浜松医科大学 NEWSLETTER 2022.3 (Vol.48 No.2)
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■■ 角膜には透明なレンズとしての役割と眼球の壁としての役割があります。角膜が混濁したり、穴が開いてしまったりすると角膜移植が必要になります。最も一般的な全層角膜移植手術は古くから行われている手術の一つで、約100年の歴史があります。角膜移植の対象となる頻度の高い疾患として、(1)円錐角膜、(2)水疱性角膜症、(3)角膜炎後の混濁、(4)角膜変性症などが挙げられます。最近では技術の進歩にともなって角膜パーツ移植が行われています。大きく分けると、全層を移植する「全層角膜 令和3(2021)年10月8-9日、アクトシティ浜松コングレスセンター全館にて第28回日本輸血・細胞治療学会秋季シンポジウムを主催しました。コロナ禍の中での開催となりましたが、全国から約1,700人の参加がありました。集合写真 テーマは「未来に届けたい輸血・細胞治療」とし、蓄積されたエビデンスやガイドラインを纏め、次世代の担い手に届けることを目標としました。 昨年からの新型コロナウイルス感染拡大を受け、学術集会も誌上開催やWEB形式を余儀なくされてきました。会場で討論する機会は減り、私たちは限られたリンクのなかで、できることを模索してきました。しかし、自ら努めて学習しない限り、取り残される不安があります。今回、会場における発表と討論をメインに、静岡大学情報学部の共催をいただき、リアル感を大切にした令和3(2021)年10月15-16日に標記学会を集中治療部 土井松幸会長のもと、アクトシティ浜松コングレスセンターで開催し、テーマは「テクノロジーの光と影」としました。10月に緊急事態宣言解除もあり、ハイブリッド開催としました。晴天の中多くの参加者を浜松にお迎えし、久しぶりに活発な意見交換の機会を得ることが出来ました。 当学会についてですが、医療者と技術者が麻酔、集中治療におけるテクノロジーについて同じ土俵で議論することができる学会です。当科池田和之初代オンライン形式も併用できました。 「プロフェッショナルからのメッセージ」では、輸血医療に注力してきた先輩から未来を支える後輩に、最も伝えたいことをバトンタッチ形式で纏めていただきました。最近の話題であるワークシフト/シェアに関し、最新情報と効率良い導入方法について討論されました。医療を取り巻く安全、刑法、光技術、情報管理、コミュニケーションに関し日本を代表する専門家にご講演いただきました。展示スペースでは、検査機器や試薬に加え、浜松ホトニクスから最先端のハイパーカミオカンデ、スズキからパートナーロボットが展示され、試乗も含め参加された方々には好評でした。会議を盛会に終えるにあたり、浜松医科大学のみなさまのご尽力に深く感謝いたします。移植」、内皮から外側の上皮と実質を移植する「層状角膜移植」、そして「角膜内皮移植」の3通りの手術方法があります(図)。 人工の角膜はいまだ普及していないので、角膜移植手術には角膜の提供が必須です。アイバンクは、献眼者を募集登録し、死後の眼球を摘出する医師を支援し、移植待機患者に公平・公正に斡旋する機関です。活動実績はさまざまですが、全国に54のアイバンクがあります。静岡県アイバンクは昭和56(1981)年に設立され、平成23(2011)年に公益財団法人に移行しました。献眼者数は全国で1、2位を争うほど多く、新型コロナウイルス感染症流行の中でも令和3(2021)年度4月〜12月までに60人集中治療部 部長土井 松幸集中治療部 副部長御室 総一郎教授が第2回会長を務めましたので、今回浜松医科大学として37年ぶりに開催することになりました。 初日のイブニングセミナーは「我が社の会心テクノロジーと残念な企画」。会心のテクノロジーだけでなく、様々な理由で普及しなかった(本当は良いのに)残念なテクノロジーについて議論しました。 特別講演は浜松ホトニクス中央研究所所長の原勉先生に講演を頂きました。光についてスーパーカミオカンデから浜名湖のアサリの飼育に至る内容の濃い講演で、世界最先端の企業のすごさを感じました。 シンポジウムは、遠隔医療とICUの現状と展望について、遠隔ICUの実践施設における工夫や苦労を議論しました。 開催のタイミングに恵まれ、多くの医師、コメディカル、技術者が一堂に会することができ、感染もなく無事終わることができたことはとても有難いことでした。 協力していただきました皆様に心よりお礼申し上げます。看板と共に学会の様子眼科学講座 教授 堀田 喜裕15NEWSLETTER第28回日本輸血・細胞治療学会秋季シンポジウム輸血・細胞治療部 部長竹下 明裕第39回日本麻酔・集中治療テクノロジー学会主催学会角膜移植とアイバンク

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