浜松医科大学 NEWSLETTER 2022.10(Vol.49 No.1)
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私の研究 放射線治療という言葉は聞き慣れない方も多いかと思いますが、基本的には、癌を対象とした臨床科です。文字通り、癌を放射線で治療する科なわけですが、危ない放射線を正確に制御するために、世の中の最先端技術が集結しています。私は、ソフトウェア、ハードウェア、バイオテクノロジーの3つの基礎的視点から、放射線治療の未来をデザインしたいと思っています。ソフトウェア研究では、量子コンピューター応用をいち早く進めています。放射線治療では癌だけに放射線を当てて、それ以外の場所には当てないようにするために、コンピューターでかなり複雑な計算を行っています。しかし、その計算が複雑すぎることか研究室を出ると・・・休日の過ごし方休日は、気分転換のために、カフェで作業をしたり、運動をしたりしています。もともとはサッカーをしていましたが、少人数でも楽しめるテニスやゴルフなどを最近始めました。座右の銘は「助走が長いほど、高く飛べる」研究は、結果の規模や性質にもよりますが、時間がかかります。小さな成功体験を積み重ねながらも、やはり時間のかかるテーマにも挑戦したいと思っています。目標基礎研究から、継続的に社会に貢献できるイノベーション事業を創出したいです。自分でベンチャーを起業するなり、大企業の一部に組み込んでいただくなりして、研究開発がきちんと事業として機能することが、世の中の役に立っているという納得感につながると思っています。カフェで作業中細胞分子解剖学講座 特任助教ら最適解を得ることは難しいと考えられており、その問題を量子コンピューターの特性を利用して解決しようとしています。ハードウェア研究に関しては、テクノロジーの発展に伴い、放射線ビームを自由自在に操ることで非常に短い時間に大量の放射線を放出することが可能になってきました。そして、この閃光(FLASH)のような放射線は癌にだけ作用して正常組織にはダメージを与えない特殊な性質を持つことがわかってきており、数十年に一度の大発見かもしれないと世界中で検証が始まっています。私は、質量分析イメージングを用いてその一旦を担っています。バイオの話は省きますが、放射線治療の未来という意味では、癌だけでなく、変性疾患や老化などをターゲットとして、適応領域を拡大させていくことも視野に入れ、基礎研究と放射線治療の架け橋になれればと思っております。11NEWSLETTER荒牧 修平〜未来を担う若手 放射線治療の未来に基礎研究から貢献する

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