浜松医科大学 NEWSLETTER 2022.3 (Vol.48 No.2)
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sweN inmulA 世界的な新型感染症の流行という大きな渦に全人類が巻き込まれているなか、患者を目の前にして最前線で戦っておられる皆さまに、心より感謝申し上げます。自分も一人の臨床看護師として、目の前のケアに全力を挙げていきたいと思います。 私はもともと岐阜の出身です。それまで看護師になろうと思ったことは一度もありませんでした。労働社会学で卒業論文を書き、22歳で一般企業に就職しました。24歳で祖父が肺がんで他界したとき、初めて医療・病院というものがあまりに身近にあることに気が付きました。当時、消化器と循環器の違いはおろか、外科と内科の違いも分かりません。これはマズイと思い、自分自身が知るためにと看護師を目指しました。医療職というと、医師と看護師しか知らなかったからです。運よく浜松医科大学に入学が叶い、学生時代には貴重な経験をたくさんして、29歳で卒業しました。卒業後は、岐阜の高山赤十字病院で病棟 こちらからご連絡ください!看護師を経験後、名古屋の訪問看護ステーション勤務を経て、令和3(2021)年4月から浜松市東区で■株式会社fit■および■フィット訪問看護ステーション蒲■を設立しました。 最近でこそ訪問看護の認識が高まっていますが、その就業者は看護師のうちわずか3.2%です(厚生労働省:衛生行政報告例の概況より)。そのため、まだ訪問看護そのものを知ってもらう段階だと思っています。少子高齢化により、訪問看護の主な対象は高齢者です。慢性疾患、神経難病、がん、整形疾患、認知症など、対象疾患は多岐に渡るというよりも“全て”です。そういった点が、「訪問看護は難しい」というイメージにもなっているかもしれません。しかし訪問看護の醍醐味は、病名は抜きにして、利用者(患者)さんの人生そのものに伴走させてもらえることです。ご自宅に伺うことで、その方の人生がつぶさに拝見できます。飾ってある表彰状、家族の写真、各地のお土産・・・(もちろん見られたくないものは事前に隠してもらいます(笑))。同じ疾患、同じ症状、同じ治療方針でも、同じ家や同じ人生は絶対にありません。利用者(患者)さんのニーズや人生観をしっかりと伺いながら、“医療者の視点を持った伴走者”として療養のお手伝いをさせてもらうことが訪問看護です。 また、小児の訪問看護のニーズが急速に高まっており、医療技術の発展や在宅用医療機器の進化が後押しして、ここ10年で利用者数は4倍超になっています(厚生労働省:訪問看護療養費実態調査より)。2021年に「医療的ケア児支援法」が成立し、自治体の支援に法的根拠ができました。これまでは助からなかった命が、助かるようになっています。私も一人の親として、子どもを慈しむ気持ちは十分に分かるつもりです。訪問看護では、小児その子が自宅で過ごすための支援はもちろん、保護者が安心して生活できるようお手伝いしています。浜松は浜松医科大学をはじめとして大きな病院がたくさんあります。それだけ医療の進んだ地域だと思います。今後も地域を支える一人として、皆さまとともに活動させていただければと存じます。看護学科15期生(平成25年3月卒)房原 篤志NEWSLETTER「卒業生は今」の執筆者募集中!浜松に訪問看護を設立して26

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