浜松医科大学 NEWSLETTER 2025.10(Vol.52 No.1)
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9 NEWSLETTER分子生物学講座 教授山中 総一郎産婦人科学講座 教授小谷 友美臨床看護学講座 教授川上 千春光医学総合研究所尖端生体イメージング研究部門分子病態イメージング分野 教授牧野 顕2025年5月1日付けで分子生物学講座の教授を拝命いたしました。浜松市と同じく大きな湖を有する滋賀県で生まれ育ち、東京大学大学院理学系研究科で博士号を取得した後、米国国立衛生研究所(NIH)、慶應義塾大学医学部、東京大学など、国内外の複数の研究・教育機関で経験を積んでまいりました。分裂酵母を用いた減数分裂の研究から、ヘテロクロマチンの構造と機能の解明、さらに現在は哺乳類の生殖細胞を対象としたエピジェネティクス研究へと、研究テーマを発展させてまいりました。分子生物学、とりわけ遺伝子発現制御の分野が、技術の進歩とともに成熟していく過程を現場で見届けてきたことは、私にとって大きな財産です。これまでの歩みの中で、各地で出会った多くの仲間や先達に支えられ、今日の自分があることを強く実感しております。そして今、この恵まれた自然と活気ある医療・研究環境に恵まれた浜松医科大学に勤務できることを、心から光栄に、そしてありがたく感じております。今後は、この地だからこそ可能なスケールの大きな研究に一歩ずつ取り組むとともに、次世代の医学・生命科学研究を担う人材の育成にも尽力し、教育と研究の両面から本学のさらなる発展に貢献してまいります。引き続き、何卒ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。【専門分野】周産期医学 臨床遺伝医学 内分泌学2025年5月1日付けで産婦人科学講座教授を拝命いたしました。1996年に名古屋大学卒業後、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院で臨床の基礎を学び、大学院では胎盤酵素の基礎研究に取り組みました。その後、出産を機に約3年間の離職後、家族や職場の支援により復職した経験は、現在のDiversity, Equity & Inclusion推進活動の原点となっております。本学の活動にも微力ながら貢献してまいりたいと存じます。臨床・研究面では、先天性横隔膜ヘルニアなどの胎児疾患、早産児の神経発達、大量出血を伴う産科救急、妊産婦自殺などの課題に取り組み、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を発症した女性の健康寿命の延伸に向け、インターコンセプションケアの確立にも注力しております。本講座は、低侵襲手術において国内外から高く評価され、婦人科悪性腫瘍治療および羊水塞栓症研究の拠点としての実績も有しています。こうした伝統を大切に継承しつつ、自身の経験を基に、「女性の一生に寄り添い、支える医療の切れ目のない提供」に尽力してまいります。女性がいきいきと暮らせる地域社会の実現の一助となれば幸いです。今後とも、ご指導・ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。【専門分野】老年看護学2025年4月1日付けで臨床看護学講座(老年看護学)教授を拝命いたしました。看護師免許取得後、大学病院勤務を経て訪問看護に従事し、介護保険制度もない時代に在宅での看取りに取り組みました。その中で、多くのご本人やご家族と関わり、病いとともに生きる高齢者と家族にとって看護とは何かを問い続けてまいりました。現在、わが国は世界に類を見ない超高齢社会を迎え、多死社会の到来とともに、終末期ケアは「専門職によるサービス提供」から「地域のコミュニティ形成」へと転換が求められています。さらに、認知症のある方を含む誰もが尊厳をもって暮らせる社会の実現に向け、ケアする/されるという関係を超え、専門職と市民がパートナーシップを築き、ともに受けとめ応答し、支え合う「コンパッション·コミュニティ」の構築が重要です。こうした社会の要請を踏まえ、浜松の地で、認知症のある方や高齢者が安心して暮らせる仕組みを積み上げ、これまでの研究を基盤に地域住民とともに住民主体のケアモデルを創出してまいります。今後ともご指導·ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。【専門分野】放射性医薬品科学2025年6月1日付けで光医学総合研究所・分子病態イメージング分野の教授を拝命いたしました。私は2006年に京都大学大学院工学研究科にて学位を取得しており、当時の専門は高分子合成化学です。その後、産学を交えた医工薬連携プロジェクトに携わる中で、合成・材料化学を基盤とした放射性医薬品科学研究を開始し、今日に至ります。これらの中で京都大学大学院薬学研究科や、福井大学高エネルギー医学研究センターなどで研究する機会に恵まれ、臨床現場への社会還元を目指した基礎研究に従事してきました。浜松医科大学は浜松光宣言2023を発表していますが、一部の電離放射線は光の一種であり、本学は放射性医薬品研究における日本国内重要拠点の一つです。また近年は個々に最適な医療を提供する手法の一つとして、診断(Diagnostics)と治療(Therapeutics)との融合であるセラノスティクス(Theranostics)という考え方の重要性が増しており、放射性医薬品を用いる核医学はその実現手段の一つとして期待されています。今後、臨床現場と連携をしながら、セラノスティクス実現を目指した基礎研究や臨床への橋渡し研究に努めていきます。今後とも末永く、皆様からのご指導ご鞭撻を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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