浜松医科大学 NEWSLETTER 2025.10(Vol.52 No.1)
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4を応援できるのではないかと考えています。これは大学にとっても地域貢献の一つの形になると思います。こうした取り組みが進むことで、今度は「浜松医大を応援しよう」という動きが企業や地域に広がり、良い循環が生まれていくことを期待しています。まずはその基盤となるネットワークづくりが重要です。その際に鍵を握るのは、地域の金融機関の皆さんのご協力だと考えており、すでに連携の可能性について検討を始めてもらっています。教育の話に戻りますが、先生はどのような学生を育て、どのような学生になってもらいたいとお考えですか?学生には、しっかりとした価値観を持ってほしいと思っています。医学科も看護学科も、最終的には国家試験という大きな関門がありますから、それをクリアできる学力をつけるのは当然のことです。ただ、それだけではなく、自分なりの価値観を育んでほしい。また、医療現場で欠かせないのはコミュニケーション能力です。しっかりとした価値観と高いコミュニケーション能力を持ち、プロフェッショナリズムを備えた学生を育てていきたいと考えています。さらに、国際感覚を身につけ、英語力を磨いた学生が育ってくれたら、本当に心強いですね。そして最終的には、「浜松医大の出身ならぜひ一緒に働きたい」と思ってもらえるような医療人を育成していくこと。それが私の目標です。教育において、今年から防災士を取得することになりましたが、教育課程やカリキュラムについて、新しくやっていきたいことはありますか?現在、2年後を目途にカリキュラム改定を予定しています。その中で特に取り組みたいのは、情報・工学分野と連携した教育課程の構築です。医療は今後DXや工学との融合がますます重要になりますので、その視点を学生時代から身につけてもらえるようにしたいと考えています。また、これまで実習は浜松医大中心で行ってきましたが、今後は地域医療連携推進法人(HAMA)の枠組みを生かし、浜松医療センターにも加わっていただく予定です。地域全体での教育体制をつくっていくことが大切だと思っています。防災士の資格取得についても、今年から新たに始めました。南海トラフ地震が発生した場合、静岡県は甚大な被害を受けると想定されています。大学病院を持つ医療機関として、県民の医療を確保する責任は極めて重い。そのためにも、災害時にしっかり対応できるよう、日頃から備えと訓練を重ねていくことが必要です。いずれは学生だけでなく、職員も含めて「みんなが防災士資格を持っている大学」にしていきたい――そんな思いを持っています。最後に、浜松医科大学に関係する方々へのメッセージをお願いできますか?繰り返しになりますが、私は浜松医大は本当に素晴らしい大学だと思っています。そして「浜松医大で働いてよかった」と皆さんが誇りを持てる組織をつくっていきたい。そのためには、教 職 員 同 士はもちろん、患者さんや学生を含めて、互いを尊重し合える環境を育てていくことが大切だと考えています。これまでの長い歴史の中で、多くの同窓生や教職員の方々が努力を積み重ねてくださったおかげで、本学は非常に恵まれた環境を築いてきました。その礎の上に、さらに大きく飛躍していける大学だと確信しています。もちろん課題はありますが、皆で力を合わせれば必ず乗り越えられるはずです。これからも一緒に浜松医大を育て、より良い未来を築いていければと思っています。そうした方々に医療を届けるための体制づくり、あるいは通訳体制の工夫などを、学生たちが主体的に取り組んでくれているのもできる医療体制を築くことも、ダイバーシティになって改めて医療DXの推進についてどのようにお考えですか?になると考えています。DXを進めることで人DXを活用することでより正確な診断や高度いるとも言われています。だからこそ、本学としても積極的に取り組んでいきたい。たとえ「標準化」と「シェアリング」です。現在はベンダーごとに独自仕様のシステムが多く、データし、データを共有していく――そのためにはを当たり前のこととして受け止めるような文化を作ることも重要と考えています。日本の企業から海外に行っている方の健康そこで、医師や心理士の方々の力を借りながら、浜松医大としてメンタルサポートを含むの組織文化として根付かせていきたいと考えています。また、浜松はブラジルをはじめとする外国籍の方々が多く暮らす地域でもあります。心強いことです。地域社会の多様性に対応推進の大切な一側面だと思っています。先生は理事のときから医療DXには力を入れて推進されてきたかと思いますが、学長日本全体で人口が減少していく中で、医療DXは人手不足を補うための大きな力の負担を減らし、効率や成果を高められる社会をつくることができる。医療の面でも、な医療を提供できるようになっていくはずです。ただ、医療分野はDXの導入が遅れてば、患者さんから得られる貴重なデータを、個人情報は守りつつ、できるだけ多くの人が利用できる形にしていくことも、医療DXの大切な役割だと思います。特に重要なのはが囲い込まれてしまうケースも少なくありません。ベンダーニュートラルな仕組みを構築技術だけでなく、意識改革も必要です。医療に携わる人たちが「標準化とシェアリング」相談なども考えられているようですが。浜松からは多くの企業が海外に進出していますが、現地では必ずしも十分な医療サポートを受けられるとは限りません。特に海外赴任者の間では、メンタルの不調が大きな課題になっていると聞いています。医療的な相談に取り組むことで、地域企業NEWSLETTER

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