浜松医科大学医学部附属病院

診療科案内

Speciality Guidance

小児の脳腫瘍

いわゆる小児癌(小児悪性腫瘍)の中で、脳腫瘍は白血病などの造血器腫瘍に次いで多く、小児期(15歳未満)の固形腫瘍の中では最も頻度が高い重要な疾患である。日本脳腫瘍統計(全国調査)によると、小児の脳腫瘍は、成人例を含めた全原発性脳腫瘍(他からの脳への転移ではなく、脳の組織から発生した脳腫瘍)の11.1%を占める。脳腫瘍の組織学的な分類としては、International Agency for Research on Cancerより発刊された"World Health Organization Classification of Tumours. Pathology and Genetics of Tumours of the Nervous System"の分類が、最も標準的で評価されており、診療の指針ともなっている。小児期の原発性脳腫瘍を発生頻度の高いものより挙げると、星細胞系腫瘍 28.4%、胚細胞腫15.6%、髄芽腫12.2%、頭蓋咽頭腫8.9%、上衣腫4.5%の順となる。小児脳腫瘍の特徴としては、グリオーマ系の腫瘍が多いこと(成人を含めた全グリオーマの16.6%、小児原発脳腫瘍中の43%を占める)、奇形腫、胚細胞腫、頭蓋咽頭腫などの先天性脳腫瘍の占める頻度が多いこと、また発生部位としては正中線に発生するものが多い、後頭蓋窩に発生するものが多い(乳児ではテント上の腫瘍が多い)などが挙げられる。小児の脳腫瘍の治療方針の決定に際しては正確な組織的診断が必須であるが、発生する腫瘍は組織学的に多彩であり、確定診断に苦慮することも稀でない。また発育途上の小児に、抗腫瘍剤を用いた化学療法や放射線治療を行う場合は、成長発達障害を来すために特別な配慮を必要とする。