患の病因が次々と明らかになっています。その意味ではまさに豊富な潜在性を持つ領域と言えます。

本研究分野では、1) 神経系、感覚器系の正常機能の基礎的解析、2) 神経系、感覚器系の正常な機能の破綻で生じる疾患群の病因解析を行い、その効果的治療法の開発を目指しています。

現在、これらの分野においても、解析の方法論は多岐に渡っており、本研究分野においても、様々な方法論を持つ研究者が集うことにより、学際的で効果的な研究を推進することができる体制となっています。

部門別内訳
A.脳機能解析部門

脳は、精神の座であり、またヒトの活動を支える中枢です。従って、研究の重要性が高いことは言うまでもありませんが、その実施にはその複雑性故に他の領域にない困難が伴います。本部門ではその困難を克服しつつ、精神疾患特に統合失調症の基礎的生物学的研究及び病態解析、光イメージングによる神経幹細胞の量と脳障害の関連、脳腫瘍に対する神経幹細胞を用いた遺伝子治療、神経幹細胞の分化に影響を与える因子のcloningと解析、脳疾患の形態学的解析等を行っています。

B.感覚運動調節部門

感覚器系や運動器系は、その特殊性故に、各領域に特化した研究推進が必要となります。本部門では、それぞれの専門家の英知を結集し、頭頚部腫瘍特に咽喉頭がんに対するPDTの実施、光増感反応を利用した内耳障害の検討による難聴機構の解明、末梢神経の再生と軟骨再生の基礎的研究、VEC-DIC microscopyを用いたマウス破骨細胞の機能解析、関節リウマチにおける光線力学的療法の応用のための基礎的研究、3次元視能力を備えた緊急処置装置(バイオハザードな環境で救命処置にあたるロボット)の開発に関する研究等を行っています。

病態医学研究分野

研究分野の概要

生体は受精卵という1個の細胞が分裂を繰り返しながら多細胞となり、各領域が相互に影響を及ぼしながら各器官が形成されます。各臓器とも、その組織に運命づけられた組織特異的な幹細胞が存在し、その幹細胞を維持しつつ、大多数のその臓器に特有な分化細胞を作り、多細胞からなる組織を構成しています。また、分化した細胞には寿命があり、古い細胞は新しい細胞に絶えず置き換わっています。しかし、生体が年齢を経るにつれて、各器官の恒常性や細胞秩序に破綻が見られるようになります。

本研究分野では、生命の基本である細胞の増殖と分化の制御機構や、多種類の細胞から構成される各器官の細胞社会の成立機構を、分子レベル、細胞レベル、器官培養レベル、個体レベルから解明すると共に、各器官特有な病態の解明を行い、これらの成果をヒトの疾病の治療に応用できるようにする医学研究を目指しています。

部門別内訳
A.分子腫瘍部門

がんは遺伝子の病気であり、多種多様な様相を呈しています。また、がんは本来、正常な細胞社会から逸脱した性状を示します。一方、がん感受性は遺伝環境相関により決まり、個体のゲノムの破綻の結果としての前がん病変、腫瘍ゲノムの獲得した不安定性の結果としての転移、浸潤といった病態を呈し、個体の恒常性を破壊し、最終的に個体を死に致らせます。腫瘍は、細胞分化のいずれかの段階において、その器官特有な背景のもとに発生します。本部門では、腫瘍発生の種々の段階で、正常細胞が持つどの機能が破綻した場合、どのような腫瘍前がん病変がんが発生してくるかを明らかにします。ここで得られたがんの遺伝的感受性マーカーを利用して発生の予防や更にその分子標的を攻撃することで、正常細胞に影響を与えず、がん細胞だけを死滅させる治療法を開発しています。

B.組織再生部門

組織は運命づけられた幹細胞とそれが増殖、分化した組織特有細胞からできており、生体にある各組織は特有の細胞がある3次元構造をもって成立しています。本部門では、各組織幹細胞を同定し、その細胞が増殖、分化する因子を明らかにします。また、ある個人からその人の幹細胞を分離し、冷凍保存しておき、病気でその組織が喪失した場合に、保存してあった本人の細胞を細胞移植できるような方法の開発も行っています。さらに臓器移植は現在脚光を浴びていますが、拒否反応等解決すべき問題点も多く、移植医療に貢献する研究を行っています。

C.器官病態部門

各器官は構成細胞もその機能も異なります。各器官の機能を生化学、生理学的、分子生物学的観点から研究しています。器官の恒常性が破綻した状態が疾患であることから、どのようなメカニズムで恒常性が破綻するのか、またそれを阻止するにはいかなる方法がよいかを検討しています。すなわち疾患の発生機構、正確な診断法そして治療法を探求する研究を行っています。

予防・防御医学研究分野

研究分野の概要

生体防御は、生物が体外からの侵襲のみならず体内に起因する異変に対して、自己を防御し恒常性を維持するシステムであり、「適者生存」の原則に従ってこのシステムは複雑に発達してきました。前者の侵襲としては感染、外傷、熱傷などが、後者のそれには腫瘍、血行障害などが挙げられます。

本分野では 1)これらに対する防御機構のみならず 2) これら自身の病態、更には 3)防御機構の破綻による疾患の病態を分子生物学的、生化学的、細胞生物学的、あるいは発生工学的手法を駆使して解明し、疾病の診断法、治療法、予防法を開発することを目的とします。更に、4)個体の遺伝子情報に基づいた疾患の一次予防、テーラーメイド医療についての研究、5)生活習慣病の危険因子の疫学調査研究、地域社会における健康増進の予防医学研究も進めています。

部門別内訳
A.感染・免疫部門

細胞内寄生菌(結核菌、リステリア、レジオネラ、クラミジアなど)に対する感染防御免疫機構の解析と、これに基づく細胞内寄生菌感染に対するDNAワクチンの開発、細菌の迅速診断法の開発、新規迅速滅菌法の開発を行っています。
生体或いは宿主細胞に持続感染し、長期間にわたって炎症、代謝異常、腫瘍形成などをひき起こすウイルス(HCV、HBVなど)について、特に宿主因子との相互作用からウイルス生活環及び病原性発現の分子機構の解明を目指しています。また、ウイルス感染症の治療戦略に関する研究を行っております。
抗マラリア薬のスクリーニングとマラリア治療法に関する研究を行っています。
自己免疫疾患の病態・診断・治療、自己免疫現象の機構と自己抗原の解析、移植免疫寛容誘導能における組織/臓器特異的免疫反応のメカニズムの解析を行っています。

B.予防医学部門

客観的なエビデンスに基づいた保健医療に貢献することを根本において、公衆衛生学・疫学、臨床検査医学に関する様々な研究を行っています。研究対象としては、生活習慣病、高齢者、母子保健、メンタルヘルス、自殺・事故、産業保健等に及びます。一例としては、コホート研究によって、生活習慣や社会経済的因子の影響等を追求しています。また、健康危機管理、保健行政、温泉医学、地域医療体制等も扱っています。
さらに、遺伝子、タンパク質、細胞、組織・臓器を対象とし、悪性腫瘍、生活習慣病、感染症などの病態メカニズムの解明、診断法・治療法の開発を行っています。発症には遺伝因子と環境因子が複雑にからみあっていると考えられ、遺伝と環境、そしてエピジェネティクスによる背景についても研究しています。これらの研究により根本的な予防医学の実践について研究しています。

C.危機管理情報医学部門

侵襲に対する生体防御反応の解析とそのモニタリング方法の発見、過剰反応の修飾による生体反応の制御、遺伝子多型による生体防御反応の相違に関する解析と臨床応用、急性期疾患に対するEBM に根ざした臨床ガイドラインの設定、地域の外傷に関する救急医療データの集積と解析、個人の能力に応じた新しい教育ツールの開発、急性期病態の解析を可能とする新しい診断ツールの開発、医療事故の分析の研究を行っています。
ヒト資料中薬毒物の超感度機器分析法の開発、すなわち、ヒト資料中各物質の新しい抽出法の開発、生体物質の質量分析法による解析研究、大容量抽入ガスクロマトグラフィーの開発を行っています。