静岡リウマチネットワーク
 

2011年12月:アレルギー疾患と小児の膠原病・リウマチ疾患を診療〜静岡県立こども病院 感染免疫アレルギー科〜

当科は主にアレルギー疾患と小児の膠原病・リウマチ疾患を診療しています。小児のリウマチは、かつては若年性関節リウマチ(JRA)と呼ばれていましたが、現在は若年性特発性関節炎(JIA)と呼ばれるようになりました。現在50名ほどのJIA患者を診療しています。
JIAは成人のリウマチに比べると、初期に骨病変がみられる頻度が少なく、臨床症状と画像や検査での炎症所見が診断の手がかりです。治療が不十分で、経過が長くなると関節の変形や破壊が出現してきます。これを防ぐため以前は難治症例にはステロイドを持続投与せざるを得ないことが少なくありませんでした。治療量のステロイドは、比較的少量でも成長障害をもたらします。これが小児のリウマチ疾患の管理の大きな課題でした。もちろん量が多ければ骨粗鬆症や中枢性肥満、高血圧、糖尿病など成人と同様の副作用も出現します。
リウマチ疾患の治療の進歩は小児領域にも多大な恩恵をもたらしてくれました。現在、関節症状に対してはMTXがよく効きますし、治療抵抗性の症例にはアクテムラやエンブレルなどの生物学的製剤が著効します。現在診療中の約50名のうち15名ほどが生物学的製剤を使用しています。ステロイドを切ることができず、成長抑制が著明であった患者がアクテムラ導入後ふたたび身長が伸び始めた時は大きな喜びでした。
JIAは当科へ直接紹介されることもありますが、整形外科に紹介されたあと当科に院内紹介されることも少なくありません。骨や関節に異常がなく、炎症の管理のみでよい患者は当科が中心にみています。
当院にはまたリハビリ部門があります。発症から時間が経っている場合は関節の可動域制限がみられる場合があります。治療開始後、痛みが取れ、検査所見が改善すればなるべく早くリハビリを開始します。手首が動かなかったり、歩けなかったりした患児もリハビリ開始後急速に機能が回復します。治療の進歩とリハビリのおかげで、最近は関節の機能障害が残ることはなくなりました。
JIAは慢性の病気です。成人と異なり約半分は数年の経過で治癒していきますが、約半数は継続的な治療が必要です。当院では入院は15歳まで、外来も最大18歳までというルールがあります。当科を卒業後は成人のリウマチ科に送り出して来ました。これまで快く引き受けていただいた諸施設の先生方にこの場を借りて御礼を申し上げます。お手数をお掛けして申し訳ありませんが、これからもどうかよろしくお願いいたします。


なお診療時間等の詳細はホームページ
(http://www.shizuoka-pho.jp/kodomo/index.html)
をご参照ください。

スタッフ 木村光明、目黒敬章、楢林成之
                      文責 木村光明




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