浜松医科大学 NEWSLETTER 2022.3 (Vol.48 No.2)
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紹介NEWSLETTERです。これらを打開するため、産業界とコラボし研究に昇華できるよう努力しています。他の講座にはない特徴を教えてください。救急分野だけでなく災害分野において院外で活動することが多くあることです。スタッフは災害医療派遣チーム(DMAT)隊員であるものが多く、G20サミット医療・ダイヤモンドプリンセス号/他院外コロナ対応業務・熱海土砂崩れ災害対応・東京オリンピック/パラリンピック医療活動など、病院外での活動が他の講座よりも多いです。新たな胸部圧迫ドローン図細胞運命制御機構解明における当講座のアプローチカンファレンス風景introduction18他の講座にはない特徴を教えてください。ヒトのタンパク質をコードする遺伝子は二万三千ほどありますが、それらの機能についてはなんらかの報告があり、既知です。多くの研究室ではこれら既知の遺伝子の新たな機能や疾患との関係を解析しています。それはそれで重要ですが、我々は新規遺伝子を見つけたくなりました。実はタンパク質をコードしていない長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)にも機能があるのです。我々はそれらを解析し、がんのさらなる悪性化に関与する新規lncRNA遺伝子を探索し同定する事に成功しています。救急災害医学講座どんな研究をしていますか?救急分野においては、新たな心肺蘇生の技術開発を行っています。ガイドラインに示されている通常の心肺蘇生では力の弱い女性や子供では十分に行えないことが多いです。これを改善するために各種方法をプロデュースし発表しています。災害分野では、ドローンをメインとした機器による傷病者評価/治療を研究しています。突然起こる救急・災害シーンでは、医療者/傷病者ともに安全に救命し救命されることが目標です。また、産学連携による業務を研究へと昇華させるよう奮闘しております。救急分野は「我慢する」ことを是とする文化が特に強く、潜在的な欲求が顕在化していないことが多い講座・研究室Department ・ laboratory 分子生物学講座どんな研究をしていますか?当講座では、細胞増殖開始・停止、細胞死、細胞分化、発生、細胞老化、がん化等の細胞運命の決定機構の研究をしています。特に、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)、DNA障害応答/修復因子、エピゲノム因子、ユビキチン関連因子、細胞周期制御因子、がん抑制遺伝子について、それらの機能および発現制御機構の解析を行っています。これらの研究を通し、がんおよび多様な生命現象の解明とその医学的応用を目指しています。最近では、がんの悪性化に関与する上皮間葉転換を促進する新規lncRNA ELIT-1を発見しました。また、X染色体の活性化制御に関わるlncRNA Xist遺伝子の発現制御機構の詳細な解析に成功しました。さらに、X染色体の活性化状態と相同組換え修復の関係を明らかにしました。

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