国立大学法人 浜松医科大学

大学紹介

University Introduction

研究内容

シナプスのE3ユビキチンリガーゼSCRAPPERによる神経伝達調節

ユビキチンプロテアソーム系(UPS)タンパク質分解の標的タンパク質はポリユビキチンをUPS酵素群により付加され、次にプロテアソーム内で分解される。UPS酵素群のうち、基質と結合し、ユビキチン化の基質特異性を決定するのがE3ユビキチンリガーゼである。 矢尾らはシステムバイオロジーの手法を用いて、シナプスに局在し、シナプスの活動性を調節するユビキチンリガーゼSCRAPPERを同定し、SCRAPPERがactive zoneタンパク質の可塑性調節因子Rab3-interacting molecule 1(RIM1)に直接結合し、そのプロテアソーム依存的な分解に関与することを明らかにした。 さらに、SCRAPPERはRIM1を介したシナプス小胞の放出確率の調節とシナプス可塑性の調節に寄与していることが示された。
SCRAPPER-dependent Ubiquitination of Active Zone Protein RIM1 Regulates Synaptic Vesicle Release
A series of UPS enzymes polyubiquitinate target proteins, and then proteasome degrades the ubiquitinated target proteins. Among UPS enzymes, E3 ubiquitin ligases are involved in the target recognition, and determine the specificity. We identified SCRAPPER, a synapse-localized E3 ubiquitin-ligase by using in silico screening. SCRAPPER directly binds and ubiquitinates RIM1, a modulator of presynaptic plasticity. Our study demonstrated that SCRAPPER regulates synaptic vesicle release and synaptic plasticity through RIM1 ubiquitination and degradation. (Cell?130:943-957, 2007)

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図1. SCRAPPER依存的なユビキチン・プロテアソーム系を介したRIM1分解のモデル図(左) E1,E2の働きの後、SCRAPPERを含むSCF複合体E3ユビキチンリガーゼの働きによりRIM1はポリユビキチン化され、プロテアソームで分解される。右の絵は、「JoJoの奇妙な冒険」で有名な漫画家・荒木飛呂彦氏によるCell誌カバーデザインで、人型のものをSCRAPPER、円盤形のものをRIM1、小さいハート型のものをユビキチンとして表し、SCRAPPERがRIM1にユビキチンを付加していく様子を擬人化して表現している。 Yao I, et al: Cell (2007)より転載

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図2. SCRAPPERはRIM1の制御を介してシナプス情報伝達を調節している
A: Scrapperノックアウトマウスの培養神経細胞でRIM1をRNAiによりノックダウンしたときに記録されるmEPSCの代表的なトレース
B: AにおけるmEPSCの頻度の定量結果 RIM1のノックダウンによりScrapper欠損時の表現型はレスキューされた Yao I, et al: Cell (2007)より改変

質量顕微鏡法による神経伝達物質のイメージング

脳情報の時空間的制御の解明をコンセプトに、神経活動依存的な神経伝達物質の動態を明らかにします。神経伝達物質可視化のためのツールとして、質量顕微鏡法を取り入れ、脳情報の可視化を行い、統合的な理解をはかります。この理解は、脳のはたらきの解明のみならず、神経伝達物質放出異常に関与する多くの神経疾患の治療への手がかりとなり、リハビリテーションなどに重要な新規のアプローチとなることが期待されます。

質量分析でアセチルコリンの脳内分布の可視化に成功