浜松医科大学医学部附属病院

診療科案内

Speciality Guidance

三叉神経痛

はじめに

当科では、1982年より三叉神経痛の外科的治療(神経血管減圧術)を行っています。後述のように、この方法は三叉神経痛を完全に治す唯一の方法で、現在までに約202名強の患者さんが手術を受けられ、大半の方が完治しております。 「三叉神経痛」とは顔面に痛みが走る病気で、三叉神経の走行に沿って、「ビリッ」とした電撃の様な痛みが走ります。口を動かしたり、物を食べたり、歯磨きをしたりすると起こりやすく、風が顔に当たっても痛みが誘発される方もいます。またトリガーゾーン(引き金領域)と言い、顔や口の中などの決まった一カ所に触ると痛みが起こるようになることが多く、発作性に痛みが起こり、ひどくなると食事も取れず、人とお話も出来ないようになります。

原因

顔面には三叉神経という知覚を伝える神経が脳から出て顔面に分布し、大脳へ痛覚、触覚などを伝えています。「三叉神経痛」の原因は、この三叉神経が脳から出たところ(神経入行部:Root Entry Zone)で、血管(大半は動脈)に圧迫され続けることによって起こります。どの位の時間圧迫され続けると「三叉神経痛」となるのかは圧迫する血管の太さによっても違い、個人差が大きいものと思われています。主に、三叉神経の第二枝(頬の辺りからこめかみに分布する)、第三枝(顎から耳の前に分布する)に起こることが多いとされています。神経に動脈が当たることによって神経の軸索(電線にたとえると、中心の金属の線の部分)の周りにある髄鞘(電線の金属線の周りにあるビニルなどの被覆物にあたるもの)がとれてしまい、この部分で痛みや触覚を伝える電気信号がショートしてしまい、疼痛が起こると考えられています。繰り返すことによって三叉神経核(神経細胞)が興奮性を帯びてきて三叉神経痛の症状がひどくなってゆきます。

治療法

現在、主に以下の3つの治療法がよく行われています。

内服薬

カルバマゼピンという薬が特効薬です。他にフェニトインなども有る程度効果があります。ただし、カルバマゼピンはふらつき、吐き気、肝障害、低Na血症、顆粒急減少症などの副作用を起こすことがあり、また使用し続けると一般に疼痛に対して効果が弱くなります。

ガンマナイフ

放射線を三叉神経に集中して当てる治療法です。まだ一般病院にはなく、保険適応が現在ありません。約 50-75%の人に効果があると言われています。

神経血管減圧術

もともと神経に血管の圧迫が加わることで起こっている疾患ですので、この血管を神経から離すことにより、三叉神経痛を直すことが出来ます。動脈などの圧迫部位で神経に脱随がおこり、この神経血管減圧術では、この病気を完治させることができます。術後の疼痛消失率は95%と言われています。合併症もわずかです。神経から血管を離すことによって、軸索の周りの髄鞘が再び回復し、電気信号がショートを起こさなくなり、症状が取れると考えられていますが、三叉神経痛は手術直後からとれてしまうのが特徴です。