静岡リウマチネットワーク
 

難病の在宅医療について 浜松医師会理事 (在宅担当) 藤島クリニック 藤島百合子

 リウマチネットワークの皆様こんにちは.今回は事務局からのご依頼により,現在の難病の在宅ケアの問題点や課題について私なりに考えていることを書かせて頂きます.
少子・高齢社会の出現,医療技術の進歩により現在の社会構造・医療システムも大きく変化し,病気や障害を持った人に対して施設や病院への隔離から「地域という生活の場」へとノーマライゼーションが求められる時代となっています.
皆さんご存じの通り,関節リウマチや膠原病も以前に比べると比較にならないぐらい予後が改善し,入院を必要とせず在宅生活を送っていらっしゃる方々が増えてきています.その反面,障害を持ちながらの生活に困難を感じていらっしゃる方,病気の再燃に不安を持ちながら生活していらっしゃる患者さんたちも多いのではないでしょうか.また,高齢となり病院への通院そのものが困難となる患者さんもいらっしゃることでしょう.入院せずに様々な治療を外来で受けられるようになったことは便利な反面,入院期間が非常に短縮され,患者さんの中にはあまりのスピードについて行けない方々も多いかもしれません.さらに重度障害を抱えている場合,患者さんの側も開業医の側もどこまで在宅で頑張れるかという不安を抱えています.
こうした中で,スムーズに病院と診療所が連携して患者さんにとって最も適した療養場所を選んで,いつでもどこでも必要な医療とサポートを受けながら,不安なく在宅生活を送れることが今最も望まれていることです.
一方,難病の在宅医療に関しては,疾患に対する管理・治療 という従来の医療だけではなく,生活全体を見通して障害にアプローチするというリハビリテーション医療の考え方が必須です.この場合リハビリテーションとは単に機能訓練をするといったレベルではなく,re habilis という語源通り,「再び生活する」といった意味で,まさにどのような病気・障害を持っていても地域で安心して生活していけるように支援していく行為・行動全てを含むものですが,残念ながら,その様な視点と方法論を持つ医師も少ない現状があります.また,現在の保険診療の中で,「在宅療養支援診療所」の指定を受けた診療所は,24時間365日の在宅診療を請け負う形となっていますが,一人でやっている開業医では過重な負担となるため,実働している診療所が少ないのも問題です.
こうした中で,在宅医療を行う開業医を増やすためには,病診連携だけでなく,診療所同士の連携が非常に重要になってきます.また,非専門医(筆者も非専門医ですが)に対する教育,研修,サポート体制の充実も必要ですし,在宅医療を行っている診療所の情報開示,介護・福祉関係者との連携促進など,課題は山積しています.
浜松地区でも様々な連携の試みが行われつつありますが,今後の在宅医療システムを考えていく上で,このリウマチネットは大きな力を発揮してくれると期待しています.多くの非専門医である診療所の先生方に参加して頂きたいと思っています.


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