浜松医科大学 NEWSLETTER 2022.10(Vol.49 No.1)
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sweN inmulA▲ ミーティング中の写真(筆者は中央)▲ 准教授と助教との写真(筆者は中央)▲ 前額部に脳活動計測装置を装着して脳血流量を測定中(筆者は右)皆様こんにちは。看護学科2期生、平成12皆様皆様こんこんにちは。看護学科(2000)年卒の久保田正和と(2000)年卒の久保田正和と申します。現在は大阪医科薬科大学看護学部で老年看護学分野の教授をしております。実は「卒業生は今」で近況報告をさせていただくのは2回目です。前回は平成24(2012)年でした。つい最近執筆したばかりと思っていましたが、もう10年も前のことで、時の流れの早さに驚いています。今回は、現在取り組んでいる研究と教育について紹介をさせていただきます。私の専門は「老年看護学」ですが、近年は「認知症の看護」をテーマに研究を進めています。現在取り組んでいるのが、認知リハビリテーションにおける看護師のかかわりについて、その効果を脳活動計測装置により可視化することです。大学院生と行った研究で、高齢者に計算やクロスワードパズルを行ってもらい、脳血流量の変化を測定したところ、看護師が認知症ケアの原則に即した適切なかかわりをしながらタスクを行うと、ひとりでタスクを行う場合 こちらからご連絡ください!に比べて明らかに脳血流量が増えることがわかりました。看護は「人対人」の行為なので、このような看護介入の結果はバラつきが大きく、科学的な検証は難しいですが、そのような中で介入の効果をある程度数値で示すことができたという点では、非常に意義深い研究だと感じています。看護が人に与える影響は、数値で測りきれないことが興味深い一つの面でもあるのですが、客観的な数値で示すことも大事だと思うのです。看護学に科学的なエビデンスが求められるようになって久しいですが、今後もこの研究を進めて、適切な認知症看護の拡がりに貢献したいと考えています。次に教育についてです。この仕事の醍醐味は自分の知識や考えを多くの学生さんにダイレクトに伝えることができることだと思います。学問だけでなくこれまで私が経験してきたことを伝えることが学生さんにとって少しでもプラスになってくれればと思っています。私は、浜松医科大学で学問以外に多くのことを学びました。学生時代に接した友人たちには感謝しかありませんが、その経験があるので、現在も学生さんには多くの人と話をして多様な価値観に触れることを勧めています。しかし、現在はコロナ禍でできるだけ人との接触を避けるように言われてしまいます。全員がマスクを付け、表情を見ることも難しくなりました。とてもじゃないですが「色々な人の考えを知るために飲みに行ってきなさい」なんて言えません。本来、大学では学問を学ぶこと以外に、部活動や旅行など人との関係性を築くうえでとても多くの経験をできる時間があります。限られた学生生活の中で、その機会が奪われているのは一番の問題点です。しかし、このような環境の中で学生さんは本当にがんばっています。医療職に就く者としてより厳しい対応を迫られていますが、「医療者になる者として自覚を持つことができた」、「遠隔授業のメリットを知ることができた」など、健気なことを言っております。今後も何が起こるのか分かりません。今ある環境の中で学生さんが多くのことを学び、少しでも楽しかったと思えるような大学生活が送れるよう関わっていきたいと考えています。現在浜松医科大学の看護学科には私が学生時代に教えをいただいた鈴木みずえ先生、佐藤先生、同級生の山下先生、村松先生、大学院時代の先輩である秋田先生がいらっしゃると思います。コロナ禍になって浜松にも行けていませんが、またおじゃまいたします。看護学科2期生(平成12年3月卒業)久保田 正和NEWSLETTER22大学教員として「卒業生は今」の執筆者募集中!

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