浜松医科大学 NEWSLETTER 2022.3 (Vol.48 No.2)
26/28

sweN inmulA◀ 東京女子医科大学  彌生記念教育棟▲ 東京女子医科大学病院私は、平成12(2000)年3月に医学科を卒業した21期生の水主川 純と申します。現在は、東京都新宿区に所在する東京女子医科大学産婦人科学講座・母子総合医療センターの教授として勤務しています。卒後2年間の初期臨床研修は東京都新宿区の国立国際医療研究センター産婦人科で行いました。この期間は産婦人科の基本的な知識や技術の習得だけではなく、HIV、結核、梅毒などの感染症合併妊娠の周産期管理を経験することができました。また、救命救急センターが備わっているため、救急科や脳神経外科などの関連診療科の先生方と救急対応にあたる機会も多く、貴重な研修でした。初期臨床研修修了後、平成14(2002)年に浜松医科大学大学院に入学し、金山 尚裕 前 産婦人科学講座教授(現、名誉教授)のご指導の下、研究に従事いたしました。研究テーマは近赤外線分光法による胎盤酸素動態の評価法の開発であり、浜松ホトニクス株式会社と共同研究に取り組みました。私の初めての国際学会での発表は、本研究成果に関する内容であり、南米のチリ共和国で開催された世界産婦人科学会での口演でした。発表時の緊張感は今でも鮮明に覚えており、その後の研究意欲にもつながっています。平成19(2007)年から再び国立国際医療研究センター産婦人科に勤務しました。その際、経済的社会的問題を抱えた妊婦の診療に携わる機会が多く、研究テーマとして妊娠期から育児期を通じた母子の安全な環境確保が加わりました。この研究に関しては、平成23(2011)年から研究代表者として厚生労働科学研究費補助金で研究を行うことができ、厚生労働省や東京都などによる母子保健や児童虐待に関する事業にも携わるようになりました。平成25(2013)年から聖マリアンナ医科大学産婦人科学講座講師として勤務し、それまでの研究を継続しつつ、田中 守 教授(現、慶應義塾大学産婦人科学講座教授)のご指導の下、超音波検査による胎児診断の研鑽を積みました。東京女子医科大学産婦人科学講座・母子総合医療センターには平成30(2018)年に講師として着任し、平成31(2019)年に准教授、令和3(2021)年9月に教授に就任いたしました。総合母子医療センターにおける令和2(2020)年の分娩件数は712件であり、先天性心疾患術後や腎移植後など合併症妊娠症例が非常に多く、小児外科や循環器小児科が備わっていることから胎児診断にも積極的に取り組んでいます。現在は、学生教育を担う立場でもありますが、教育を通じ、科学者として、人間として、バランスを兼ね備えた医療者の育成を目指しています。私は、浜松医科大学入学以降、数多くの指導者や同僚、後輩などに恵まれ、教育、研究、診療に取り組み続けることができていることを本当にありがたく思っております。学会や研究会などでは浜松医科大学の卒業生に声を掛けていただいたり、平成29(2017)年には磐田市立総合病院で講演の機会をいただき、母校のあたたかさを感じております。浜松医科大学のますますのご発展と皆様のご健勝を祈念申し上げます。医学科21期生(平成12年3月卒業)水主川 純25NEWSLETTER母子の最善を目指して

元のページ  ../index.html#26

このブックを見る