静岡リウマチネットワーク
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米国リウマチ学会、欧州リウマチ学会による新しい(予備)診断基準
内容 リウマチの新しい(予備)診断基準
米国リウマチ学会、欧州リウマチ学会により新しい(予備)診断基準が示された。
関節リウマチをより早期に十分にコントロールする重要であると認識されてきている経緯から、早期診断を目指すものとなっている。国際標準とするためMRI等の項目は採用されていない。以前の診断基準と比して、6週未満でも診断可能、炎症マーカー、抗CCP抗体採用、リウマチ結節、手のこわばり、対称性削除などの相違点がある。ここで最も重要なのは、まず、関節リウマチ以外の疾患を十分鑑別できるかである。関節リウマチでない疾患を関節リウマチと診断するリスクが高くなると言える。特に変形性関節症に注意が必要である。今後、実臨床の場での検証が必要である。(現時点では論文が未公表であり詳細について日本リウマチ学会において検証委員会で検討されることになっている。日本リウマチ学会のホームページにコメントが掲載されている。)

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@ 前提条件
1関節以上の腫脹
  関節リウマチ以外の疾患を鑑別 
A X線評価
  びらん等のリウマチの変化があればRAと診断する。
B X線変化がない症例はスコアを算出し各項目の合計6点以上を関節リウマチとする。
A.関節病変(圧痛または腫脹関節数)
中・大関節 1つ以下   0
中・大関節 2から10  1
小関節   1から3   2
小関節   4から10  3
小関節   10以上   5
B.血清学的検査
 RF、抗CCP抗体 両方陰性 0
 どちらかが低値陽性(正常の3倍以下)2

 どちらかが高値陽性(正常の3倍以上)3
C.滑膜炎の期間
 6週未満 0
 6週以上 1
D.急性炎症反応
 CRPとESRがともに正常 0
 CRPまたはESRが異常  1
*大関節:足、膝、股、手、肘、肩、股関節の計10関節
小関節:MTP、IP、MCP(U〜X指)PIP、手関節の計30関節
(手関節は小関節、第1MCP関節は含まれないことに注意)

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特別編 〜レミケード(R)の効能・効果、用法・用量が追加について〜
内容 レミケード(R)に新しい効能・効果、用法・用量が追加されました。
レミケードの(R)効果はあるがその効果が不十分であったり、効果が減弱してきた患者さまにはレミケードの増量や投与期間の短縮が検討できるようになりました。また、効能・効果に「関節の構造的損傷の防止」が加わりました。
 今回は、レミケード(R)の増量・期間短縮に関して、国内の増量試験の結果を加え、ご案内します。用量や用法の変更にあたっては、段階的に変更する必要があり、主治医の先生と詳しく相談をしてください。

                   ホームページ担当者


レミケードの用法、用量の変更

レミケードは日本で最初に関節リウマチに使用されるようになった生物学的製剤です。TNF-αという関節リウマチの病態に重要な役割を果たしているものを抑える働きがあります。その効果は広く認められています。しかしながら、レミケードを投与しても十分な効果が得られない方や、投与中に効果が減弱してくる方、投与が2カ月おきになると2カ月効果が持続しない方がいることが問題でした。今までの使用法は体重1kgあたり3mg(体重50kgなら150mg)を0週、2週、6週点滴し、その後8週おきに点滴する方法でした。
今回、2009年7月からこれらの使用方が改定され、6週以降の増量や、期間の短縮が認められました。具体的には、今まで通り8週ごとの場合は体重当たり10mgまで使用可能です。投与間隔を短くする場合は4週ごとまで短縮可能ですが、投与量は体重当たり6mgまでとなります。(したがって、体重当たり10mgを4週ごとは認められていません。)
投与量や投与期間の短縮は段階的に行うこととなっており、副作用に注意して慎重に見てゆく必要があります。
用量増加の効果について
国内の試験:体重当たり3mg、6mg、10mgで有効率はそれぞれ78.6%、83.7%、90.4%でした。10mgまで増量することで有効性が増しました。X線の骨破壊の抑制は、増やせば増やすほど良くなるというわけではありませんでした(3mgと10mgで差なし)。当初3mgで効かなかった方、約12%が6mgで半数が有効、10mgで全例有効となり、3mgで効かなかった方でも増量が有効となる可能性が示されました。有効性は血液中のレミケード濃度が、やはり重要なようです。重篤な有害事象の発現率は3mg/kg群では7.1%、6mg/kg 群では4.8%、10mg/kg 群では8.7%であり差はありませんでした。
海外でも同様な結果が示されています。
期間短縮は実際には試験されていませんが血液中のレミケード濃度のシミュレーションによって認められています。

期間短縮や用量増加によってレミケードの有効性をより高めることができそうです。重篤な副作用の増加も試験ではありませんでしたが、理論的には副作用増加が懸念され、時間当たりに入るレミケードの量が増えることも投与時反応増加が懸念されます。関節破壊の抑制効果には用量依存性がなかったことからも、個々の病状に合わせて慎重に使ってゆく必要があると考えられます。用量増加によって医療費負担が増加する可能性があり、高額療養費を使える投与法にするなどの工夫も求められそうです。

 
第二回 アバタセプト(Abatacept)CTLA4Ig
内容 アバタセプト(Abatacept)CTLA4Ig
CTLA4は免疫反応で重要な役割を果たすT細胞の上にでているタンパクです。このタンパクに刺激が加わるとT細胞機能が抑制されます。一方でCD28というタンパクもT細胞の上に出ており、こちらに刺激が加わるとT細胞機能が活性化されます。T細胞機能は関節リウマチでは活性化しています。したがって、関節リウマチを良くするにはT細胞機能を抑制の方向に持って行けばいいのではないかと考えられます。すなわち、CTLA4を刺激するか、CD28の刺激を弱める方法が考えられます。CTLA4とCD28への刺激はいずれもB7と呼ばれる同じタンパクによって引き起こされます。CTLA4が多くなると、CD28はCTLA4との争いに負けてしまい、相対的にT細胞機能に抑制的な刺激が加わってT細胞機能は抑制されます。アバタセプト(CTLA4Ig)はCTLA4とヒト免疫グロブリンを人工的に融合させたもので、これを投与するとCTLA4が多くなるためT細胞機能が抑制され、関節リウマチに有効であると期待されています。2005年に米国で承認され、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社からオレンシアという名前で海外では関節リウマチに使用されています。今までにない作用を持っているため、使用できるようになれば治療の選択の幅が広がるものと期待されます。
(参考)海外臨床試験:投与方法は10mg/kgを初回投与後、2、4週後に投与し後は4週毎に点滴。
AIM試験 :MTX(メソトレキセート)効果不十分例に対する試験
MTX不十分例にMTXと併用してアバタセプトかプラセボ(偽薬)を投与した。6か月の時点でACR20改善率はアバタセプト群67.9%、プラセボ群39.7%でアバタセプト群の方が優れており(ACR50が約40%ACR70が約20%)、これは1年間持続。骨破壊の進行も約50%抑えられた。副作用は感染、投与時の反応がプラセボに比べ多かった。Kremer JM, et al., Ann Intern Med 2006; 144(12): 865-876
ATTAIN試験:抗TNF-α療法で効果不十分な症例を対象。
6か月の時点のACR20改善率はアバタセプト群で50.4%であり、プラセボ群の19.5%に比べて高かった。ACR50とACR70の改善率もアバタセプト群で有意に高かった(ACR50:20.3% vs 3.8% ACR70:10.2% vs 1.5%)。抗TNF療法が不十分な症例でもアバタセプトは有効である可能性がある。Genovese MC, et al., N Engl J Med 2005; 353(11): 1114-1123
ATTEST試験:アバタセプト、インフリキシマブ(レミケード)、偽薬の比較をした試験
投与開始後197日(約7カ月)でアバタセプトとレミケード(3mg/kg、8週毎)に差はなかったが1年後の有効性はアバタセプトの方が勝っており、副作用もインフリキシマブに比べてアバタセプトでは少なかった。Schff M, et al., Ann Rheum Dis 2008;67(8):1096-1103
ARRIVE試験:抗TNF療法無効例で抗TNF療法後直接切り替えていいか検討した試験
最後の抗TNF療法後から2カ月以上あけてアバタセプトを投与した群とそうでない群とで有効性や副作用に差はなかった。Schff M, et al., Ann Rheum Dis 2008 Dec 15

*日本人の用量、用法については承認後に確認してください。
 
第一回 ゴリムマブ(Golimumab)
内容 ゴリムマブ(Golimumab)
 完全ヒト型の抗TNFα抗体であり、ヒュミラ®と似ています。作用はレミケード®やヒュミラ®と同じく、TNFαを中和し、産生する元を抑え、TNFαを引き剥がすことで関節リウマチを改善させるといっていいでしょう。現在治験が進行中です。
特徴として、ヒュミラ®より投与間隔が長い4週ごとがあげられます。4週ごとの皮下投与は患者さんの負担軽減につながると期待されます。しかし、半減期の長い薬剤は止めてもその影響が長く続くという側面もあります。海外の試験をみると、有効性はMTX(メソトレキセート;リウマトレックス®など)単独よりあるようです。単剤よりMTX併用の方がやはり有効のようです。副作用は感染症に注意が必要なことは変わりありません。MTX併用例で感染のリスクが高いようです。ゴリムマブ単剤では投与量を増やさないと十分な効果が出ないようです。逆に、ゴリムマブとMTXを併用した場合には100mgと50mgで大きな差はなく、100mgで重篤な副作用が多い印象です。日本人では治験中ですので、その結果を待たなければなりません。

文献@
0.1、0.3、1、3、6、10mg/kgを静脈内単回投与し血液中の濃度を測定した。36名で行われた。半減期は7−20日で、この試験での問題となる副作用はなかった。
Pharmacokinetics and Safety of Golimumab, a Fully Human Anti-TNF- Monoclonal Antibody, in Subjects With Rheumatoid Arthritis                  Zhou H. J. Clin. Pharmacol.2007

文献A
MTX治療で不十分なRAを対象とした試験。皮下注射で50mg、100mgを2週毎もしくは4週ごとに投与。MTXは併用。48週(1年間観察)2週ごとの群は16週後に4週に変更。16週後の関節リウマチの改善度を評価した。16週後のACR20は ゴリムマブ+MTXで61%、プラセボ(偽薬)+MTXで37%であった。100mgを2週ごとの群でみると79%であった。20週までに重大な副作用はゴリムマブ群で9%、プラセボ群で6%であった。
Golimumab in patients with active rheumatoid arthritis despite treatment with methotrexate: a randomized, double-blind, placebo-controlled, dose-ranging study.            Kay. J  A &R 2007
文献B
MTXで不十分なRAを対象。プラセボ+MTX、50mg+MTX、100mg+MTX、100mgの4群
ゴリムマブは4週毎皮下注射。14週でのACR20と24週でのHAQ-DIスコア(日常生活の障害を調査)を評価した。
14週でのACR20改善率はMTXのみ33.1、100mgのみ44.4、50mg+MTX55.1、100mg+MTX56.2%であった。HAQ-DI scores は それぞれ0.13, 0.13 (p=0.240), 0.38 (p<0.001)、0.50 (p<0.001)であり、16週までの重篤な副作用はそれぞれ 2.3%, 3.8%, 5.6%, 9.0% 、重篤な感染症は 0.8%, 0.8%, 2.2% 5.6%であった。
Golimumab, a human antibody to TNF-{alpha} given by monthly subcutaneous injections, in active rheumatoid arthritis despite methotrexate: The GO-FORWARD Study.
Keystone EC Ann Rheum Dis. 2008

その他:
ステロイドでコントロール不十分な喘息における試験
 有効性に乏しく、重篤な感染症が多かった。
強直性脊椎炎
有効と考えられた。重篤な有害事象の増加はないが、ゴリムマブで一過性の肝障害が多かった。

                     (文責:鈴木大介)

 
リウマチ最新情報 〜はじめに〜
内容 新しい生物学的製剤の紹介
 現在日本で保険承認されている生物学的製剤(化学的な薬品でなくタンパクによる薬品)は、抗TNFα製剤であるレミケード&#174;、ヒュミラ&#174;、TNF受容体のエンブレル&#174;、IL-6受容体のアクテムラ&#174;の4剤です。いずれも関節リウマチに対する優れた効果が認められています。今後、同じような作用、または、まったく新しい作用を示す生物学的製剤が開発されています。これによって、副作用の軽減や、有効性の向上、既存の薬剤が効かない、または、副作用で使用できない場合に、これらの新規薬剤が使用できる可能性があります。治験の段階である薬剤であり、十分な安全性と効果を評価する必要がありますが、新規生物製剤として期待されている薬剤を、すでに海外論文などで報告されているデータをもと紹介していきたいと思います。あくまでも海外での有効性と副作用等のデータですので、そのまま日本にあてはめることはできません。こんな薬剤が将来登場するかもしれない、よりよい治療法と選択肢が増えるかもしれないと明るい未来を期待をしてください。まず、第一回目はゴリムマブを紹介します。
                       (文責:鈴木大介)
 
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